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萎縮させてるだけ? 子どもを“叱る”ときのNGワード3つ

  • 2016.4.21
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こんにちは。ライターの川中利恵です。

最近、ソーシャルネットワーク上で、多くの学生が研究内容などを報告した際、教授に「どうして?」と問われると委縮してしまい、理由を答えるのではなく、自らの意見を翻したり、謝ったりする、というエピソードが話題になっていました。

もともと「どうして?」は、意見を問う表現のはずです。それなのに、なぜ子どもたちは、まるで叱られたかのように委縮してしまうのでしょうか。

それではコミュニケーションも有意義な意見交換もできなくなってしまい、議論を深めたくても、できなくなってしまいますよね。

●「どうして!?」と怒鳴っていませんか?

わが家の高校生たちに、先生に意見や問題の解答を求められて答えたあと「どうして?」と聞かれたらどう感じるか尋ねてみました。

すると、子どもたちはしばらく考えたあと、

『自信があれば理由を言うけど、なかったら「間違えたから理由を聞かれたのかな」と思って意見を変えちゃうこともあるかも。言い方によっては最初から怒られているように感じる 』

と答えたのです。

そこで、私なりに理由を考えてみました。

言葉はコミュニケーションです。同じ言葉でも、伝え方が異なれば受け取り方も違いますし、習慣的に言われ続けた言葉にネガティブなイメージがあれば、多くの方にとってポジティブな内容であろうと、ネガティブな言葉と受け止めてしまうこともあります。

ですから、「どうして」の言い方がきつければ叱られていると感じてしまうのも仕方がありません。

では、穏やかに「どうして?」と問われても叱られてしまうと感じてしまうケースがあるのはなぜでしょう。

子どもたちは何度叱っても同じことをすることがあります。そんなとき、親だって人間ですから、イライラしたり、腹が立ったりするわけです。

私も経験があるのですが、「頭ごなしに叱ってはいけない」という思いがあるものの感情を抑えきれず、「どうしてそんなことをするの!」とつい怒鳴ってしまっていたように思うのです。

親としては魂の叫びに近いものがあるのですが、結果的に小さいときから、叱られるときに「どうして?」と言われ続けてきた子どもには、「どうして」=「怒られている」 という認識になってしまっている可能性があるのではないでしょうか。

●叱り方3つのポイントって?

京都市の教育委員会で作成された『規範意識を育む ほめ方・叱り方』という資料があります。教員向けの資料ですが、ここに「叱り方3つのポイント」として以下が記載されていました。

1.人間性を否定しないように具体的に叱る

2.一貫性をもって叱る

3.成長をうながすために叱る

おそらくこれら3つは気にされているママが多いのではないでしょうか。

たとえば、“片づけをしないこと”を叱りたいのに、「あんたは本当にダメな子ね」などと存在を否定するような言葉をかける必要性はありません。

人格や存在そのものを傷つける言葉を投げ続ければ、自己評価が低い子どもになってしまうでしょう。

公共の場で騒いだり走り回ったりしたとき、叱ったり放っておいたりと、対応が変わるようであれば、子どもは「なぜ今日は怒るんだろう? 今日は機嫌でも悪いのかな?」と思って終わりになってしまいます。叱るときの一貫性はとても大切です。

そして、成長をうながすため以外のことで叱る必要はないはずです。

しつけのために叱ることは社会性を身につけ、大人になっても困らないためですし、安全に関することで叱るときは命を守り無事に大人になるために必要です。

いずれも子どもの成長をうながすためという原則があります。

つまり、叱る親がなぜ叱るのかを説明できないときは、叱っているのではなく、怒って当たり散らしている状態にある と言っていいでしょう。

しかし、叱らなければならないときはわかっていても、具体的にどうしたらいいのか、どういう叱り方をすればいいのか、というと、少し難しいかもしれません。

●叱ったことが伝わらなくなる! NGワード3つ

叱るときのノウハウは、たくさんの書物に記されています。

基本的に、叱るときのタイミングは、叱らなければならない出来事があったときにすぐ叱るほうが適切ですし、ママでもパパでも叱るべきと感じた人が人任せにせず、かつ冷静に叱るほうがよいでしょう。

後回しにすると、子どももなぜ叱られているのかがわからないことが多いですし、叱るべきときに叱らない人を軽視するようになります。そして感情的になれば、伝えたいことが伝わりません。

さらに、どうやら叱るときには、NGワードがあるようなのです。

●(1)「~に怒られるよ」「~が嫌な思いをするよ」

叱るとき、注意しなければならないとき、誰かのせいにしていませんか 。

主に子どもを叱り、育てなければならないのは親であるママやパパです。そして子どものしつけもしていない親だと周囲に思われるのも、ママやパパです。

親が責任転換をすると、子どもも安易に責任転嫁するようになります。

●(2)「~しちゃダメ」「~しないで」

子どもはストレートに言葉を受け取るものです。「散らかさないで」と叱られても、ではどうしたらいいのかわからない、ということも少なくありません。

保育園・幼稚園の先生や子ども番組のお兄さんお姉さんたちをよく見てみてください。

おもちゃを散らかさないようにしたいときは「このままきれいにしておこうね」と伝えますし、静かにしてほしいときは「しゃべっちゃダメ」ではなく「しーってしようね」と、してほしいアクションを言葉にしている はずです。

そのほうが、子どもに伝わりやすいのです。

●(3)「なんでこんなことするの!」「どうしてこんなことしたの!」

行動の理由を問う必要がある場面は確かにあります。

でも、叱るべきシーンで「なんで」「どうして」と問い詰めて、子どもが理由を答えたとしても、それがただの言い訳だった……ということはありませんか?

その場合、さらに腹が立ちますし、なにを言われようが叱ることになるのではないでしょうか。

それが繰り返されれば、子どもは「なんで」「どうして」という言葉を“怒られる前触れ” だと認識するようになり、やがて「どうせ本心を言っても怒られる」と、ネガティブな方向へ進化して、ウソをつくようになってしまいがちです。

私は反省すると同時に、改めて人を叱るのは難しいなと感じました。

NGワードに挙げた言葉は、カッとしたときほど口に出やすい言葉だと思いませんか。

なるべく冷静に叱らなければ、と心がけてきましたが、多分言ってしまっていたような気がしてなりません。

親が責任を放棄する言葉を口にしないようにするのは当然としても、「~しちゃダメ」という言葉や、「どうしてそんなことしたの!」という言葉をつい口にしてしまいがちです。

しかし、本来、「どうして?」と問うのであれば、理由を聞いたあと、子ども本人に解決方法を考えさせ、本当はどうしたらいいのかを考えさせる 必要があります。

このとき、親が答えを与えたり誘導したりすれば、意味がないどころかウソや責任転嫁がうまい人を育てるだけになってしまうので、気をつけなければなりません。叱るときに使うには、かなり高等なテクニックが求められる言葉なのです。

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筆者の場合、子どもたちが高校生になった今、しっかりと叱らなければならないことはほとんどなくなりました。

とはいえ、これからもNGワードを改めて肝に銘じて、叱る前に心の中で深呼吸を一つして、冷静に叱れるように努力しようと思いました。

親業って、いくつになっても、親自身も成長しないといけないものなのだとあらためて感じる毎日です。

【参考リンク】

・規範意識を育む ほめ方・叱り方 | 京都市教育委員会(PDF)(http://www.edu.city.kyoto.jp/sogokyoiku/kenkyu/outlines/h22/seika/yamaguchi/homekatashikarikata.pdf)

●ライター/川中利恵(在宅ワーカー)

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