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「傷ついた気持ちを曝け出せる人って本当にカッコいい」韓国映画ファンもそうでない人にも刺さる『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』を映画ファンはどう観た?

  • 2025.6.12

周囲になじめずに生きてきた男女が出会い、唯一無二の友情を育んでいくヒューマンドラマ『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』(6月13日公開)。第49回トロント国際映画祭に出品され、“韓国のゴールデン・グローブ賞”と言われる第61回百想芸術大賞で5部門にノミネートされるなど国内外で注目を集めてきた。本作の魅力を上げるなら、ストレートに笑って泣けて、主人公2人の生き方からも大きなエールがもらえるところ。すでに鑑賞している人からも、「元気をもらった」「自分らしさについて考えさせる作品だった」「思わず泣いてしまった」などの声が続出し、普段はあまり韓国映画に触れていない映画ファンもハマっている。本作のなにが心に刺さるのか?試写会で一足先に鑑賞し、ハッシュタグキャンペーンに参加したユーザーの声からひも解いていく。

【写真を見る】キム・ゴウンとノ・サンヒョンが抜群のケミストリーで魅せる最高の関係性に「こんな親友がほしい!」という声が続々

正反対の男女が互いを支え、肯定し合える親友になっていく

自由奔放でエネルギッシュなジェヒと、穏やかで繊細なフンス。同じ大学に通う正反対の2人はある出来事をきっかけに特別な絆を結び、やがて一緒に暮らし始める。なににも縛られず、恋愛も自由に楽しんでいるジェヒに対し、フンスはゲイであることを周囲に隠しながら、孤独な日々を送っていた。相手の性格や境遇を肯定し、支え合うジェヒとフンスは互いにとってかけがえのない存在になっていく。そんな2人が恋愛や就職、容赦ない社会の規範にもさらされるなか、友情が試される事態にも直面する。

自由奔放でエネルギッシュなジェヒ [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
自由奔放でエネルギッシュなジェヒ [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

主人公のジェヒとフンスを演じるのは、『破墓/パミョ』(24)で百想芸術大賞の女性最優秀演技賞を受賞したキム・ゴウンと世界的ヒット作「Pachinko パチンコ」で注目を集めた新鋭、ノ・サンヒョン。さらに、『パラサイト 半地下の家族』(19)、「愛の不時着」のチャン・ヘジン、「涙の女王」のクァク・ドンヨン、「海街チャチャチャ」のイ・サンイ、『見知らぬ隣人』(22)のオ・ドンミンら豪華キャストが集結。原作は世界三大文学賞「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」にノミネートされたパク・サンヨンによるベストセラー小説で、『女は冷たい嘘をつく』(16)のイ・オニが監督を務める。

ゲイであることを周囲に隠しながら孤独に生きているフンス [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
ゲイであることを周囲に隠しながら孤独に生きているフンス [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

「テンポよき、物語よき、映像よき、演技もよき!」…ジェヒとフンスの友情が鬱屈した感情もふっ飛ばしてくれる

本作が愛される作品になっているのは、やはりジェヒとフンスが育む関係性のよさに尽きる。周囲と距離を置くフンスの懐に遠慮せずに飛び込んでいくジェヒ。当初は迷惑そうにしていたフンスも、彼女の繊細な内面にも触れ、悩みや秘密を共有していくうちに親友になっていく。時にコミカルに、時に涙を誘う2人のやり取りが、特に心に残ったという声が相次いでいる。

「笑えて泣ける、大好きな映画になりました。最近モヤモヤすることが多かったのですが、観終わったあとは自分もがんばろうと前向きな気持ちになれました!」

「劇中で描かれる期間が長いのですが、決して駆け足な感じはなくすばらしくまとまりがいい。全体的に笑いがちりばめられていて、エンタメ性もすっごく高い」

「テンポよき、物語よき、映像よき、演技もよき、全体的にかなり大好きな映画。もうずっとのめり込んで観ていた」

「心の傷、そしてかけがえのない絆の表現が秀逸でした。必ずしも普通であることが幸福だとは言えないのでは?愛とは一体なんなのか?学び多き映画で満足」

「登場人物の気持ちがリアルで、いろんな場面でグッときました。映像もすごくキレイで、世界観にどっぷりハマりました」

「大好きな映画の一つになりました。それは2人の喜怒哀楽、心の動きが丁寧に描写されていたからかと。私も2人のように、自分らしく、ありのままで、生きてみようと思わされるような作品でした」

