1. トップ
  2. 恋愛
  3. 介護中の母と温泉旅行がしたいけど心配…79歳・要支援2の母でも安心な宿選びや観光のポイント

介護中の母と温泉旅行がしたいけど心配…79歳・要支援2の母でも安心な宿選びや観光のポイント

  • 2025.4.28

年末年始、母娘でゆっくり旅行に行けたら……。51歳女性から「要支援2の母(79歳)と一緒に温泉旅行をしたいです。宿選びや観光について注意点は?」というご相談が寄せられました。介護・暮らしのジャーナリスト、太田差惠子さんが回答します。

回答者プロフィール:太田差惠子さん

回答者プロフィール:太田差惠子さん(介護・暮らしジャーナリスト)

おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」 等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)など多数。最新刊は『子どもに迷惑をかけない・かけられない!60代からの介護・お金・暮らし』(翔泳社)。

51歳女性「介護している79歳母と旅行がしたい」

夫婦ともに51歳、79歳で要支援2の母を介護しています。

母は、いつもはデイケア施設でお風呂や食事を済ませてくるのですが、温泉が好きだった母を旅行に連れて行きたいと考えています。

ヘルパーさんを一緒に連れていけないので、私と夫ですべてをサポートしなければならないのですが、どこまでできるか不安です。

宿選びのポイントや注意点などがあれば、教えてほしいです。

(51歳女性・KTさん)

太田さんの回答:「旅行」を目標に元気になる人もいます!

「旅行」を目標に元気になる人もいます!

 介護が必要なお母様を温泉に連れて行きたいとお考えのKTさん。お母様はもともと温泉好きとのことなので、きっと素敵な時間となることでしょう。

介護が必要になると、行動範囲が狭くなり、ご本人も介護者も「旅行なんて、もう無理だ」と諦めがちです。けれども、多くの方にとって、“旅行”とはワクワクの原動力。思い切って予定を立てると、前向きな気持ちになるケースが少なくありません。

一例ですがこんな方がいました。Aさんとしましょう。Aさんの父親(80代)は、がんの手術後、精神的にも肉体的にもすっかり弱ってしまったそうです。父親に対し、少しでも前向きになってほしいと願ったAさんは、「2か月後に、温泉に行こう」と父親に提案。

父親の枕元のカレンダーには、その予定をサインペンで書き込みました。車で1時間ほどの宿で、父親は何度か訪れたことがある、お気に入りの宿です。

Aさんの父親はうれしかったのでしょう。それから、リハビリをがんばり、笑顔が増え、実際、2か月後に家族揃って出掛けることができました。

後日「父の方から、『次はどこへ行こう』と言うので、新たな計画を立て、また父のカレンダーに書き込みました」とAさんはうれしそうに話していました。

もちろん体調にもよりますが、“ニンジンをぶら下げる”と意欲を引き出せるのは、年代問わず同じなのかもしれません。

初旅行はハードルを低く設定して!

太田さんの回答:初旅行はハードルを低く

KTさんのお母様は要支援2ということなので、サポートすれば、ご自身で歩けるだろうと推測します。それでも、初めての旅行は無理をせず、ゆったりプランを立てましょう。

観光はせずに宿に直行か、観光するにしても、1か所に限定するなど、欲張らないことが大切です。階段が多いところは避け、事前にトイレの場所は確認しておくと、さらに安心です。

宿を選ぶときは、Aさんのところのように“本人の行ったことがある旅館”を選ぶなど、ハードルを低く設定しましょう。

新たな宿にトライするなら、例えば「バリアフリー旅行×〇〇(温泉地)」というように検索をして探しましょう。いろいろな紹介サイトが出てくるので、参考になります。

ただ、「バリアフリー対応宿」との記載があっても、一部のみの対応であったり、実際には大浴場に行くまでに階段があったり、手すりや補助いすがなかったりすることもあります。詳細は直接宿に確認する方がいいと思います。

少々値段は高くなりますが、露天風呂付きの客室(バリアフリー対応)を探すのも一案です。それでも心配なら、事前に下見に行くと安心でしょう。

宿までの往復は、自家用車だとベストですが、公共交通機関を利用する場合は、事前に、駅のエレベーターの場所などを確認しておきたいものです。

多目的トイレの場所も要チェックです。座席指定をできる乗り物を利用するか、それほど遠くなければ、タクシーを利用するのも手です。駅への送迎がない宿なら、駅にタクシーが待っているか事前に宿に聞いておきましょう。都会のように、アプリでタクシーを呼ぶことができない地域もあります。

また、病状によっては、念のため、旅館の近くの救急病院の場所をチェックしておくといいでしょう。

観光介護タクシーや車いす対応のツアーなども活用

観光介護タクシーや車いす対応のツアーなども活用

今後、要介護度が重度になっても、本人が希望し、医師やケアマネジャーに相談してGOサインが出れば、無理のない範囲で旅行を実行してもいいでしょう。

高齢の方でも、障害のある方でも、誰もが楽しめるバリアフリー旅行という考え方が広まっています。観光介護タクシーのドライバーなら、ヘルパーの資格を取得しており、サポートしてくれます。

また、車いす利用の方のツアーを企画したり、旅全般をマネジメントしたりする旅行会社もあります。いろいろなサービスを利用しながら、ぜひお母様と楽しい時間を過ごしてください。

※この記事は2023年2月の記事を再編集して掲載しています。

専門家に相談したい質問を募集中です!

連載「女性のための人生相談」では、専門家の方に相談したい内容を募集中です。下記応募フォームに、人間関係やこれからの生き方、恋愛などについて、相談したい内容を書いてお送りください。

応募はこちら

元記事で読む
の記事をもっとみる