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【美白有効成分】徹底解説。透明感を手に入れる!自分に合うアイテムの見つけ方

  • 2025.6.12
教えてくれたのは……

化粧品処方開発者

ぽんかんさん

化粧品メーカーにてスキンケア製品の処方開発を手掛ける、現役の研究者。メーカーとユーザー、どちらにも寄らない中立の立場から情報を発信。客観的で冷静なコメントは信頼できると、Xで大人気!
X:@cosmeresearch

まずはおさらい! メラニン生成のルート

ぽんかんさん

医薬部外品の有効成分として国から認められている美白有効成分は現在約20種類です。美白有効成分の解説の前に、改めておさらいしたいのがシミ発生のメカニズム。これを知っておくと美白有効成分が肌に働きかけるメカニズムも理解しやすくなります。


【美白有効成分】徹底解説。透明感を手に入れる!自分に合うアイテムの見つけ方

紫外線などの刺激を受けると、表皮細胞からメラノサイトに信号が送られる。その信号をキャッチしたメラノサイトでは、チロシナーゼという酵素の作用により、チロシンというアミノ酸が徐々に形を変えてメラニンがつくられる。完成したメラニンが表皮細胞に移動して過剰に蓄積したり、ターンオーバーがうまく働かなくなったりすることで、メラニンが肌内部に停滞することでシミやくすみにつながる。

ぽんかんさん

美白有効成分の歴史としては、まずはメラノサイト内でメラニン生成をサポートする「チロシナーゼ」活性阻害のメカニズムを持つ成分が使われ始めました。そこから、そもそもの刺激によるメラノサイトへの信号をブロックするものや、メラニンの排出をサポートする成分などにも研究が進んでいます。美白有効成分の分野は今も盛んに研究が進化し続けています。


代表的な美白有効成分を全解説!

美白有効成分はその働きに応じて大きく4つのカテゴリに分類できる。それぞれを解説!

1:炎症や指令をブロックしてメラニンをつくらせない

代表的な成分 トラネキサム酸、グリチルレチン酸ステアリル、カモミラET

ぽんかんさん

トラネキサム酸は、プロスタグランジンという炎症物質の生成を抑制し、情報伝達物質に働きかけるため、メラニンをつくる指令をブロックするので、美白効果だけでなく炎症を抑える効果も期待できます。
間接的なアプローチでメラニン生成を抑制しますが、肌への刺激は比較的マイルドながら肌効果を発揮してくれる成分が多いため、このメカニズムの美白成分はいずれも敏感肌の方も使いやすいと思います。
炎症を抑えてくれる効果もあるため、炎症ケアとして日常的に取り入れるのもおすすめです。赤みが気になる人、肌が敏感に傾きがちな方に選んでいただきたい美白有効成分です。


2:黒いメラニンをつくらせない! チロシナーゼ活性阻害

代表的な成分 ビタミンC誘導体、4MSK、コウジ酸など

ぽんかんさん

メラニンは、表皮と真皮の境にある基底膜のメラノサイトの中で生成されます。もともと黒い色素をしているわけでなく、薄い色から徐々に酸化して黒くなってしまいます。この過程で働く酸化酵素がチロシナーゼです。この働きを阻害するのがビタミンC誘導体、4MSK、コウジ酸など。直接黒くなるメラニンの数を減らしてくれるので比較的美白効果がわかりやすく期待できる成分が多い一方で、人によっては刺激を感じやすい場合も。


ビタミンC誘導体はこんな人におすすめ

ピュアなビタミンCであるアスコルビン酸は即効性が高く、肌の色ムラやにごりが気になる人、手ごたえが欲しい人におすすめ。ビタミンC誘導体は、刺激がマイルドなものが多く使いやすい。しかし、どのような誘導体の構造になっているかによって抗酸化力も変わるので、一概には評価が難しい。

4MSKはこんな人におすすめ

チロシナーゼ活性阻害に加えて、ターンオーバーを整えてメラニン排出をサポートする働きも持つ。化学構造としてはピーリング効果のある成分として知られるサリチル酸の誘導体。

