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心の病気カモ!? ゆとり世代に増加する「電話恐怖症」の原因と予防法

  • 2016.5.11
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【ママからのご相談】

ゆとり世代の社員が電話に出られない“電話恐怖症”というものを知りました。主人が勤める会社でも、新人がなかなか電話に出ないので「イライラする」と話しています。

「社会人として、それはどうなの?」と思う反面、私たちの子ども(5歳女の子)も電話に出られないのでは? と感じるようになりました。だからと言って、練習させる術もありません。

スマホで事足りるので、うちには固定電話がありませんし、子供の練習用のためだけに固定電話を置く予定もありません。

この状況でわが子を電話恐怖症にしないために、工夫できることはないのでしょうか?

●A. 若者を電話恐怖症に陥れているのは、ママかも!?

ご相談ありがとうございます。ママライターの木村華子です。

“電話恐怖症”とは、オフィスなどにかかってくる電話に出られない、または電話をかけるのが怖い、と感じてしまう恐怖症のひとつ。

相談者様のご主人がお勤めの会社でもそうであるように、近年、若者の電話恐怖症が問題視されています 。

怖いと思ってしまう理由にはさまざまな要因が考えられますが、携帯電話の普及とともに固定電話の存在が減少してしまったことをイメージする方は多いでしょう。

私(30代)が子どものころは各家庭に固定電話が置いてあり、電話がなれば子どもが受話器を取ることも珍しくありませんでした。

「おうちの人はいますか?」という大人の声に受け答えをし、誰からの電話で、どのような要件なのかを親に取り次ぐスキルも自然と身についたものです。

私はこのたびの相談を受け、子どもたちを取り巻く環境が変わってしまったことが問題なのであれば、「それを補う“ごっこ遊び”などはどうですか?」というアンサーをイメージしつつ、話題の電話恐怖症についてリサーチを始めました。

ところが、調べるうちに電話恐怖症という症状には想像以上に深い心の闇が関わっていると思い知らされることとなったのです。

今回は、わが子を電話恐怖症に陥れてしまうママの振る舞いについてお話しします。大切なわが子を電話恐怖症にしないためのヒントにお役立てください。

●電話恐怖症とは、“対人恐怖症”の症状のひとつ!

“対人恐怖症”とは、「人前に出ると緊張する」という気持ちや、「知らない人と話すのが怖い」という、元来誰しもが感じている緊張感を、日常生活に支障をきたすほど過度に抱いてしまうという心の病気(神経症) です。少し砕いた言い方をすれば、“あがり症”の人がこれにあたります。

症状は多岐に渡りますが、代表的なものであれば以下のようなものが挙げられます。

・赤面症

・視線恐怖症

・会食恐怖症

・多汗症

・吃音症

など。そしてこの症状の中に、“電話恐怖症”も含まれているのです。

電話恐怖症、と聞けば、今どきの人にありがちな特徴としてライトに受け取れる印象がありますが、神経症とまで言われると事態は少し深刻です。

心を病んでしまった人に向かって「慣れるしかない!」「気合で頑張れ!」というアドバイスを送ることはあまりオススメできません。

病気であるのなら、もっと根本的な治療が必要なはず。そして予防法としては、“電話に慣れさせる”だけでない第一義的な策が求められるのではないでしょうか。

●対人恐怖症の引き金にママが関与している可能性

対人恐怖症になってしまう原因はさまざま。自身のコンプレックスが発端であったり、遺伝や生活環境、過去のトラウマ経験が関わっているケースもあります。

また、子ども時代に受けた親からのしつけが引き金となっている 場合も考えられます。

2008年、帝塚山大学心理学部心理学科教授の大久保純一郎さんは、講義を受講している学生(男性80名,女性115名の計195名)を対象に『対人恐怖心性と養育体験の関係性について』の調査を行いました。

その結果、対人恐怖心性の学生たちは「過保護・過干渉でありながら、子に対して無関心な親による養育体験を持っている傾向がある」 という結果が得られたのです。

過干渉と無関心は相反する印象を受けますが、昨今耳にすることの増えた“毒親”と言い換えればどうでしょう?

「ああするべき!」「こうじゃなきゃダメ!」と、子どもへプレッシャーをかけながらも、その実は子どものためではなく自分本位で支配的な接し方をしている毒親は、ズバリ“過干渉と(子どもへの)無関心”を兼ね備えた“対人恐怖症メーカー” と化しているわけです。

ここで「うちは、子どもにそんなキツい言い方していないから大丈夫……」と、無関係を決め込んでいる方へ! 毒親が行う負の教育モデルは、わが子への暴言や虐待だけには止まりません。

「○○ちゃんはこうなのに、どうして同じようにできないの?」

「もう○歳なのに、こんなこともできないなんて、恥ずかしいな」

というソフトな発言でも、子どもたちのコンプレックスを助長し対人恐怖症の発生を招きかねません。

もしもこれまでの育児に、誰かと比較し蔑む発言や、恥を痛感させるような振る舞いがあったと感じるのであれば、お子様の将来のために改めるべきなのではないでしょうか。

●失敗をしても、きっと大丈夫! と思える子どもに

「電話に出るのが怖い」という思いの裏には、失敗をすることや恥をかくこと、それを周囲の目に晒されることを過度に恐れる心理があります。とはいえ、このような恐怖心は誰しもが大なり小なり感じているもの。

メモをとる準備をして、落ち着いて対応をすれば大丈夫……というアドバイスもありますが、まずは“失敗は誰にでも起こりうる” ということや、“失敗をしても、きっと挽回する方法がある”という、もっと初歩的なことを学ぶのも重要なのではないでしょうか。

これらは、経験からしか学ぶことができません。つまり失敗をして、そのミスを自力で挽回させる経験が必要なのです。

失敗をしたとき、「なんでできないの!」と怒ったことはありませんか? 子どもの失敗を、「もう! お母さんがやっとくから、あっちに行って!」と、大人が片付けてしまったことは?

例えるならば、柔道の基礎である“受け身”。つまり安全に負ける練習です。子どもたちにもぜひ、安全に失敗する経験をさせてあげてください。

【参考文献】

・『対人恐怖心性と養育体験の関係性について』大久保純一郎・著

●ライター/木村華子(ママライター)

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