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働く女性の9割が「女性活躍推進」実感なし!? その理由は?【後編】

  • 2016.4.21
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やっぱり○○○が悪! 今後求められるのは“生産性”。

【前編】では、女性活躍推進が「行われている」・「行われていない」と感じる双方の意見から、女性活躍推進を企業は打ち出してはいるが、現状はアピールをしているだけという実態を紹介しました。

この状況、どうしたら変わるのでしょうか?

イラスト/進藤やす子

シティリビングWeb 働く女の会議室「女性活躍推進法」の巻

●「インターバル規制」って知ってる? 長時間労働是正のカギになるかも

シティリビング東京版3/11号「輝いて、活躍。できる?」では、仮想の【こんなのあったらいいな法案】として、「男性の育児・家事への参加・理解」「保育園の拡充」「長時間労働の是正」を提示。働く女性たちが望むのは、実現可能な改革メニューです。

では、女性活躍推進がもっと実態をともなっていくために、どんな施策が求められる? ワーク・ライフバランスの永田瑠奈さんに聞きました。

EUでは、その日の業務を終えてから11時間たたないと翌日の勤務を開始してはならないという「インターバル規制」があります。今後、生産性の高い仕事をしていくことが求められるなか、『時間への意識』は重要なポイント。インターバル規制を設けて長時間労働を是正していくことは、女性の活躍推進を後押ししてくれるのでは。

●“女性活躍=管理職”になるってこと? 女性の労働力がないと日本経済の危機

女性活躍=「女性が管理職になる」と認識され、女性活躍推進を自分ゴトに感じられない人も。「女性が全員活躍したいわけじゃない」なんて声もあるなか、働き方の多様性の観点から、今求められているのはどんなことでしょうか?

女性活躍推進法の状況把握項目に「管理職に占める女性比率」があるので、女性活躍=「管理職を増やすこと」という認識が生まれてしまっています。まずは、なぜ女性活躍推進が必要なのか、どうしたら女性の活躍を推進できるのか、企業側も女性側も正しく理解する必要があります。

今の日本の人口構造では、少子高齢化して労働力がどんどん減少。実際、ある大手化学メーカーでは、定年退職で5年後は社員数が半分に。大手通信社でも、8年後に社員数が3分の1に減少、毎年3000人が定年退職するなか、新卒採用90人にとどまっているとか。少ない労働力をフル活用して、日本経済を支えていかなければならないのです。

そこで、日本は“女性”に着目しました。HDI(人間開発指数)を見ると、日本は他の先進国と同レベルに高い教育を受けています。

一方、GEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)は、日本は他の先進国と比べて極めて低い。男女ともに高い能力を持ちながら、女性を活用しきれていない。

ヒラリー・クリントン氏は、日本は女性の労働力率を男性と同程度に引き上げればGDPが16%も上がる試算を紹介しています。つまり、労働力が減少している日本にとって、女性のチカラは必要不可欠なのです。

●女性活躍の壁①「長時間労働」 結婚も出産も育児も仕事もあきらめたくない!

人口が減少し続ける日本経済では、女性の労働力が不可欠とはいうけれど、男性のような、がむしゃらな働き方を女性は望んでいないし…。そこで、まずできるのは、長時間労働をやめること。

今の日本では多くの職場が長時間労働。例え前向きに「活躍したい」と思っても、長時間労働の職場では大事な会議ほど夜に行われていたり、大きな仕事ほど残業ができる人に振られたりするのが現状。

そして、女性の場合は妊娠・出産など時間的な制約で、重要な意思決定の場にいられない、大事な仕事は任されない、遅くまで仕事をする同僚に申し訳ない気持ちになる。長時間労働は、女性にキャリアをあきらめざるを得ない状況をつくってしまっているのです。

また、夫が長時間労働の家庭では、妻が育児・家事のすべてを担当することとなり、女性はキャリアをあきらめざるを得ません。女性が活躍するために必要なのは、女性だけが早く帰れる制度ではなく、男女ともに働きやすい労働環境の整備なのです。

●女性活躍の壁②「ロールモデル不足」 あんなふうになりたい!と思える女性を増やす

社内唯一の女性管理職が長時間労働で身も心も疲れ切っていたら、憧れも希望も持てず、むしろネガティブな印象しか残りません。長時間労働に加え、ロールモデル不足も女性の活躍を阻害している要因の一つ。

活躍している女性が組織で少ないほど、会社が期待する「女性の活躍」は、“バリバリ働くAさんのようになってほしいってこと?” という誤解が生まれ、女性にプレッシャーを与えます。

しかし活躍しているロールモデルの女性がたくさんいれば、仕事の壁にぶつかっても、成長後の将来像をイメージして頑張ることが可能に。

「活躍」は、人の数だけ種類があって良いはず。女性管理職比率を上げる動きは、男女平等ということではなく、女性管理職を増やすことで、社内のロールモデルを増やす動きなのです。

多くの組織では、女性活躍推進法のスタートで「女性を活躍させなければ」と、本人の意思なしに女性を管理職にしたり、急に重要な仕事を任せたりと、女性がポジティブに受け取れない状況が起きています。

まずは、なぜ女性の活躍を推進する必要があるのか、その背景を正しく理解すること。

そして女性の活躍を推進するために必要なことを問題点から把握し、本質を理解すること、この2つが組織側に求められています。

正しい理解があれば、間違った発信や誤解はなくなり、女性にとっても「女性が活躍する」ことが「自分ゴト」になるのではないでしょうか。

●今後いっそう求められる、生産性の高い働き方

周囲が長時間労働の職場で、有給休暇すら取得しづらい職場だったら、いくら制度を整備しても使われない制度になっていくばかり。まずは、長時間労働の問題に着手しなければなりません。

しかし、こうした話をすると必ず「こんなに仕事があるのに、時間だけ減らすなんて無理!」となります。確かに、働き方を変えずに残業だけが禁止されたら、仕事はあふれるばかりで、組織が成り立たなくなってしまう。

NO残業デーがそれを教えてくれていますが、週1日だけ残業を禁止しても、働き方が変わっていなければ、定時に帰った翌日に残業が増えるだけで、何も解決していないのです。

そこで、「今の仕事量、もしくはそれ以上を短い時間でこなせる生産性の高い働き方」がこれからの時代に求められます。

残業ができなくても、時短勤務でも、最高のパフォーマンスで仕事ができれば、必ず高い成果を出すことができます。

実際、メーカーのY社で、時間当たりの生産性ランキングを出したところ、上位20位までの6割が時短勤務中の女性だったそう。

起床後13時間後の集中力は、酒酔い運転時と同じという研究結果を、東大の島津教授が紹介されていました。時間をかければ高い成果が出るわけではなく、短い時間だからこそ集中して終わらせる意識が高まり、早く帰ることで健康管理にもつながります。

まずは上記について組織側がしっかりと理解し、評価をしている管理職や男性も含めた意識の改革が必要。そして、女性も、諦あきらめずに自分らしい「活躍」の姿を描いて、それに向かってチャレンジしましょう。

株式会社ワーク・ライフバランス

永田瑠奈(ながた るな)さん

2012年に株式会社ワーク・ライフバランスへ参画。

自身も長時間労働でキャリアが見えなくなる経験をしていることから、女性たちのキャリア支援セミナーや女性を育成する管理職向けのマネジメント研修などを担当。

https://www.work-life-b.com/consultants/nagata

取材協力/ワーク・ライフバランス http://www.work-life-b.com/

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