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遺体安置所が舞台の“最も恐ろしいヨーロッパ映画”が30年ぶりに復活!タブーな題材に怯まずに観ておきたい理由

  • 2025.1.19

“最も恐ろしいヨーロッパ映画”としてマニアの間で語り継がれてきたデンマーク映画『モルグ 屍体消失』(94)。この北欧カルトホラーが30年の時を経て、デジタルリマスター版として復活。1月17日より日本でも公開中だ。

【写真を見る】「ゲースロ」イケメン俳優のデビュー作は、タブー満載の超カルト作だった!

キワモノかと思いきやふつうにおもしろい!公開当時も世界が絶賛

デンマーク本国では、映画が公開された1994年の興行成績1位を記録したものの、日本では1996年に公開されて以降、長らくVHSでしか観ることが叶わなかった本作。

【写真を見る】「ゲースロ」イケメン俳優のデビュー作は、タブー満載の超カルト作だった! [c] THURA FILM 1994
【写真を見る】「ゲースロ」イケメン俳優のデビュー作は、タブー満載の超カルト作だった! [c] THURA FILM 1994

夏休みの間、病院で夜警のアルバイトを始めた法科学生のマーティン。深夜に病院内を見回るだけの簡単な仕事のはずだったが、前任者からモルグ(遺体安置所)でかつて警備員が死体を犯すという事件が起きたことを教えられ、異様な恐怖を感じるようになる。

病院内を見回るだけの楽なバイトだと思ってたのに… [c] THURA FILM 1994
病院内を見回るだけの楽なバイトだと思ってたのに… [c] THURA FILM 1994

そんな矢先、世間を騒がしている皮剥ぎ猟奇殺人の被害者女性の死体がモルグに運び込まれたことをきっかけに不可解な出来事が起き始め、妄執に取り憑かれたマーティンは、ウォーマー警部から屍姦の疑いをかけられることに…。

モルグを舞台に、ネクロフィリア、皮剥ぎ猟奇殺人…という超ド級のタブーを扱う本作。皮を剥がれた死体の描写や「ここで働くと口が臭くなる」と奇々怪々なことを語り、息を吹きかけてくる嫌悪感MAXな人物など、映画全体に不穏な空気がムンムンと漂っている。

モルグでのバイトと並行して皮剥ぎ猟奇殺人事件が展開していく [c] THURA FILM 1994
モルグでのバイトと並行して皮剥ぎ猟奇殺人事件が展開していく [c] THURA FILM 1994

これだけ聞くとキワモノ映画かと思ってしまうかもしれないがご安心を。マーティンは狂っているのか?というニューロティックなサスペンス要素と、なにか起こるのでは?とスリルを掻き立てるホラーのエッセンスが有機的に絡み合っており、物語としての見応えも抜群だ。

さらにはモルグの無機質な冷たさが伝わってくるような美的センスも独特で、カンヌ国際映画祭の批評家週間への出品をはじめ、各国の映画祭で数々の賞に輝いたことも納得の1作だ。

デンマークの才能が集結!「ゲースロ」俳優の若かりし姿を楽しめる

デンマークを代表する名優たちの若き姿を楽しむことができる [c] THURA FILM 1994
デンマークを代表する名優たちの若き姿を楽しむことができる [c] THURA FILM 1994

映画としてのしっかりとした骨組みに加え、デンマークのアカデミー賞と呼ばれるロバート賞で助演男優賞、助演女優賞に輝いていることが示しているようにキャストたちの存在感もピカイチ。『プッシャー』(96)や『ブリーダー』(99)といったニコラス・ウィンディング・レフン作品で知られるキム・ボドゥニアや、彼のパートナーであるリッケ・ルイーズ・アンデルソンら現在のデンマーク映画界を代表する名優が勢ぞろいだ。

マーティンは前任者からモルグが曰くつきの場所だと教えられる [c] THURA FILM 1994
マーティンは前任者からモルグが曰くつきの場所だと教えられる [c] THURA FILM 1994

なかでも「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011〜19年)のジェイミー・ラニスター役で日本でも広く知られるイケオジ俳優、ニコライ・コスター=ワルドーが主人公のマーティンを演じており、映画デビュー作ながら恐怖や妄想に襲われる主人公を好演。

奇怪な出来事に怯える戦慄の表情を見せたかと思えば、絶妙なボンボンっぽさやなにを考えているのかわからない空虚な眼差しなど、端正なルックスを生かしながら、どこか信用できないムードをキャラクター像に落とし込んでいる。物語に謎をもたらす演技はお見事だ。

ユアン・マクレガー主演のハリウッドリメイクや続編も!

ユアン・マクレガー主演のハリウッド版リメイク『ナイトウォッチ』 [c] Dimension Films/courtesy Everett Collection
ユアン・マクレガー主演のハリウッド版リメイク『ナイトウォッチ』 [c] Dimension Films/courtesy Everett Collection

監督・脚本のオーレ・ボールネダルは、1997年には本作をハリウッドでセルフリメイク。その『ナイトウォッチ』には、ユアン・マクレガー、ニック・ノルティ、ジョシュ・ブローリン、パトリシア・アークエット、ジョン・C・ライリーといった豪華キャストが名を連ねている。

その後を描いた『Nightwatch: Demons Are Forever』も2023年に公開された [c] Nordisk Film / Courtesy Everett Collection
その後を描いた『Nightwatch: Demons Are Forever』も2023年に公開された [c] Nordisk Film / Courtesy Everett Collection

さらにはオリジナル版の監督・主要キャストが再集結し、猟奇殺人事件のその後を描いた続編『Nightwatch: Demons Are Forever(英題)』も2023年に劇場公開(日本未公開)。オリジナル版がそれだけの価値がある傑作である理由の裏返しと言える。

『モルグ 屍体消失 デジタルリマスター』は1月17日(金)から公開 [c] THURA FILM 1994
『モルグ 屍体消失 デジタルリマスター』は1月17日(金)から公開 [c] THURA FILM 1994

屍姦や猟奇殺人といったドギツい題材だけに、食指が伸びないという人も多いかと思うが、それでも観ておきたい1作として、ここでプッシュさせてもらいたい。

文/サンクレイオ翼

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