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安済知佳×長谷川育美が語る『グノーシア』――人狼的心理戦と広がる“未知の宇宙”

  • 2025.10.9
テレビアニメ『グノーシア』インタビューより(左から)長谷川育美、安済知佳 クランクイン! 写真:吉野庫之介 width=
テレビアニメ『グノーシア』インタビューより(左から)長谷川育美、安済知佳 クランクイン! 写真:吉野庫之介

10月11日24時より放送がスタートするテレビアニメ『グノーシア』は、ゲーム開発集団・プチデポットが手がけた“人狼”ベースのSFアドベンチャーが原作。星間航行船D.Q.O.に紛れ込んだ未知の敵・グノーシアを巡り、乗員たちは疑心暗鬼の中で毎日1人をコールドスリープに送る。人間側の勝利には正しい判断が不可欠だが、主人公・ユーリはどんな選択をしても必ず“1日目”にループしてしまう――。極限の心理戦とタイムリープが交錯する物語に挑むのは、ユーリ役・安済知佳とセツ役・長谷川育美。二人に作品への想いを語ってもらった。

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■“未知の宇宙”を読み解く喜び――二人が感じた『グノーシア』の魅力

――謎や心理戦の多い『グノーシア』ですが、シナリオを読んだ際の印象は?

安済:原作の流れは知っていましたが、それをどうアニメ化するのかが楽しみでした。実際に台本を読むと驚きや発見が多く、読み物としても面白くて毎回ワクワクしましたね。ゲームではプレイヤーそれぞれが自分の“宇宙”を作り上げていくイメージなんですけど、アニメでは“ユーリの宇宙”が広がっていく。そのまだ誰も知らない世界を先に体験できるのが楽しかったです。

次の話数の台本が渡される度に、「次はこうなるんだ!」と読み物としても楽しませてもらいました。ユーリと同じように戸惑いながら物語に向き合う感覚で、心理戦の重さよりも謎を追いかけるワクワクが大きかったですね。

長谷川:私も毎回ワクワクしながら読みましたが、まず“今この世界で何が起きているのか”を整理する必要があって、それが他作品にはない特徴でした。状況を理解してから感情に入っていくので、頭をフル回転させていましたし、現場でもキャスト同士で確認し合っていました。

駆け引きの面白さはもちろん、全15人のキャラクターにしっかり見せ場があるのも魅力。原作プレイヤーなら「きた!」と思える場面も多く、私自身も「ここでこのシーン!」と楽しみながら台本をめくっていました。

――ユーリとセツを演じる際、特に大切にしたポイントは?

安済:『グノーシア』のキャラクターって本当に濃いんですよ。ゲームのビビッドな色彩そのままに、みんな強烈な存在感を放っていて。だから私は、どんな相手とも自然に馴染める“キャンバス”みたいな存在でいたいなって思ったんです。現場ではよく「白米になりたい」なんて言ってました(笑)。どんなおかずにも合うように、みんなを引き立てられる存在になれたらって。

ユーリ自身もすごく素直で一生懸命な子なので、演じていて応援したくなる瞬間がたくさんありました。視聴者のみなさんにも、ユーリを通して一緒に宇宙へ飛び込むような感覚を楽しんでもらえたら嬉しいです。

長谷川:セツは軍人ということもあって、常に冷静で、どんな状況でも落ち着いて判断できるキャラクターなんです。ユーリを少し特別な立場から見守っているのも印象的で。でもそのぶん感情が大きく動くことは少ないんですよね。だからこそ、セツがちょっと揺れた時の気持ちの変化や、「ここで動くんだ」という瞬間をちゃんと掴めるように意識して台本を読んでいました。

それにセツって、見ている人にとっても“安心感”を与えてくれる存在だと思っていて。「セツがいるから大丈夫」と思える拠り所みたいな。そこは特に大事にして演じました。

――キャラクターが元々かなり濃いのに加え、キャスティングも絶妙で、声優陣の個性がそのまま役に重なっていると感じました。

安済:本当にそうなんです。第一声を聞いた瞬間に「ああ、ピッタリ!」って納得できて、そのうえで想像を超える表現をみなさんがされているんですよね。キャラクターの魅力をさらに引き立ててくれるから、聞いていてすごく気持ちよかったです。まるで「こういう風になるんだ」って答え合わせをしているような感覚でした。

長谷川:よくぞここまで集められたなって、感動しますよね。

――収録中、「この人のキャラ立ちがすごい」と思った瞬間は?