コウジ酸はこんな人におすすめ

最大の特徴は美白成分の中でも特に分子量が小さいこと。肌に浸透しやすいため効果も期待できる。手ごたえを感じたい人はもちろん、黄ぐすみのもとAGEsをつくらせない抗糖化作用も報告されているため、黄ぐすみが気になる人におすすめ。

3:メラニンを表皮細胞に渡さない! メラノソーム輸送抑制

代表的な成分 ナイアシンアミド

ぽんかんさん

つくられてしまったメラニンは、メラノサイトの触手から表皮細胞に受け渡されます。表皮細胞に受け渡されて蓄積してようやくシミ・くすみとなって現れます。シミにつながるかどうかの最後の砦として働いてくれるのがナイアシンアミドです。できてしまったメラニンを表皮細胞に受け渡すのをブロックしてくれます。


特徴とこの成分がおすすめの人

ぽんかんさん

濃度によっては肌荒れ防止、シワ改善の効能も認可されている成分です。透明感のみならず、肌全体を総合的に底上げしたい人におすすめできます。美白有効成分の中では比較的マイルドな刺激性なので敏感肌の方にも一度試していただきたい成分です。


4:できてしまったメラニンを追い出す! メラニン排出促進

代表的な成分 デスクパンテノール、エナジーシグナルAMP

ぽんかんさん

シミがある部分はターンオーバーが遅れてしまうというエラーが起きています。そのエラーを立て直してくれるのが、デスクパンテノールやエナジーシグナルAMP。ターンオーバーを正常化して、メラニンを含んだ表皮細胞を排出してくれる効果が期待できます。関所で止められなかったメラニンを追い出してくれるイメージです。頑固なシミがある人、くすみが抜けない人におすすめです。


認可は取得していないけど、メラニンにアプローチする成分もある

ぽんかんさん

ビタミンC誘導体の1種としておなじみのAPPS(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)は水にも油にもなじみやすい両親媒性の性質を持っているため、肌の奥まで浸透しやすくチロシナーゼ活性阻害効果が期待できますが、美白美容液などの医薬部外品への使用は許可されていない成分です。また、植物エキスの中にもチロシナーゼ活性阻害などの働きによりメラニン生成の抑制が期待できる成分もあります。これらの成分は、美白有効成分と同時配合することで有効成分をサポートする働きが期待できます。


美白ケアの疑問を一問一答!

自分に合う美白コスメを見つけるコツは?

ぽんかんさん

今現在の自分の肌悩みを観察して、すでに頑固なシミやくすみが気になるならメラニン排出促進成分が入ったアイテムを、これからのシミを予防したいなら炎症をブロックしつつマイルドに美白効果を発揮する成分が入ったアイテムを選ぶなど、悩みに合わせたアイテムを選びましょう。上級者の方は、複数のアイテムで、異なるメカニズムでメラニンにアプローチする成分を組み合わせるのもいいでしょう。


メラニンは肌に必要なものだけど、働きを抑えてもいいの?

ぽんかんさん

実に良いご指摘ですが、体の中の情報伝達はとても複雑です。美白コスメを使ってメラニン生成を一部ブロックしたところで、肌の機能が完全に止まることはありません。美白化粧品の効果でメラニン生成を完全にゼロにすることは難しく、刺激によって過剰に生成される分を減らしてくれると認識いただければよいかと思います。
美白の有効成分が承認されるためには実は効果だけではなく、必ず安全性も同時に確認されています。メーカーは、安全性を確保しながら成分を開発しますし、国も人体に強い影響を与えるような過剰な効果が出ていないかデータを確認しているので心配し過ぎることはありません。


敏感肌が美白ケアで気を付けるべき点は?

ぽんかんさん

効果を求めるあまり、肌に合わない、刺激が強いコスメを使い続けるとそれが刺激になってシミ(炎症性色素沈着)に繋がる可能性も。そうなってしまっては本末転倒なのでマイルドなアイテムを選んで、長い視点でケアしましょう。


イラスト/もちづきいずみ 取材・文・構成/剱持百香

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