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盗難事件まで! 高額取引もある人気の多肉植物「ハオルチア」の魅力

  • 2016.5.14
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【ママからのご相談】

引っ越しを機会に、これから観葉植物やガーデニングに凝ってみようと考えてます。ただ、私はもともとズボラな性格で、よくお花を枯らしてしまうタイプですし、子どもたちもまだ小さく手がかかるので、とりあえず多肉系からスタートしようと思い何種類か購入しました。

その中に『ハオルチア』というサボテンがあったのですが、同じ『ハオルチア』がネットオークションで7万円ほどで取引されていて、かなり驚いています。私のは、近所の花屋さんで800円くらいで購入できたのですが、一体何が違うのでしょうか? もしかして、育てるのがすごく難しいものですか?

●A. 千円以下~数十万円のものまで! 意外とディープな多肉の世界をご紹介します。

こんにちは! 同じく花を枯らしてしまうタイプの、ライター月極姫です。

手がかからない=多肉からスタートという発想、よくわかります。逆に言えば、サボテンすらも枯らしてしまったら、ズボラもいよいよ末期的……ということになりますよね(汗)。

わが家にも現在5鉢の多肉がありますが、長く元気でいてもらえるよう、筆者なりに気を使っています。

さて、ご質問のハオルチアの価格についてですが、ネットオークションでの価格に関しては、そのまま適正価格と思わない方が良いかと思います。希少な品種だと確かに高値になりやすいですが、価値を知らない初心者が不必要に高値で入札したり、落札間際の心理戦で価格が大幅に釣り上がったりするのがオークションの世界です。

一方で、数万円~二十数万円のハオルチアが存在するのも確かであり、ハオルチアの世界はけっこう奥が深いのです。多肉=カンタンというイメージが、少し覆されるかもしれませんね。

●オブツーサ、玉扇、万象……ファンをうならせるさまざまな形状

ハオルチア は南アフリカ原産で、もともと品種豊富な植物。現在は愛好家による交配が進み、把握されているだけでも300種類以上は存在すると言われています。葉先の方に、光を効率的に取り込むための透明な部分、「窓 」があるのも特徴的です。

大きく育ってもひと株12~15cmくらいなので、室内で気軽に楽しむにはもってこいの多肉といえます。

形状のタイプをおおまかに分類すると、葉が硬く、アロエのようなシャープなフォルムが特徴の「硬葉系 」と、葉が柔らかく、丸みを帯びたかわいらしい姿が特徴の「軟葉系 」の2系統。代表的な人気品種は以下のとおりです。

【オブツーサ】

軟葉系の代表格。コロンとした丸いフォルムがかわいらしく、葉先が光を取り込みやすいよう丸くなっている。

【ミラーボール】

オブツーサの交配種の中でも傑作という評価が高いもの。葉脈がくっきりとしていて美しく、葉先に短い毛が生えているのが特徴。日当たりなどの条件が良いと、葉色が紫色を帯びてくる。

【雪の花】

その名の通り、葉の表面に白い斑点がある。葉全体的に透明感も強く美しい。仔吹き(子株が出てくること)しやすく、増えやすい品種でもある。

【玉扇】

肉厚な葉が扇状に広がって並んでいる。水平に切断されたような形状の葉先に、シマ模様が現れる。

【万象】

丸太を水平に切断したような形状で、全体が円盤状になるように並んでいるのが特徴。

他にもたくさんの品種があり、地域によっては専門店も存在するようです。ネットでもさかんに取引されていますが、初心者がお気に入りを見つける場合は、お店に足を伸ばして直接見て触れてみる のが一番でしょう。

●お値段の格差はどこから? 高額の理由は“品種”と“育ち”にあり

数年前から、全国的にハオルチアの盗難事件が起きています 。大量のハオルチアや高額な品種を所有している方は、窃盗犯に狙われやすく大変な思いをされているようです。高額品種を組織的に狙っている人たちもいるようで、困った問題ですね。

一般的に、葉についている「窓」の部分の透明度が高かったり、白や紫の色味を帯びたりして珍しい姿になると、愛好家の間では人気が高まるようです。また、愛好家が困難な受粉交配を自力で行い、何年もかけて作り上げた品種などは当然高値でれます。

要するに、ハオルチア初心者から見てもわからないような理由で数万~数十万円のお値段がつく わけです。

数十万円の価値を本当に理解するためには、膨大な品種や交配の仕方まで学ぶ必要があります。自宅に「専用ハウス」を持つ愛好家さんが存在する理由が、なんとなくわかりますね。

ご相談者様の場合、ご近所で手に入れたハオルチアをまず長持ちさせてみて、愛着がわいてきたら次に違う品種に挑戦されるのも良いかもしれません。

葉の「窓」の部分の透明度が高いものは何ともいえない美しさで、その姿は幻想的でもあるのでハマってしまう人が多いのもうなずけますが、窓が透明なものは若干デリケートで弱い面もあります。挑戦する際には、園芸本や専門サイトなどでよく勉強することをお勧めします。

●かわいい癒し系・ハオルチアを上手に育てるコツとは?

多肉全般に言えることですが、「光、風、水 」が、ハオルチアを元気に保つカギです。

多肉の中では比較的強い日光を必要としないため、室内の日陰や屋外に適しています(通常は鉢植え限定)。春・秋に生育する植物なので、夏・冬は水やりを控えましょう 。乾燥しすぎて葉先が茶色く枯れたり、水を与えすぎて蒸れたりすると、あっという間に寿命が縮んでしまいます。

仔吹きしていたら、そのまま放置して群生させるのも良いですし、子株を切り離して他の鉢に植え替えするのもいいですね。子株を植える際は、しっかり根が張るのを確認してから水を与えるという手順をお忘れなく。

近所で800円だったハオルチアでも、大切に育てれば十分長持ちしますし、子どもがどんどん増えるかもしれません。ぜひ、上手に育てて末永く楽しんでくださいね。

【参考文献】

・『多肉植物』長田研・著

●ライター/月極姫(フリーライター)

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