長谷川:私が特に印象に残っているのは、花澤香菜さん演じるオトメちゃんです。かわいらしいキャラクターなんですけど、驚いたり笑ったりする時のリアクションが、台本だと「キュキュキュキュキュ」みたいな擬音しか書かれていなくて。でも、花澤さんがそこにすごくコミカルなニュアンスを乗せて、オトメちゃんという存在を一気に魅力的にしていたのが本当に楽しくて。

安済:テストの時、想像以上すぎて笑っちゃいました(笑)。そのあと自分のセリフが言えなくなるくらいで……。本番では「無の心」で、ユーリの気持ちを保つように必死で挑んだのを覚えています。

それから、しげみち役の関智一さんもすごかったです。「自由にやってください」と言われた瞬間の振り幅の大きさ、その自由さをちゃんと成立させてしまう力に圧倒されました。掛け合いしている時間も楽しかったんですけど、それ以上に「もっと見ていたい!」と心から思える瞬間がたくさんあって、個人的にもすごく勉強になりました。

■悠木碧は“脅威”、 役者目線で語る人狼力

――「騙し、騙される」という人狼ゲームの要素が物語の根幹にありますが、作中のような極限状況に置かれたら、どんな立ち回りをすると思いますか?

安済:私は完全にユーリと同じタイプだと思います。実は人狼をやったことがなくて……。論理的に推理するのも苦手だし、「ここ矛盾してない?」みたいなのも絶対に気づけないと思います。

長谷川:私も1〜2回くらいしかやったことないんですけど、まず会話についていけない気がします(笑)。喋れなくて、結局全部信じちゃって、気づいたら騙されて終わってる……みたいな。

安済:わかる(笑)。人狼とはちょっと違うんですけど、「ワードウルフ」をやったことがあって。それですら友達を騙す辛さとか、逆に騙される苦しさを味わって、「あ、これは向いてないかも!」って痛感しましたね。

――正直者であるほど難しいゲームですよね(笑)。では、キャスト陣の中で「この人、実際にD.Q.O.に乗っても強そう」という人は?

安済:(夕里子役の)悠木碧ちゃんですね。本当にすごいんです。もともと人狼をよくプレイされていたみたいで、「この立場なら次はこう動いて、その先はこうで……」と瞬時に展開を読んでいくんですよ。台本を読んでいても「ここがこうだから物語はこう進むけど、もし別の流れだったら……」と可能性をどんどん考えていて、その思考の深さに圧倒されました。

オーディオコメンタリーでぜひ解説してほしいくらい(笑)。碧ちゃんはもう、“脅威”って言葉がぴったりです。

長谷川:ほんとそう。言葉に説得力があるから、聞いているだけで「なるほど」って納得させられちゃうんですよね。

――逆に「最弱王」は誰だと思いますか?

安済:正直、私自身もけっこう最弱だと思います(笑)。

長谷川:私も絶対そっち側ですね。あとは……瀬戸麻沙美さんとか?

安済:でも瀬戸ちゃんは普段からゲームをやっているので、きっと理解力が高いと思うんです。ルールさえ掴んだら立ち回りはすごく上手そう。男性陣はもう未知数……。

長谷川:たしかに。

安済:中村悠一さんは絶対に強そうですよね。

長谷川:関智一さんや江口拓也さんも、読めなさすぎて怖いです。

安済:大塚剛央さんはどうなんだろう……。どっちに転ぶのか全然想像できないですね。

長谷川:うん、それも全然読めない(笑)。

■ようこそ『グノーシア』へ! キャストが語る第1話の魅力

――タイムリープの要素も魅力の本作ですが、もしご自身が「やり直し」できるとしたら、人生のどの瞬間に戻りたいですか?

