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“経年変化”のある家具で、自分なりの味を楽しむ【坪田あさみのインテリアコーデBOOK #4】

  • 2016.5.24
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あなたは家具を買う時に何を重視しますか? デザインはもちろん、価格、いまのインテリアに合うかどうか、ブランド、品質など、いろいろあると思います。

わたしは、前回書いた「着回し力があるかどうか」に加えて、「経年変化を楽しめるかどうか」ということも重要な基準のひとつだと思っています。

良い木材で作られた家具は傷や節目さえも味になります。

たとえば、我が家のソファを買う時、張り地を選ぶことができました。コーデュロイやコットン、ウールなど何種類かありましたが、わたしが選んだのは本革のレザー。

経年変化によってレザーの色に濃淡が出てきます。よく座ることでレザーも少しずつ柔らかくなってきます。

もちろん、ファブリックよりも値段はかなり高く(本革のレザージャケットの値段を考えると、ソファは表面積が広いですからね!)、季節や流行に合わせて張り替えることもできません。

しかし、わたしが何より重視したのは、「時間がたてばたつほど味になるかどうか」ということ。

合皮レザーなら手入れは楽だし値段も安い。新しいうちは本革と遜色のない質感のものも、最近は増えています。

けれど、使えば使うほどくたっとした味が出ること、たとえ汚れたりシミになったりしても、それが独特の雰囲気につながるもの、また足裏や手のひらからの脂さえもプラスになるもの、そんな素材は本革しかないと思っています。

■つけてしまった傷もまた、味になる

木製の家具も同じことが言えます。

ひとくちに木製と言っても、よくある化粧合板や集積材を使っている家具ではなく、質のよい一枚板のものです。

値段は張りますが、経年変化を楽しめます。色が深まり、味になっていきます。

たとえ傷をつけてしまっても、独特な雰囲気になるのです。

フローリング板をリメイクして作られた額縁。アメリカの家屋を解体した廃材を再利用したものだそう。

時を経た家具は、まったく同じ新品と比べても、より価値があるとわたしは思うのです。

帽子スタンドはアンティークで、元は糸巻きだったもの。フランスのどこかの工場から? 家庭で使われていたもの?

◇Asami's Answer◇時を経て、自分の“使い方なりの味”がでてくる「家具の成長」を楽しむ。

日本はなんでも新しいものに価値がある国です。

家も新築が一番よく、車も、時計も、ジュエリーも、ワインさえもボジョレーをありがたがる国民性。

人だって一緒。若いというだけで社会がもてはやしますよね。(笑)

家具もそうです。人によっては引っ越しをする度に、すべて新しいものに買い替える人もいます。

新しい家に古い家具は似合わないと、家具を一新して生活をリスタートさせたいのだそうです。

そういう考えも、間違いではないと思いますが、大切に長く使うことで経年変化が楽しめ、より価値が出るものがわたしは好きです。

ヴィンテージマンションと言われ、何十年たっても値段が下がらない、むしろ価値が上がっていく物件や、車など、誰かが手入れをしながら大切に乗り継いできたものには、独特のたたずまいを感じ、とても心がひかれるのです。

■“歴史を楽しめる家具”を選ぶ

また、世界の名品と呼ばれる名作家具を選ぶことも、よい家具に出会えるひとつの方法です。

復刻ではないオリジナルは、何十年たっても高い値がつき、そして市場に出ればあっという間に売れてしまいます。

イームズのオリジナルのシェルチェアとコーヒーテーブル。復刻版にはない色みとガラス繊維による質感がお気に入り。時代をへても全く古くならない普遍的デザイン。

デザインの美しさやブランド力はもちろんのこと、それを所有することのよろこびや、世界のどこかで誰かが大切に使ってきた歴史が価値を押し上げているのです。

傷のひとつにさえもロマンを感じます。

家具に対する考え方は人それぞれですが、使われれば使われるほど価値が上がるってすてきだと思いませんか?

わたしは毎日「いい家具だな」「大好きだな」と思いながら、大切に使える家具と一緒にくらしたいと思います。

◇Asami's Answer◇家具を愛し、大切に使っていくことは、日々のくらしの充実にもつながっていく。

(坪田あさみ)

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