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元彼が成功したと聞いた夜、思わず笑うしかなかった、誰にも言えないその理由とは【短編小説】

  • 2025.10.10
友人から「元彼、成功してるらしいよ」と言われたが、元彼の成功は全て私が仕掛けたものだった【短編小説】

友人から聞いた「元彼の成功話」

先日、大学時代の友人だった絵美と久しぶりにお茶をしました。彼女は近況報告もそこそこに、少し同情するような、それでいて興味津々な目で私にこう言ったのです。

「ねえ、聞いた?元彼の直樹くん、会社立ち上げてすごい成功してるらしいよ。雑誌にも載ってたんだって」と。

私と直樹が付き合っていたのは、もう5年も前の話です。彼のことは「夢ばかり語って、全然現実が見えていない人」と友人たちも知っていました。実際、それが原因で別れを選んだのですから、絵美がそう思うのも無理はありません。

私はただ曖昧に微笑んで、「そうなんだ、すごいね」とだけ返しました。心の中では、彼の成功なんて誰よりも詳しく知っているのに、と思いながら。

彼の成功の影の立役者

「本当にごめん!助けてくれ!」

別れて1年ほど経った頃、直樹から泣きつかれたのが全ての始まりでした。彼が熱く語っていた事業アイデアは、私と付き合っていた頃に二人で練り上げたもの。

しかし、計画は杜撰で、資金繰りも全く見えていませんでした。あまりに情けない姿に呆れつつも、彼の夢そのものを否定したくはなくて、「匿名」を条件にビジネスの基本から経営戦略、果ては資金調達のための人脈まで、全てを裏でサポートすることにしたのです。

今やメディアで脚光を浴びる彼の会社のサービスも、私が考えたもの。彼がインタビューで語る美辞麗句も、私が添削した原稿です。

絵美の前では、コーヒーカップを静かに傾けながら「そう、良かったね」と相槌をうつ私。彼女はきっと、私が振った男の成功を悔しがっているとでも思っているのでしょう。

けれど本当は、彼の成功物語の脚本家は、他の誰でもない私。その事実だけで、私は十分に満たされているのです。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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