1. トップ
  2. 60歳女性『痛み止めをください』→“胸の違和感”で受診… その後、医師が告げた“驚きの検査結果”とは?【医師監修】

60歳女性『痛み止めをください』→“胸の違和感”で受診… その後、医師が告げた“驚きの検査結果”とは?【医師監修】

  • 2025.2.27
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

更年期に入ると、「胸が張る」「違和感を感じる」といった症状が出てくる女性が増えます。これは、女性ホルモンが単に減少するのではなく、揺らぎながら減ることが原因です。多くの場合は自然な変化ですが、場合によっては乳がんのサインであることも。この記事では、更年期の胸の張りの原因や、危険なサインの見分け方、セルフケアの方法について専門医のアドバイスを交えながら解説します。

更年期の「胸の張り」…ホルモンの変化とどう関係している?

更年期にさしかかると、これまで月経前だけに感じていた胸の張りが、不規則に現れることがあります。中には、「今までこんなことなかったのに…」と不安になる女性もいるかもしれません。「更年期の不調は、単に女性ホルモンが減るからではなく、揺らぎながら減ることが原因です。」と医師は語ります。

エストロゲン(女性ホルモン)は、更年期に向かう過程で一気に減るわけではなく、増減を繰り返しながら少しずつ低下していきます。このホルモンの揺らぎが、胸の張りや違和感を引き起こす要因の一つです。

医師コメント
月経が順調な時は、月経前だけに張っていた乳房が不規則に張るようになる方もいます。経験したことのない症状で乳がんかしらと、不安に思う方も少なくありませんが、最低2年に一回の乳がん検診を受けているのであれば、更年期の乳房症状として様子を見ても良いと思います。

この症状自体は更年期に多くの女性が経験するものですが、痛みやしこりを感じる場合は、念のため専門医に相談することが大切です。

更年期の胸の張りは放置しても大丈夫?!危険なケースと見極めるポイント

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

更年期の胸の張りは、多くの場合はホルモンバランスの変化によるもので、心配はいりません。乳がんの心配は少ない更年期の乳房症状は結構あります。40歳以降、最低2年ごとの乳がん検診を受けていれば、乳の張りだけならば様子を見ましょう。

ただし、「これは更年期だから大丈夫」と自己判断するのは避けましょう。

医師コメント
「乳房が痛いので、痛み止めをください」と受診された60歳の方は一度も乳がん検診を受けたことがありませんでした。痛いのでマンモグラフィ検査は受けたくないとおっしゃいましたが、痛み止めを飲む前にマンモグラフィ検査を行い乳がんが見つかりました。初期の乳がんではなくてある程度進行すると痛みを生じる乳がんもあります。

更年期の症状と油断せず、気になる変化があれば、迷わず医師の診察を受けるようにしましょう。

胸の張りを和らげる“セルフケア”の方法とは?

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

更年期の胸の張りや違和感を少しでも軽減するためには、日常生活のちょっとした工夫が役立ちます。

① 食生活を見直す
オーガニックや無添加の食材を選ぶことは簡単ではありませんが、可能な範囲でホルモンの影響を受けにくい食品を選ぶことが、長期的な健康につながります。

医師アドバイス
自分の卵巣から出る女性ホルモンの揺らぎは自然な経過ですが、普段の食生活では例えば飼育の途中で抗生物質やホルモンを使っている食材は選ばない選択はできますね。手間をかけて育てた食材は高いのですが、我々の体は食べたものでできています。病気の予防の第一はしっかり選んで食べることだと思います。

②体型の変化に合わせた下着選び
更年期になると体型が変わることが多いため、今までのサイズが合わなくなることも。締め付けの強すぎる下着は血流を悪くし、胸の違和感を悪化させる可能性があります。

医師アドバイス
体型の変化とともに下着のサイズもしっかり選びましょう。丹田を意識した腹式呼吸が大切と話しましたが、冷やさない下着選びも大切です。

③ 睡眠の質を上げる
さらに、睡眠の質をあげることも大切なポイントです。日本人の平均睡眠時間は短く、年齢とともに睡眠の質が低下しがちな女性も多いので、更年期の不調を和らげるためにしっかりと睡眠時間を確保することを意識しましょう。

医師アドバイス
国際的にもかなり睡眠時間の短い日本人ですが、年齢とともに睡眠の質が低下する女性も多いです。日中抱えている不安だけではなくて、睡眠ホルモンと言われるメラトニンの分泌と、締め付けの強い下着で寝る習慣とは逆の関係があることも分かっています。保温性の高い、ゆったりしたナイトウェアは快眠のポイントです。

2年に1回は乳がん検診を受け、不安があれば専門医に相談!

更年期の胸の張りは、女性ホルモンの変動によって起こる自然な症状ですが、場合によっては乳腺症や乳がんのサインである可能性もあります。40歳を過ぎたら、最低2年に1回は乳がん検診を受け、しこりや分泌物がある場合はすぐに医師に相談するようにしましょう。

さらに、体に合った下着を選びや深い呼吸など、日々のちょっとした工夫が、更年期の不調を和らげるカギになります。更年期の変化を前向きに受け止めながら、自分の体と向き合っていきましょう。


監修医:沢岻美奈子女性医療クリニック理事長 沢岻美奈子先生

産婦人科専門医・女性ヘルスケア認定医。医療法人・沢岻美奈子女性医療クリニック理事長。神戸市内のクリニックにて「更年期で悩む女性を元気にしたい!」という思いで診療を行っている。幅広い世代の女性のかかりつけ婦人科医として、クリニックを受診する患者さんのリアルな声をインスタグラム「375taxi」やpodcast「女性と更年期の話」でも配信している。