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【せいろの選び方】「ズボラも簡単に使えるもの」をプロに聞いてみた!

  • 2025.5.10

「せいろ初心者はどれを選べばいい?」の正解を解説!

教えてくれたのは……

かごや

阿部里海さん

せいろやかごを取り扱う東京・阿佐ヶ谷の専門店。創業五十余年、中国に技術を継承した提携工房を構え本格的な竹製と杉製のせいろを製作し、提携メーカーの国産ひのきせいろとともに店舗とオンラインショップにて販売。またHPの「せいろQ&A」や、せいろのサイズ別レシピを掲載している「かごやブログ(note)」は選び方の参考に。
https://www.kagoya-onlinestore.jp/

【せいろの種類】「和せいろ」と「中華せいろ」、2つの違いを説明します!

【せいろの種類】「和せいろ」と「中華せいろ」、2つの違いを説明します!

いわゆる中華料理店で点心を蒸しているのが中華せいろ。家庭では野菜、肉魚類、冷凍ごはんやパンの温め直しといった普段使いに向いていて、一般的な火力なら三段まで重ねて調理可能。和せいろは厚みのある木製のフタと、しっかり深さのある本体が特徴。茶碗蒸しやおこわといった深さが必要なものや、大きなイモをまるごと蒸す時に活用されます。
せいろビギナーがまず買うなら、中華せいろがおすすめ。

中華せいろの素材はおもに3種類

竹せいろ

●竹せいろ
本場の中国や台湾で古くから使われている主流の素材。フタの網代から余分な蒸気が抜けるので食材が水っぽくならずふっくら蒸し上がります。手に取りやすい価格帯なのと、蒸しても竹の香りがそこまでしないので使いやすさはピカイチ。

杉せいろ

●杉せいろ
日本人になじみのある杉をせいろの側面に使用し、蒸し始めると杉の香りがキッチンにふわっと立ち込めます。底のすのこは竹製。フタの網代も竹で編むことで余分な蒸気がきちんと抜ける製法。価格帯はもっともリーズナブルなので、スターターのお試しで使ってみるならコチラ。

ヒノキせいろ

●ヒノキせいろ
せいろ上級者に好評の素材。底のすのことフタの網代は竹製で機能性はそのままに、厚めの国産ヒノキを側面に使用しています。耐久性と木目の美しさは一級品。価格は他の素材より数倍上がるけど、調理器具にこだわりたい人や贈り物にも人気。

【サイズ選び】15.5cmから30cmまで! 家族の人数で考えて

せいろは直径が2~3cmごとにサイズ展開されているので、作りたい量や家族構成によってセレクトを。

1人分なら、ある程度食材を詰めることができて収納の場所をあまり取らない直径15.5cmと18cmをチェック。肉まんが1つ入るくらいのサイズ感。

2~3人分や、1人暮らしでもある程度作り置きするなら21cmや24cmのせいろがおすすめ。これは肉まんがふたつ入る大きさ。インゲンやナスをカットしないでそのまま蒸せるサイズ感です。そこそこ余裕のある大きさなので、食材を耐熱容器に移して、そのまませいろに入れて蒸すこともできます。

もちろんサイズを変えなくても、重ねる段数を調整すれば応用は可能。たとえば直径18cmのせいろを2段にして2人分にしたり、3段にして3人分にしてもOK。キッチンの収納スペースも考慮して選びましょう。飲食店などでは一度にたくさん蒸せるよう、直径30cmの大きなせいろがよく使われています。

【鍋の選び方】せいろに合う鍋・合わない鍋を解説

【鍋の選び方】せいろに合う鍋・合わない鍋を解説

せいろを上に重ねる、湯を沸かすための鍋選びは、せいろを重ねた時の安定性を重視!
鍋の内側に、せいろを安定させる段差がついている専用鍋や、安定しやすい両手鍋で、かつ、湯をたっぷり沸かせる深めのタイプが最適。

