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“紙マイクラ”クリエイターも驚く『映画マイクラ』の世界!「ゲームの世界観を壊さずに、実写だからこその細やかな表現」

  • 2025.4.25

四角いブロックだけで構成された世界の中で、自分の好きなようにものづくりや冒険が楽しめる世界的大人気ゲーム「マインクラフト(通称:マイクラ)」。この“マイクラワールド”を、ハリウッドの豪華スタッフ&キャストで完全再現して、まさかの実写映画化した『マインクラフト/ザ・ムービー』が本日公開を迎えた。

【写真を見る】村まで完璧に再現…世界中のファンを魅了した“紙マイクラ”がすごすぎる

全米では2週連続でNo.1、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23)のオープニング興収記録を超えるなど記録的な大ヒットとなっている本作。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、“マイクラ”に精通し、YouTubeチャンネル「KamiCH」にて“紙マイクラ”を制作した動画を発信しているクリエイターの神近に、いち早く本作を鑑賞してもらってインタビューを実施!映画の率直な感想から、気になったというアイテムの質感など、独自の目線で語ってもらった。

登録者数138万人を超える“紙マイクラ”クリエイターの神近にインタビュー! 写真は神近 Kamichika(@t_kamichika)のX投稿より
登録者数138万人を超える“紙マイクラ”クリエイターの神近にインタビュー! 写真は神近 Kamichika(@t_kamichika)のX投稿より

謎のキューブの力で、すべてが四角形でできた異世界に転送されてしまったギャレット(ジェイソン・モモア)とナタリー(エマ・マイヤーズ)&ヘンリー(セバスチャン・ハンセン)姉弟、そしてドーン(ダニエル・ブルックス)の“非リア充”4人。そこはイメージしたものをなんでも創り出せる不思議な世界だった。先住転送民のスティーブ(ジャック・ブラック)が現れていろいろ教えてくれるなか、四角いモンスターたちが次々と迫り来る!さらに、危険たっぷりでなにも創造できないうえに喜びもない、黄金を掘るだけの世界“ネザー”を根城にしたマルゴシャ率いる四角いブタのピグリン軍団も襲来!ピグリン軍団からマイクラワールドを守るため、ギャレットたちはクリエイティブ力を駆使してサバイバルを繰り広げていく。

「理想どおりのものがないなら自分で作ってしまおう!と思ったんです」

もともとは、趣味としてはじめた「マインクラフト」にハマり、その後ゲームだけでは飽き足らず、紙でマイクラを再現して制作した動画を投稿するほど、マイクラの虜となっている神近。その精緻に再現された“紙マイクラ”の世界は、世界中のマイクラファンの目に止まり、開始から4年でチャンネル登録者は138万人にも達している。まずは、『マインクラフト/ザ・ムービー』について語ってもらう前に、どのように原点であるゲーム版に触れてきたのかを話してもらった。

「プレイ歴はもう10年くらいになりますね。素材を求めて冒険したり、施設を作って自動化させたり…とにかく自由度が高いゲーム性が大好きで、当初は本当に1日中遊び続けたりしていました。仕事の都合でプレイできない時期もあったんですが、映画で吹替声優もされているHIKAKINさんやドズル社さんのマイクラの動画を見てブームが再燃して、自分でもYouTubeで動画投稿を始めるようになったんです」。

立方体でできているマイクラ世界 [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
立方体でできているマイクラ世界 [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
紙でできた大量のブロックでその世界を再現しているという 写真は神近 Kamichika(@t_kamichika)のX投稿より
紙でできた大量のブロックでその世界を再現しているという 写真は神近 Kamichika(@t_kamichika)のX投稿より

神近が創りあげる“紙マイクラ”は、ゲームと同じ模様が印刷され、精度の高い紙製の立方体に磁石を仕込み、パチパチと小気味よくつながっていく。まさに、マイクラの3Dブロックが小さくなって現実に出現したような形だ。「実際にマイクラのような雰囲気を楽しむためには、ブロックがたくさん必要で。なので、安く手に入って自分の思い描いたことを表現できる、“紙マイクラ”にしたんです。マイクラのレゴブロックもあるんですが、もっとリアルなおもちゃが欲しくなってしまって、理想どおりのものがないなら自分で作ってしまおう!と思ったんです」。

「ゲーム上は省略されている部分が、映画ではかなり細かく描かれている」

マイクラを心底愛している神近だが、実写映画化が発表された際にはかなり驚いたそう。「正直、どんな映画になるのか全然予想がつきませんでした。ゲームの世界は立方体だらけですし、きちんとしたストーリーや目的も存在していないので。それを実写映画として現実世界とどのように合わせていくのかはとても気になっていましたが、予想以上にかなりおもしろい作品でした」。

マイクラならではの世界観の表現に見入ってしまったと説明する [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
マイクラならではの世界観の表現に見入ってしまったと説明する [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ゲームでのブロックにはいわゆる質感的なものは表現されていない。しかし映画内では、立方体という形はそのままに、岩であれば固さ、木であれば木目の凹凸、動物などは毛のフサフサした感じまでが表現されている。こうしたアレンジも踏まえて、映画におけるマイクラの再現度にはかなり満足したそう。

