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四季の草花が詰まった小箱のアレンジメントに心が潤う―京町家のお花屋さん「みたて」

  • 2016.4.7
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京都市北区の住宅街にたたずむ「みたて」。ガラガラと木の扉を開けると、なんとも品のある花の香りがフワリ。ショーケースはなく、バラやカーネーションといった定番の花もありません。こちらは、季節ごとに山野を彩る草花や花木を扱うお店です。

静かな時を刻む京町家で営む、和花の専門店

北山大宮から大宮通を北へ5分ほど。玄以通の1本手前の路地を右へ曲がったところにある京町家が「みたて」です。

鋏のパチンパチンという音が響く通り庭、奥には光や風を取り入れる中庭がある、昔ながらの京町家。

畳の部屋には、楚々としていて生命力が強い、そんな印象の和花が並び、苗ものや切り花、寄せ植えなどを購入することができます。

“花を売るというより、季節を売る”という思いで、店主の西山さんと奥さまの美華さんが、新しい一歩を踏み出したのが2013年。

以前、一般的な花屋さんに勤めていた時は、バラやカーネーションなどお馴染みの洋花も扱っていましたが、そこには季節があるようでないと感じ、色とりどりの花々が揃わずとも、それぞれの季節に存在する植物だけを扱うお店を始めたそうです。

もっと自由に、“自然”そのものを生活の中に取り入れる

店名の「みたて」は、「見立て」から来たもの。

お寺などで目にする枯山水の庭において、白い石は波であり、大きな岩は山を表す、といったように、京都には、古くから受け継がれてきた、見立ての心が今も息づいています。

古い道具や草花などを、本来の姿から別のものに見立て、新しい美しさを表現したい、そんな思いを持って植物と向き合う西山さん。

古い桶や籠を花器として使ったり、陶片を花器の敷き板にしたり。西山さんが表現する自由でのびやかな花と道具の関係も、訪れる人の好奇心を刺激してくれます。

小さな箱の中の景色が日常を潤すアレンジメント

特に人気を集めているのが、フラワーアレンジメント「季節の木箱」。

こちらは、和菓子からインスピレーションを受けてつくられたそうです。

小さな命が動き出す春、みるみる緑色が濃くなる夏、紅葉して実を結ぶ秋、枯れてもなお美しい冬と、山採りを専門にする方から仕入れる草花を使い、その時々の季節を表現。小さな箱の中に、日本の四季のうつろいを見つけることができます。

例えば、草花が芽吹きはじめる春には、「踏青」と名付ける木箱。

「踏青」とは、青草の上を歩く古代中国の習慣のことで、ピクニックをしたり、野遊びをしたりして、春の訪れを喜んだ人々の様子が目に浮かびます。

その日の仕入れに合わせて草花を詰める木箱は、長距離の発送もできるので贈り物にもおすすめです。

また、不定期で開催される教室では、知り合いの作家さんの工房を訪ね、その近くの山を歩き、花を摘み、その方の器に生けるという1日体験ができるそう。開催はHPをチェックしましょう。

一年中なんでも揃う生活をしている中で、つい見落としてしまいそうになる季節のうつろい。京都を訪れた際はぜひ、四季折々の草花の美しさに気付かせてくれる花屋さんで、素敵な木箱をのぞいてみてください。

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