【鍋の選び方】せいろに合う鍋・合わない鍋を解説

逆に、せいろを重ねたときにグラグラする鍋や、底が丸い片手中華鍋のようなものは安定性に欠けるので、せいろと同じ直径だとしても使うのはNGです。また、せいろより小さい直径の鍋や注ぎ口のあるタイプも、隙間から蒸気が逃げてうまく蒸せないので不向き。
もし家にある鍋(注ぎ口のないもの)を活用する場合は、鍋とせいろの間に挟んで安定させる「蒸し板」を購入するのがベター。直径のサイズが多少違っても、隙間から蒸気が漏れることなくきちんと蒸すことができます。

蒸し板

また、ステンレス素材の鍋なら、湯が早く沸きやすいという利点があります。

結論! 初心者さんが買うなら【竹せいろの2段と専用鍋のセット】

竹せいろは素材の香りが一番控えめで、誰でも扱いやすい。もちろん、木の香りを楽しみたいという方は杉やヒノキでも◎!
また、何段買うかも悩むところですが、おすすめは2段。せいろの魅力はなんといってもいろんな食材を同時に調理できるところ。1つのせいろに食材をぎっしり詰めるのもいいけれど、下段に肉や魚類、上段に野菜類をバサッと入れて蒸すだけで、栄養バランスのとれた食事がラクに完成するし、異なる味つけごとに段を変えて品数を増やすこともできます。専用鍋はお湯が早く沸くステンレス製なのと、せいろがぴったりハマる形状なので安全安心。蒸気が漏れることなく失敗を防げます。

せいろの正しい使い方を解説!

1.せいろは使う前にサッと水で濡らしておく
せいろを水で濡らしてから使うと、食材の汚れやにおいがつきにくくなるし、焦げ防止にも効果的。

2.鍋に水を入れて湯を沸かす
鍋の9分目(上にのせるせいろの底につかない)くらいまで水を入れて沸騰させる。この間に野菜をカットしたりして食材の下準備をするのもアリ。

「空焚き」には注意!
蒸している最中、お湯が蒸発しきって空焚きになると食材は蒸されず、鍋も焦げて危険。最初からたっぷり水を入れるのはもちろん、もし容量の少ない鍋なら予備のお湯を用意しておき、調理中でもせいろをおろしてつぎ足すことを忘れずに。

3.沸騰したらせいろを鍋の上にセット

沸騰したらせいろを鍋の上にセット

沸騰したら食材を入れたせいろを鍋の上にのせ、蒸気が出続けるくらいの火力をキープ。ガスコンロの場合はせいろの底のふちが焦げやすいので、鍋底から火がはみでないくらいに調整する。

4.時間が経ったら蒸し加減をチェック

時間が経ったら蒸し加減をチェック

レシピの時間が経ったら、火の通りにくいイモ類などは竹串やフォークを刺して確認。蒸し上がった料理はせいろのまま食卓に出してもOK。お皿に移す場合は、食材が熱々なのでトングなどでしっかりつかんで火傷しないように。

【せいろのお手入れ】絶対カビない方法を解説!

使用後は、濡らして硬く絞った布巾で拭けばOK。汚れが気になる場合は、たわしを使って水かお湯で流す程度に。油汚れには中性洗剤を使ってもいいけれど、自然素材なので洗剤の成分が残って浸透しないよう、しっかり洗い流すようにしましょう。
布巾や水で汚れを落としたら、完全に乾くまでは棚にしまわず、風通しのいい場所に出して乾かします。生乾きのまま重ねてしまい込むとカビが発生する原因に!

【せいろのお手入れ】絶対カビない方法を解説!

乾かす際は壁に立てかけたり、S字フックで吊るしたりして“見せる収納”にするのもおすすめです。または使った鍋に放り込むように、蓋と本体をズラして収納するのも◎。それをコンロの上に出しっぱなしにしておけば湿気がこもらないし、何か蒸したいときにパッと使えてせいろ料理が習慣に!

せいろの買い替えタイミングは?

基本的にせいろは消耗品で、使用頻度や環境によって耐久年数は変わります。2年くらいで買い替える人もいれば5年以上愛用者もいるそう。
使い込むほどに表面が少しずつ焦げて黒ずんでくるけれど、この状態でも蒸し加減や味には問題なく使用可能。ただ、ヒビやゆがみが出てきたら蒸気が逃げてしまうので買い替えを検討しましょう!

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撮影/柳原久子 写真提供/かごや 取材・文/飯田帆乃香

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