「もし、僕たちがマイクラの世界に入ったら、本当にこんな感じなんだろうと思いましたね。それくらいセットで作られた世界や、登場する生き物などの再現度はすごく高かったです。マイクラはすべてが立方体で構成されているので、見た目にもすごく特徴があるんですが、それをそのまま現実と融合させるのは難しいだろうなと思っていたんです。それが表面のディテールや質感、現実の世界にあっても違和感のない雰囲気やアレンジも含めて、世界観の表現はとてもいい塩梅だったなと思いました」。

ゲームとは違う質感の表現に注目したという [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
ゲームとは違う質感の表現に注目したという [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

こうした映画だからこその表現は、これまでマイクラに慣れ親しんできた神近にとっても、さらなる想像を膨らますきっかけになったそうだ。「ゲーム上は省略されている部分が、映画ではかなり細かく描いてあるんですよね。たとえばモンスターを倒した時はゲーム上ではただ煙になるだけなんですが、映画ではちゃんと骨がバラバラになって飛んでいく。そうした、ゲームの世界観を壊さずに実写だからこその細やかな表現がアップデートされた映像のおかげで、『本当はこんな感じなのかも!』と補完しながら今後ゲームを楽しめそうだなと思いました。そうした想像力を膨らませるようになれるところも映像化したからのよさかもしれないですね」。

「映画を通して、マイクラ世界のモンスターの存在感や雰囲気を再認識できる」

ゲームでは会話をしないスティーブ、映画では歌って踊って超ハイテンション!? [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
ゲームでは会話をしないスティーブ、映画では歌って踊って超ハイテンション!? [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

映画で登場するキャラクターのなかで最初に驚きだったのは、ブラックが演じたスティーブだったと話す。水色のシャツにブルーのパンツのデフォルトスキン(=キャラクターの姿)の一つであるスティーブは、マイクラプレイヤーならば思い入れがある存在であり、映画でもその姿はしっかり再現されている。

「ゲームでのスティーブは、まったく喋らない寡黙な男なんですけど、映画を観たあとだとジャック・ブラックさんのように、実はゲームの中でもいろいろ喋っているような気がしてきました(笑)。イメージが変わるほどインパクトがあって、喋ったり歌ったりするスティーブをおもしろく観ることができました」。

絶妙なバランスで四角いマイクラのキャラクターが生みだされている [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
絶妙なバランスで四角いマイクラのキャラクターが生みだされている [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

そして、動物やモンスターなどが映画ではしっかり再現されているが、これらの実写映像化にはどのような感想を抱いたのだろうか?

「モンスターもすごくよかったです。マイクラはモンスターも立方体で構成されていて、見た目は結構ポップで可愛く描かれているので、“実在感”をなかなか創造できないんですが、映画ではかなりガチでモンスターになっていて、気持ち悪さや怖さもありましたね(笑)。『モンスターってこういうことだよね』とすごく納得できるというか。ゾンビは腕をもぎ取られるシーンがあるんですが、その時に『ああ、ゾンビだからこういう表現もできるよね』と。ゲームの中だとゾンビじゃなくて、ゾンビのビジュアルをしたキャラクターだと思っていたりするので。映画を通して、マイクラ世界のモンスターの存在感や雰囲気を再認識できるのもおもしろかったです」。

モブキャラの個性にも改めて気づくことができる!? [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
モブキャラの個性にも改めて気づくことができる!? [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

「ギャレットには本当に感情移入しながら観ちゃいました」

こうしたゲームを映像表現する部分だけでなく、マイクラを映画にするために付け加えられた、オリジナルの要素であるストーリーやドラマに関しても、強く共感できたという。なかでも、1980年代にゲームチャンピオンとして人気を博したものの、いまはなにをやってもうまくいかない中年男性である“ガーベッジマン”ことギャレットには、感じ入るものが多かったそうだ。

実は大人にも刺さるポイントが! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
実は大人にも刺さるポイントが! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

「ギャレットには本当に感情移入しながら観ちゃいましたね。映画を観ながら、彼と僕は共通点が多いなと感じていて。人間って、結局なにをやってもうまくいかない、失敗ばかりの時ってあるじゃないですか。映画のギャレットはまさにそういうキャラクターなんですよね。でも、彼は背水の陣でイチかバチかやってみようとする。そういう思いって大事だなと思わせてくれるところはよかったですね。それこそ、僕も全然うまくいかないことばかりという時にマイクラに助けられたんですが、アイデアを活かせば道が切り開けるところとか、頑張ってよかったと思える時がある感じは、共感しましたね。映画としてはマイクラ好きの子どもでも楽しめるようにネタをたくさん仕込んでいるんですが、一方で大人には大人の楽しみ方ができるようなメッセージ性が込められているのも大きな魅力だと思いました」。

実写映画としてのおもしろいものを魅せる新たな可能性を示しているが、マイクラファンから見ると、まだまだ映画化できる要素が多く残っているそうだ。今作の世界的大ヒットを受けて、続編に大きな期待を膨らます。