「2人の関係性が本当にすてきで、せつない場面もあり何度も涙が流れました」

「主人公の心の動きや葛藤が丁寧に表現されていて、作品に没入することができた。社会問題も盛り込み、リアリティあるストーリーがおもしろかった」

「異質なものを排除しようとする社会へのメッセージが胸に刺さり、観終わったあとも心があたたかくなる。この映画が多くの人に届きますように」

ジェヒとフンスと同じ境遇にはいなくても、日々の日常の中で孤独を感じていたり、ルールを押し付けようとする社会に窮屈な思いをしている人は多いはず。本作はそんな生きづらさを抱えている者に寄り添い、鬱屈した感情もふっ飛ばしてくれる。ほとんど韓国映画を観たことがなくて楽しめるかな?と思っていた人たちも完全にのめり込み、晴れ晴れとした気持ちになっている。

ひょんなことからジェヒとフンスはかけがえのない親友になっていく [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
ひょんなことからジェヒとフンスはかけがえのない親友になっていく [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

「こんな親友がほしい!」「主演2人のアンサンブルが最高!」…キム・ゴウンとノ・サンヒョンのケミに絶賛の声が続々

ジェヒとフンスを魅力的なキャラクターに作り上げたキャストの演技にも絶賛の声が。老詩人を魅了する少女を演じた『ウンギョ 青い蜜』(12)で鮮烈なデビューを飾り、「ユミの細胞たち」「シスターズ」「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」といったドラマシリーズでも活躍し、『破墓/パミョ』でのシャーマン役で強烈な印象を残した演技派のキム・ゴウン。高身長と端正なルックスが目を引くノ・サンヒョンはモデルとして活動を始めたのち、ラナ&リリー・ウォシャウスキー姉妹が手がけた「センス8」に出演し、4世代に渡る在日コリアンの家族の物語を描いた「Pachinko パチンコ」で牧師イサク役を熱演するなど今後の活躍に期待がかかる新鋭だ。

【写真を見る】キム・ゴウンとノ・サンヒョンが抜群のケミストリーで魅せる最高の関係性に「こんな親友がほしい!」という声が続々 [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
【写真を見る】キム・ゴウンとノ・サンヒョンが抜群のケミストリーで魅せる最高の関係性に「こんな親友がほしい!」という声が続々 [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

同世代とはいえ俳優としての実績はキム・ゴウンがより豊富だが、ジェヒとフンスとなった劇中での両者はとにかく息ぴったり。過度に縛り付けることはなく、でも落ち込んだり、悩んだり、傷ついた時には、例えケンカをしていても駆け付けるなど、大切に想い合っていることがひしひしと伝わってくる。そんなケミストリーがとにかく愛おしく、「こんな親友がほしい!」とうらやましくなるほどに眩しい。

「すてきな友情映画。ジェヒが恋愛で幸せになった時のクシャクシャの笑顔を見せるフンスに、思わずこちら側も笑顔に。波乱万丈な人生だけど2人でいれば問題なし!こんな親友がほしいと思った」

「よく知りもしないで上辺ばかり見る冷たい視線なんていらない。飾らない言葉で隣に居てくれる関係、最高じゃないか!!傷ついた気持ちを曝けだせる人って本当にカッコいいと思う」

「つらくて悲しい時にお互いを思いやり、相手のために時に怒り、泣きたい時には肩を貸してあげる関係がまぶしい」

「キム・ゴウンさんが好きだし、内容もおもしろそうと期待していたけど、想像以上におもしろくて最高でした。最後の結婚式のシーンは最高の親友過ぎて涙が流れていました」

「ただのラブストーリーではなく、ただのジェンダー物語でもない。フラットな社会で自由に生きたい親友同士の物語」

「クィアの男性と大胆不敵な女性の友情物語!韓国のクィアに対する姿勢がわかるのも興味深かった。なにより主演2人のアンサンブルが最高!」

「2人の喜怒哀楽を3人目の友人としてハラハラしながら見守るようなあたたかい気持ちになれる。キム・ゴウンがいいのはもちろん、ノ・サンヒョンもとてもいい!」

「ジェヒとフンスの関係。家族であり親友であり、唯一無二。『あんたらしさがなんで弱点なの?』。そう言って全てを受け入れる2人のすてきな関係に涙」

「キム・ゴウンとノ・サンヒョンの繊細な感情表現がすばらしくて、久しぶりにいい涙が流れ浄化された気分」

「ゴウンちゃんもノ・サンヒョンも魅力全開で最高の2人だった!ありのままの自分でいられるだけで人はもっと幸せになれる。世の中に固められた常識じゃなく、自分の価値観で生きたくなる」

「この冷たい世界に生きる全ての人に観てほしい心あたたまる物語。小さなテーブルを囲んでご飯を食べたり、一つ一つのシーンをいま思いだしただけでも心がギュッとなる。お互いを守り合い、自分らしさを肯定し合える関係性」

思ったことはなんでも言い合うなど気の置けない関係性が愛おしい [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
思ったことはなんでも言い合うなど気の置けない関係性が愛おしい [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

「自分を見失いそうになった時にエールを贈ってくれる」…ジェヒとフンスの生き方に誰もが励まされる!

