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世界各地の映画祭で計51冠受賞!韓国映画『君への挽歌』日本公開版予告編と絶賛コメント到着

  • 2025.1.21

韓国伝統の歌が紡ぎだす、ある老夫婦の愛の物語を描く『君への挽歌』が2月7日(金)より公開される。このたび本作の日本公開版予告編が解禁。さらに劇場公開を記念し、狂言師の和泉元彌、カトリーヌ・ドヌーヴ主演作『SPIRIT WORLD(原題)』の映画プロデューサー、金延宏明、映像作家の串田壮史らの推薦コメントが到着した。

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『君への挽歌』は2月7日(金)より公開 [c]2022 Film Company Soonsu
『君への挽歌』は2月7日(金)より公開 [c]2022 Film Company Soonsu

イ・チャンヨル監督が思索の果てにたどり着いた人生の在り方を、高齢化が進む韓国社会で多くの者が向き合う「認知症」と、韓国の口承伝統芸能「パンソリ」を題材に綴った本作。パンソリの歌い手である夫と認知症を患った妻の、生と死の間で歌い上げられる愛の物語となっている。韓国ではまだ認められていない安楽死などにも言及し、命の尊厳の現実を観る者に問いかける内容は、国を越えて人々の心を震わせ、世界各地の映画祭で計51冠もの賞を受賞。韓国インディペンデント映画史上、最も多くの賞を獲得した映画となった。

主人公ドンヒョク役を演じた俳優ソン・ドンヒョクは、認知症を患った自身の母親を15年間支え、本作の撮影開始直前に見送った過去を持つ。亡き者の成仏を願う「晩歌」など、彼が生歌で披露する魂の歌声は、本作の最大の見どころの1つとなっている。ドンヒョクの妻ヨニ役は、日本でも話題となった韓国ドラマ「ペントハウス」などで知られるチョン・アミ。200本以上の演劇作品に出演したベテランとして、認知症により否が応でも変化していく1人の女性の姿を自然かつ壮絶に演じた。

解禁された予告編では、美しいままで終わることのできない人生の哀しみ、そして認知症の妻ヨニを愛するがゆえに苦悩する夫ドンヒョクが慟哭とも言うべき魂の歌声の場面が映しだされ、のちにたどり着く老夫婦の愛の結末を予感させるものとなっている。

避けることができない愛の終わりに直面した老夫婦が辿り着く結末とは?多くの人々の心を震わせた本作の公開を楽しみに待ちたい。

<著名人コメント>

●和泉元彌(狂言師、和泉流二十世宗家)

「皆さんご注意ください!この映画は、アルツハイマー患者とその家族の姿を美化した作品ではありません。いくつもの選択をしながら歩むのが人生。ともに歩んだ人生…この夫婦に突きつけられる選択肢はあまりにも酷で…それでも彼の答えには常に愛がありました。だからこそ、リアルに描かれる家族の姿を見るのがつらかった。僕なら耐えられるかなぁ…愛する人が壊れていく…最後まで消えなかった彼女の記憶に胸が締め付けられます。『貴方しかいない』こんなに素敵な言葉がこんなにも重く、悲しく響くなんて…時に叫ぶように、泣くように彼が歌う収まりきらない感情を受け止めたパンソリは伝統芸能であればこそ時空を超え、スクリーンを超えて心を深く、深く伝えていました。そう、この作品はどんなに時代が変わっても変わらない生きていく人間の喜びと苦悩とエゴそして全てを包み込む普遍的な愛を伝えてくれています。彼の最期の選択も愛ですよね?」

●金延宏明(映画プロデューサー)

「人生は出逢いと奇跡。本作松尾プロデューサーからコメント依頼。直前に親愛なる恩人の訃報。哀しみを噛み締めながら深々とした真夜中に本作を鑑賞した。想像通り、悲哀に満ち溢れた内容だった。と同時に、圧倒的な作品力と演技力に胸が締め付けられた。人はなぜ歌うのか。挽歌。それは、魂の歌。本作は愛に溢れた人間不条理の傑作だと思う。挽歌は、古代日本人の死生観を探るためにも欠かせない。本作を観た方々は、それぞれに愛の挽歌を感じるのではないだろうか」

●串田壮史(映像作家)

「これまでに耳にしたなかで、最も哀切な『声』と出会った。それは、現実と幻想の狭間を彷徨う魂が紡いだ、歌か嗚咽か判然としない空気の揺らめきだった。胸を打つ必殺のワンカットを持つ映画は、強い」

●前田和紀(映画プロデューサー)

「認知症介護という身近な社会問題を題材に置き、それゆえに、観る者の感情にせつなく哀しく訴えかけてくる。誰にでも起こりうる問題であるために、ソン・ドンヒョク、チョン・アミ、二人の名優の演技が、心にささり、深く考えさせられる。愛する人が壊れていく様を身近で見続けるとき、どう向き合って行けば良いのか。この映画はリアルな愛の物語である。愛する妻への晩歌に、心がふるえた。晩歌とはいったい誰のために歌うものなのか。深く胸に響きました。劇場で観てほしい作品です」

●松本准平(映画監督)

「認知症による自我崩壊のプロセスを演じる役者の身心が凄い。たった一度のその演技を、可能な限りたった一つの、静止したキャメラで眼差す監督の胆力と巧さ。日常の風景の一部のようでありながら、生死を超える彼方への願いのように紡がれる物語は、愛だけが人生であることを感動とともに教えてくれる」

●南阿豆(舞踏家)

「見終わった後に静かにいまここで生きていることの喜びを感じさせてくれる。路上で踊り歌うシーンは、生きていること、命、魂が天から浴びるように聞こえてくる、忘れられないシーンです」

●奥津裕也(俳優)

「美しいと思う事がそうではなく、美しくないものとされるのがそうではない…。この映画を観た後に、ふとそんな事を思った。死とはなにかと、突きつけられたと同時にいまを『生きる』ということを深く感じさせられた映画だった。そして、ソン・ドンヒョク、チョン・アミの芝居がとにかく素晴らしかった。彼らは、どんな自らの真実と想いでこの作品に関わっていたのか…。想像するのは容易ではない。ただ、確かなのは、この様な話がこの世界に存在しているという事実だ」

●関幸治(俳優)

「生と死をつなぐ家族の物語。認知症という病気に正面から真摯に向き合った本作。劇中の家族の姿に自分ならどこまで献身的に尽くせるんだろうと考えるきっかけになる作品でした」

●奥田裕介(映画監督)

「映画のなかで同じ『認知症』を扱った身として背筋が伸びました。老い、家族、死への監督の誠実な目線が、韓国伝統芸能、パンソリとともに胸に熱く届きました。何度忘れても、何度でも寄り添ってくれる人がいる。そんな愛が美しかった」

●中村公彦(映画監督)

「人生を悔いなく穏やかに終えたい、という願望を持っている人は多いだろう。しかし現実にはそう上手くはいかないこともある。上手くいかなくても、最後まで自分と妻の人生に愚直に向き合おうとする主人公に共感した」

●フェルナンデス直行(俳優)

「認知症に限らずあらゆる障害を持つ人にとって、現代社会はまだまだ生き難い世界かもしれない。そんな世界では家族愛が救いの1つ。この映画を通してどれだけ自己を犠牲にできるか、愛を惜しまずに分け与えられるかを考えさせられ、日頃から人間性を育むことを心がけたいと感じました。現代人に見て欲しい、せつなくも温かい作品です」

文/山崎伸子

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