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女性は赤、男性は青?年を重ね色メガネを外して見た世界は鮮やかだった

  • 2025.4.30

たとえば、性別に色を付けてみよう。
女性は、赤色。男性は、青色。赤色か青色。二つしかない選択肢。

この限られた選択肢に自分の性別を当てはめることに苦しさを感じる人は、いったいどれだけいるのだろう。

◎ ◎

そんなことを、私は公衆トイレを見ていつも思う。女性は赤色。男性は青色。基本、二つしかない選択肢。そのどちらかに、人が吸い込まれていく。そこに迷いはないのだろうか。それとも、迷いに気づかないふりをしているのだろうか。

私自身、女性で生まれた喜びを持っているが、時に自分を女性だと認識することが、恥ずかしい時もある。

小さい頃から、世間的な女性の象徴であるフリルやピンク、レースなどに抵抗があった。もちろんスカートを履くことにも抵抗があった。

しかし、恋バナやオシャレには興味があったし、淡い恋もたくさん経験した。

しかしその一方で、ゲームをしたり、かっこいい服を着たり、先頭に立ち皆んなを引っ張っていくリーダーになることが好きな自分もいた。

私は女性だけど、100%女性になりきれていないと感じながら生きていたのだ。どことなく、私には赤色だけではなく、青色も混ざっていることを感じていた。

◎ ◎

そんな私が変なんだと思い込み、いつからか"赤色のメガネ"をかけ始めていた。

無理矢理に赤色のメガネをかけて、私が見える世界を変えようとしていたあの頃。しかし鏡に映った自分を見ると、赤色と青色が混ざって、濁って見えたのだ。どうして私は綺麗な色じゃないのだろう、と何度も悲しい思いをした。

高校を卒業し、制服を脱いだ私。進学した先はほとんど女性の環境だった。今思えば、それが大きく変わったきっかけだったと思う。

周りがほとんど女性しかいない環境。だからこそ皆んなが性別を気にせず過ごしていた。多少だらしなくてもいい。着飾らなくてもいい。ありのままの自分でいられる環境。

その時に初めて、無理に赤色のメガネをかけずに、本当の私をさらけ出すことができたのだ。

メガネを外した世界は、とても鮮やかで美しく見えた。鏡に映った私は、もう濁ってはいなかった。鮮やかなグラデーションをした私がそこには映っていた。

◎ ◎

歳を重ねるにつれ、さまざまな人に会い、さまざまな場所に行き、多様な価値観に触れたことで、いつしか赤色のメガネをかけることを手放すことができた私。単色という概念しかなかった世界は、本当は色鮮やかで素晴らしい世界だったことを知った。

見え方が変わった私は多様な価値観を認めることができるようになった。

赤色の女性もいるし、赤紫色や青紫色の女性もいる。もちろん赤色の男性だっているのだ。誰だって、綺麗なグラデーションの色を持っているのだ。

メガネというアイテムを使って、自分の見えるものを矯正しようとして苦しんでいた私。女性=赤色という決めつけをして、無理矢理に赤色のメガネをかけていた私。

しかし、その経験は無駄ではなかった。そこでもがいて悩んで苦しんだからこそ、今こうして鮮やかな世界を見ることができている。

◎ ◎

私のように、色メガネをかけて苦しんでいる人はいるのだろうか。もしいるとしたら、そっと手を差し伸べて、外す手伝いをしたいと思う。

世界中の人が、色メガネを外して、裸の瞳で世界を見ることができたら、もっと素敵な世界になるに違いないと、私は思っている。

■シュリのプロフィール
北海道在住。アウトドアや創作が好き。自分の好きに正直に生きたい。自由に表現する方法を日々模索中。 note:https://note.com/syuriro/

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