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いつしか罵倒も快感に。ドラマ『こんばんは、朝山家です。』で"キレる妻"に初挑戦した中村アンが語る「家族」とは

  • 2025.8.3

現在放送中のABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『こんばんは、朝山家です。』で、俳優の小澤征悦さんとダブル主演を務めている中村アンさん。これまでさまざまな役を演じてきたアンさんが今回挑戦したのは、なんと”キレる妻”!
 
同作は、映画『百年の恋』やNHK連続テレビ小説『ブギウギ』などを手がけた足立紳さんが、妻・晃子さんとの日常を痛快に綴った日記風エッセイ『後ろ向きで進む』が原案。家族や子育てをおろそかにする売れっ子脚本家である”残念な夫”(小澤征悦さん)と、その夫に常にイライラしながらも公私共に支える”キレる妻”(中村アンさん)が、衝突しながらもさまざまな問題や困難を乗り越えていく一家奮闘の物語を描いています。
 
“キレる妻”はもちろん、母親役も同作が初というアンさん。”キレる妻”朝山朝子を演じる上で難しかったこと、ご自身と重ねる点や異なる点はあったのか、ざっくばらんに語ってもらいました。そしてアンさんが考える、家族とは?

自然体でヘルシー、そして洗練された女性――。そんなイメージのあるアンさんが今回演じたのは、”残念な夫”に常にイライラしている”キレる妻”。思いっきり罵倒するシーンもかなり話題になっていますが、アンさんはこの夫婦の関係性をどう思っているのでしょうか。
 
――ズバリ、”キレる妻”を演じてみていかがでしたか?
 
中村アン(以下、アン) 初めて脚本を読んだときは本当に罵倒できるか不安でしたが、今は毎日の快感になっています。小澤さん演じる朝山賢太のダメっぷりのおかげですかね(笑)。文字だけ見ると”キレる妻”ってかなりのパワーワードですが、罵倒できるのは2人の根底に愛があるからこそで、それを賢太も分かっているから折り合いがついている。罵倒も夫婦の一つの絆にもなっているのではないかと思っています。
 
――朝子さんと似ているところはあると思いますか?
 
アン 人はどうしても、向き合う相手によって態度や口調が変わってしまうことがあると思います。私自身も自分をさらけ出せる相手には、想いや感情をつい強くストレートに伝えてしまうことがあります。親しい友人からは地でいってる部分もあるよねと言われることもあり、私にも朝子さんっぽいところ、けっこうあるなと感じています(笑)。
 
――どうしても罵倒しているシーンが目立ってしまいますが、誰よりも賢太の才能を認めているのも朝子さんですよね。映画監督になりたい夢を公私共に全力で支えているんですから。
 
アン 私もそれは感じます。カンヌ国際映画祭などに出品されるような映画監督になりたい賢太のために、会社を作って売り込んで支えるってすごいことですよね! 好きという感情だけではできないこと。家事や子育てのことで意見がぶつかることも多いですが、朝子さんは誰よりも彼の才能に惚れている。そして彼を全力で支える朝子さんって、本当にタフでカッコいい女性だと思います。

反抗期まっさかりの高校1年生の蝶子(渡邉心結さん)と、自閉スペクトラム症の診断を受けている晴太(嶋田鉄太さん)の母親でもある朝子さん。同作の制作発表会見でも本当の親子のような空気感で、子どもたちを見つめるアンさんの優しいまなざしも印象的でした。
 
――子どもたちとはどのように関係を築いていったのですか?
 
アン 蝶子や晴太がいつも「母ちゃん」って呼んでくれていたんです。そのおかげで自然と親子の雰囲気ができていったというか、子どもたちに母親にしてもらった感じはありますね。晴太は学校のこととか*ソーラーのこととか関りが多いので、晴太をスマホの待ち受けにしていた時期もありました。そしたらどんどん愛おしくなって、守らなきゃって気持ちになったんです。もちろんお姉ちゃんにも同じ気持ちです。
 
*晴太が通う療育センター
 
 
――朝子のモデルとなっている足立晃子さんから、役作りをする上でアドバイスをもらったりしましたか?
 
アン 朝子さんを演じる上で一番不安だったのが、お母さんの気持ちを理解することでした。それを晃子さんに伝えたら、「アンさんのような不安な気持ちのまま、私もお母さんをしてきました。お母さんも子育ても正解はないので、そのまま演じていただければ」と言われてストンと自分に落とせたんです。晃子さんが現場にいるだけで明るくなったり、本当にひまわりのような方なので、そういったところもヒントになりましたね。

――『こんばんは、朝山家です。』は会話劇も見どころだと思います。演じていて難しさは感じましたか?
 
アン 今回の会話劇は、積み重なったものが爆発してぶつけるシーンもあれば、賢太の余計な一言にイラッとしたり。感情がのらないと表現できませんし、テンポとリズムも大切。しかも朝子さんは食い気味にいかないといけなかったので、余計難しかったですね。でも小澤さんに、”全てビックリマークをつけるテンションで堂々と言い合う”っていうアドバイスをいただいて、それが演じるヒントにもなりました。
 
――会話劇のテンポも最高で、1時間があっという間でした。実在する家族の日常をのぞいている感じも面白いですよね。
 
アン ドラマって1シーンごとに細かくカットが入りますが、朝山家はシーンをつなげて撮影しています。たとえば、トイレに入って出てから会話して玄関に行って外出する。そんな日常の流れを、演者の目線でカメラマンさんが追いかけてワンカットで撮影しているんです。だから舞台のようなライブ感があるので、観ていてあっという間に感じるかも。この撮影方法は、現場も一体感が生まれてすごく楽しいんです。

――朝子を演じて、家族へ対する想いなどに変化はありましたか?
 
アン 一番感じたのは、やっぱり子どもが好きだなってことですね。私はこの仕事をすると決めてから、常に自分を優先に突っ走ってきました。恋愛がダメになっても仕事は自分軸で築き上げていくものなので、なんとかしがみついてやってきました。でも、こういった家族の物語に出会うと自分以外の人と関わったり、守る場所があると人生がもっと豊かになるなって。子どものパワーのすごさも実感しましたし、同時にお母さんって素敵だなと思いました。
 
あと、家族にはいろいろなカタチがあることを改めて知りました。家族は自分の支えになっていますし、疲れたときとかに思い浮かべたり、純粋に会いたいと思える大切な存在。朝山家のようにいつもケンカしていても、常に一番の味方なんですよね。
 
――最後に後半戦の見どころを教えてください。
 
アン 後半戦は子どもの問題がより深くなっていきます。うまく友だちとなじめないとか、修学旅行に行かないとか、そういったテーマとどう向き合っていくか。子育てに対して夫婦で意見も違うので、そこでまたひと悶着あります。でも朝子さんは、ふとこれでいいのか、と考えることもあったりして。家族には見せていないけど、朝子さんも思っていることがあるんだなってことが後半見えてきます。あとは、相変わらず言い合いしてますけど、深い家族愛が伝わったら嬉しいです(笑)。

「こんばんは、朝山家です。」
毎週日曜よる10時15分放送
(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット)

Photograph:KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE] Hair & Make-up:AIKO TOKASHIKI text:KYOKO CHIKAMA

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