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ハトラ 2016年秋冬コレクション - 性や人格を停廃することで見えてくるファッション

  • 2016.4.24
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ハトラ(HATRA)が、2016-17年秋冬コレクションを発表。デザイナーの長見佳祐は、今季の制作過程で「積極的に性や人格をキャンセルしようとすること」を念頭に置いたという。

まず、目に留まるのは「波取(ハトラ)」のモチーフ。ヒエログリフのように暗号化され、大小さまざまにあしらわれている。そして、前シーズンに引き続く象徴的なディテールとして、大きなスリットが挙げられる。大胆に布を削ることで、まわし状になったボトムスやフードだけになったトップスは、洋服と言うよりは技巧的な装飾物のようだ。それらの裾でさりげなく動きを見せたのは、タッセルにも見紛う「よりふさ」。一般的には数珠の飾り紐として使われるもので、繊細でしなやかな揺れが特徴。こういった無機的な要素が、アイテムの性差を徐々に無くしていく。

スペシャルアイテムは、特殊素材を用いたアウター。中綿入りのコートは、優しいピーチタッチの肌触りで、ふんわり光沢がある。軽量なのにあったかく、さらに丈夫という機能性も抜群のアイテムである。次に紹介したいのは、ロングのジップアップパーカー。見た目以上の柔らかさをもち、ハリと伸縮性のバランスが絶妙だ。長めの丈にボリュームのある袖、顔を覆い隠すほどのハイネックといったハトラらしいシルエットが、高機能なテキスタイルとうまく溶け合っている。

また、歪な形の仮面は重要なピース。仮面には、匿名性を持つことで躊躇なく自己をさらけ出せる、あるいは自分ではない誰かに憑依するという二面性がある。言わば、表情を隠すことで「覆面」と「素顔」のどちらもを表現できる手段であり、それは現代社会で生きる上である意味重要なこと。「“隠すこと”にある居心地の良さ」を感じさせてくれるハトラのワードローブに、どこか通ずるものがあるのではないだろうか。

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