安済:私は……ないですね。

長谷川:え、ないんですか?

安済:だって怖いじゃないですか、戻るの。やり直したとしても成功するかわからないし。戻るなら昨日の夜くらいがちょうどいいかな。「もうちょっと早く寝ればよかった」とか、「朝ゆったりしすぎたな」とか。そのくらいなら巻き返せるけど、大きなやり直しはちょっと……。

長谷川:なるほど。たしかに戻ったら全然違う人生になっちゃいますもんね。よっぽど「今とは別の道に行きたい!」って思うなら別ですけど。

安済:そうそう。本当に大きな目的があって、それを叶えるためなら「10歳まで戻る」とかもわかるけど、今のところは……戻るのはちょっと怖いかも。

長谷川:私は小学校3〜4年生くらいに戻りたいです。その頃から食欲が止まらなくなって、もう“無限”に食べちゃって。ずっとふくよかだったんですよ。それを制御したい(笑)。

安済:子どもの頃に制御するのは難しそう……。

長谷川:でも私はもう好き放題食べちゃって。

安済:でもさ、ホルモン的に食欲が増すのって中高生ぐらいじゃない?

長谷川:じゃあ中高までは好きに食べて、20歳前くらいから意識改革ですね。運動するとか気をつけるとか。そこを何もやってこなかったので。

安済:なるほど、そこなんだ。

長谷川:今になってはもう変えられないです。無理(笑)。

安済:でも前に「すごい食べる」って聞いたけど、全然そんなふうに見えないよ。

長谷川:昔は本当に“無限”でした。今はさすがにお腹いっぱいになるけど、20歳の頃は限界がなくて。いくらでも食べられちゃって、ちょっと怖いくらいでした。

――最後に、第1話で特に注目してほしいポイントを含め、放送を楽しみにされているみなさんへメッセージをお願いします。

安済:ゲームをプレイしている方には、あの世界が“解像度高く3Dになった”ような感覚をぜひ味わってほしいです。ゲームでは一枚絵として見ていたものが、アニメではぐるんと広がって立体的に感じられて、本当にワクワクしました。

そして“音”も大きなポイントです。『グノーシア』はゲームでも音楽やBGMがとても魅力的でしたが、アニメでも「うわっ!」と思わず反応してしまう瞬間がきっとあるはずです。

特に第1話では、ユーリやセツたち最初の5人が“動いて、喋る”感動をぜひ体験してほしいですね。ゲームを知っている方には夢がかなう瞬間になると思いますし、初めて触れる方は「ようこそ『グノーシア』へ」という気持ちで、まずはただ楽しんでもらえたら嬉しいです。少し複雑に見えても、映像の美しさと物語の力が必ず心をつかんでくれると思うので、そのまま最後まで夢中になって見てもらえたらと思います。

長谷川:まずは『グノーシア』の独特な世界観にたっぷり浸ってほしいです。アニメでは舞台が“一つの空間”に凝縮されていて、物語もその場所を中心に進んでいきます。だからこそ第1話を見れば、「こういう雰囲気なんだ」と空気感をしっかり感じ取っていただけると思います。

それから、第1話のセツは説明役としてすごく頑張っているんです。今後の物語を楽しむうえで「この場で何をすべきか」を言葉にしてくれているので、そこはぜひ注目して聞いてみてください。ルールや目的が見えてくると駆け引きの面白さも一層深まります。ぜひ第1話から、その濃密な世界を楽しんでください。

(取材・文・写真:吉野庫之介)

テレビアニメ『グノーシア』は、10月11日から毎週土曜24時よりTOKYO MX、BS11ほかにて順次放送開始。ABEMA、dアニメストアにて地上波同時配信。

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