“ガスト”たちに追われる空中戦も展開! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
“ガスト”たちに追われる空中戦も展開! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

「マイクラは基本的にはストーリーはないんですが、ボスキャラはちゃんと存在しているんです。でも、今回の映画ではそこはまったく出てこなかったんですよ。エリア的にも砂漠とか海底神殿が登場する舞台もあるし、エンダードラゴンが生息する『ジ・エンド』というワールドもあって。それぞれは景色が一変するので、そこを舞台にした物語も楽しそうです。実写での表現がここまでできるとわかったので、夢は広がりますね」。

そしてマイクラが10年以上も愛される理由の一つである、ゲームに新たな要素が加わる“アップデート”に絡んだネタなども込められており、そこもファンとして楽しめたポイントだ。「ガストという浮遊しているモンスターがいるんですが、ゲームの次のアップデートではガストにゴンドラを付けて移動できるようになるんです。それが映画のほうではいち早く表現されて登場していたのでおもしろいなと。映画とゲームがしっかり連動しているようなところにも、よさも感じました」。

「マインクラフト」ゲーム内では、『マインクラフト/ザ・ムービー』の無料ダウンロードコンテンツを配信! 日本マイクロソフト株式会社
「マインクラフト」ゲーム内では、『マインクラフト/ザ・ムービー』の無料ダウンロードコンテンツを配信! 日本マイクロソフト株式会社

「ヘンリーが武器をクラフトするシーンで、僕の頭がいかに固いのか思い知りました」

アイテムの表現には今後の動画制作のヒントが? [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
アイテムの表現には今後の動画制作のヒントが? [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

鑑賞前には、「動画制作の参考にしようと思っていた」と話していた神近。映画には、自身が“紙マイクラ”で表現していたような見せ方が登場していたことを説明しつつ、今後に動画制作の影響を与えるような表現が多くあったと笑顔で語る。

「僕の動画の中には、作業台をつかってアイテムをクラフトする行程を自分なりに映像として表現したものがあるんです。映画で似たシーンが出てきますが、自分がやっていたことにかなり近い形で描かれていたので、そこはすごく印象に残りましたね。僕の作品は机の上に収まるサイズを紙のブロックで再現しているのですが、劇中でどこまでも広がるすべてがブロックだけでできている世界を見た時に、やはり目指すのはここなのかな!と思いました。いつかはこんなブロックだらけのすてきな空間を作りたくなりましたね」。

作業台を使ってクラフトを表現している紙マイクラ 写真はKamiCH(@kamich_ika)YouTube動画のスクリーンショット
作業台を使ってクラフトを表現している紙マイクラ 写真はKamiCH(@kamich_ika)YouTube動画のスクリーンショット
映画でのクラフトシーンと共通点もあったとか [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
映画でのクラフトシーンと共通点もあったとか [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

そんなクリエイター目線で特に印象に残ったのは、ヘンリーがゲームには存在しないアイテムを使って、新しい武器をクラフトするシーンだと熱っぽく語る。

「ポテトを飛ばす『ポテトガン』を産み出すんですが、銃のようなアイテムは基本的にはゲームに存在しないんです。ゲームに存在しないアイテムを自由に作り出す姿を見て、僕の頭がいかに固いのか思い知りましたね。“紙マイクラ”でもゲームに存在するものしかクラフトしてはいけないと勝手に思い込んでいました。マイクラは想像力を膨らませることが大事なゲームですが、映画では物語のテーマとしても、このことを改めて理解させてくれましたね」。

「マイクラが気になっている方には入門編として楽しんでもらえるはず」

ゲームと現実世界での“紙マイクラ”を通して、マインクラフトにこだわり続けている神近も満足した『マインクラフト/ザ・ムービー」。最後に、これから作品を観に行くことを楽しみにしている人たちに向けた注目ポイントを語ってもらった。

マイクラをまったく知らなくても楽しめるエンタメ大作! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
マイクラをまったく知らなくても楽しめるエンタメ大作! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

「『マインクラフト』はゲームではあるんですが、最近は知育や教育的にも役立つということで多方面から注目されているもので、もはや“ゲーム”という媒体を越えたものになりつつあると思っているんです。この映画は、ゲームを知らない人でも楽しめるような作りになっている見やすい内容になっているので、マイクラが気になっている方には入門編として楽しんでもらえると思います。お子さんがいらっしゃる方はぜひ一緒に観に行ってほしいですね。いまの子どもは絶対にマイクラを知っているので、きっと映画の話で盛り上がることができると思いますし、これをきっかけに一緒にマイクラをやってみるのもいいんじゃないかなと。

そして、マイクラをより知っている人には、映画に隠されたいろんなイースターエッグや小ネタを探したりするのも楽しいはずです。劇場公開されたら、息子と一緒に吹替版を観に行こうと思っています。観たらしばらくは親子でマイクラブームになるんじゃないかと予想しています」。

『マインクラフト/ザ・ムービー』は公開中! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
『マインクラフト/ザ・ムービー』は公開中! [c] 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

取材・文/石井誠

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