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猫たちが語りだすサイエンス?! 「わかりやすくて深い内容のサイエンス本」 3選

  • 2016.4.17
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2016年2月12日、重力波の初観測が発表されました。それはアインシュタインが存在を予言してからおよそ100年後のことでした。でも「重力波」と聞いても「いったい何のことだか、さっぱりわからない」そんな人が、ほとんどではないでしょうか。当然ですよね。これまで体感したことのない未知の波長ですから。

© Konstantin Yuganov - Fotolia.com

かぎりないロマンをかきたてるサイエンス。でも科学の世界はむずかしく、敷居が高いもの。そんな文系女子におすすめの「わかりやすくて深いサイエンス本」を紹介します。

■猫たちが語りだすサイエンス

『真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ』

(薬袋摩耶/イラスト浅生ハルミン/亜紀書房)

猫の集会。それは人間にとっては謎だらけのシロモノでしかありません。ところが、この本ではちがいます。毎週水曜日の夜、猫たちはひとところに集まって勉強会をひらきます。ある夜は「ウイルスと細菌は、どのようにちがうのか」。別の晩は「ワクチンと免疫について」と、いうふうに。また、「iPS細胞とは何か」などと最新の科学の話題を猫にでも理解できる言葉で語っています。

個性的な猫たちの会話に楽しく耳をかたむけながら、サイエンスの専門用語を覚えることができます。そして、科学が抱える問題点がみえてくる、ユニークな入門書です。

■原因不明の病を克服した、サイエンスライター

『生命(いのち)のふしぎ』(柳澤桂子/集英社文庫)

著者は生命科学者として、またサイエンスライターとして活躍中。経歴だけに注目すると「まあ、エリートなのね」と、いいたいところですが、彼女はおよそ20年間も寝たきりの生活を送っていました。

まったく原因がわからず、病名もあいまい。そのためにどのように治療をすればよいのか、方針がたてられなかったのです。しかし、あるうつ病の薬が効き、劇的に回復します。そんな奇跡の人の言葉の、ひとこと、ひとことが胸にひびきます。

「孫が生まれてから、私は地球の行く末を今までより深刻に考えるようになった。(中略)この子がお嫁さんになって、子供を産んで、またその子が子供を産んで、と連綿と続く未来が具現化して、心に映るようになった。その子供たちは、延々と私の遺伝子のコピーを受け継いでいくのである。

私という個体が消滅したのちも、私の一部が残っていく。そして、いつかは人類滅亡の日を迎えるであろう。私は、子供を産んでしまったことをなかば悔いているが、子供や孫の存在が幸せをもたらしてくれることも確かである」(本書より抜粋)

サイエンスエッセイとしてはもちろんですが、ことばに奥行きがあり、人生論としても逸品です。

■なぜ、私は私なの?

『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』上・下巻あり

(ダニエル・Eリーバーマン/訳・塩原通緒/早川書房)

ヒトの体のしくみは、謎につつまれています。この本は健康本でもなければ、人類学の解説書でもありません。けれども、なぜ人間は人間になったのか。という疑問にいどむためには、進化の歴史は避けて通れない道。現在、私たちの体内ではなにかが変わりはじめているのでしょうか? それを知るためには人類史をたどり、科学の発達していく過程をあきらかにすることが必要なのです。

おもしろそうだけど初心者には読みこなすのが大変そう。そんなため息が聞こえてきそうですが、ひとつひとつの章が短いので、すぐに読破できました。登場人物が多い外国の小説を読むよりも、むしろ理解しやすいかもしれません。物事を大きなスケールで考えられるようになる大作です。ミステリアスで、簡潔なサイエンスの世界のドアをノックしてみませんか?

(有朋 さやか)

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