大学でも堂々とタバコを吸い、破天荒な振る舞いに対する周囲の好奇な目に毅然とした態度で立ち向かうジェヒだが、それでも心無い言動には深く傷つきもするし、社会の中では自分を曲げることを強いられる場面にも直面する。ゲイであるフンスもまた、そのことを周囲に隠して生きてきただけでなく、母親から理解を得られないことにも苦しんでいた。

周囲になじめず、破天荒な振る舞いから好奇な目にもさらされているジェヒ [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
周囲になじめず、破天荒な振る舞いから好奇な目にもさらされているジェヒ [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

状況は違ってもつらい感情を共有できる2人だからこそ、お互いが理解でき、ありのままで生きていいんだと自身のことを肯定的に捉えられるようにもなっていく。そんな生き方に、似た悩みも抱える人たちも励まされ、「自分らしさは弱点ではない」のだと背中も押してくれる作品になっている。

ゲイであることをジェヒにバレてしまったフンスは「弱みを握られた」と思っていたが、そんなフンスに対して、「あんたらしさが、なんで“弱み”なの?」と、大したことじゃないという感じで問いかけるジェヒ。心も体も傷だらけになって、「あんたの言うこと聞けばよかった」と後悔するジェヒを、「それがお前だ。体当たりして傷を負っても笑い飛ばす、無謀な女」と、優しく微笑みながら励ますフンス。そんな2人を観ていると、「自分は自分のままでいいんだ」という気持ちになる。

「ジェヒの言葉が観た人の背中を押したり、心の支えになったりすると思う。他人からの目を気にしてばかりいるのはもったいない。もっと自分らしく生きていいのだとジェヒが教えてくれた」

「日々感じていたことがたくさんあって共感。『あんたらしさがなんで弱点なの?』と言い放つ自由奔放なジェヒがジェンダーを隠すフンスを救う。観れば自分らしくなれる映画」

「人の目を気にして生きるのも気にせず生きるのもしんどい。多様性を描く作品はたくさんあるけど素直にみんなが自分らしく生きられたらいいと思えた」

「『自分らしさは弱点ではない』ということを教えてくれ、自分を見失いそうになった時にエールを贈ってくれるようなすてきな作品でした」

「ありのままの自分は決して隠すことではないしマイナスでもない。自分やほかの誰かの全てを受け入れることを、自分にも世の中にも強く願う作品でした。なんだか、生きていく勇気をもらいました」

「『あなたらしさは弱みにならない』と生きづらさに燻る気持ちを全部ぶちまけて抱き締めるすてきな映画。説教も知ったかぶりもない、寄り添いたい相手への愛し方。なんだか懐かしいザ・韓国映画」

「自由奔放なジェヒとゲイを隠して生きる孤独なフンス。正反対な2人が友情を育む感動傑作。自分らしさを出せない世知辛い世の中だけど、『大丈夫だよ』とそっと後押ししてくれる。なんて優しい映画なのだろう。自分らしくいること、それは弱点ではない」

「単なる恋愛映画に留まらず、都市で生きる若者たちのリアルな姿や、社会の中での葛藤も描いている。正直に生きることはすばらしいし、強い」

「『どんなことがあっても大丈夫だから!』と背中を叩かれたような気持ちのよさが残り、力強い愛があふれ励まされた」

互いに認め合い、自分自身を肯定する大切さも教えてくれる [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
互いに認め合い、自分自身を肯定する大切さも教えてくれる [c] 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

このほか、「自分もがんばろうと前向きな気持ちになる」や「『大丈夫だよ』とそっと後押ししてくれる優しい映画」、「胸に響くセリフがたくさん」といった声が数多く見られた。どの言葉にも共通するのが、観れば誰もが優しい気持ちに包まれる最高のエールムービーであるということ。ぜひ劇場で鑑賞してほしい。

構成・文/平尾嘉浩

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