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『おむすび』結と翔也の交際は「プロ野球選手と結婚=チャラい女」に対するアンチテーゼでは?

  • 2024.12.8

『おむすび』が本当に描きたいもの

(C)NHK
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橋本環奈さん演じるギャルの主人公が、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”という触れ込みのNHK朝の連続テレビ小説『おむすび』。

神戸編に移ってからは話がだいぶ進んできたものの、開始当初の糸島編は展開がゆっくりで、暗く悩んでばかりの不安定な主人公に批判の声がありました。展開や描写もどこか回りくどさがあり、この段階で離脱してしまった視聴者もいるそうです。

ですが、ちょっと待ってください。筆者はここ最近の展開を見て、ようやく『おむすび』の描きたいものが分かってきたように感じます。そのカギは結と翔也の交際にある…!?

【こちらもどうぞ】“おむすびチン”結の脅威の記憶力は、おばさんとの再会フラグ?

「ノロノロ展開」には意味があった?

糸島編で筆者が視聴しながら感じたのは、「ギャルになる人は、そこまで思い悩んで覚悟を決めてギャルになるのだろうか」ということ。

仲里依紗演じる姉の歩がギャルで確執ゆえにギャルを毛嫌いしていた設定や、黒髪のイイ子が田舎道を自転車で走る「典型的な朝ドラ」ヒロインの橋本環奈を、まずは思う存分見せたい制作側の意図は理解できます。それでも、ギャルになりそうでならない主人公に筆者はヤキモキしてしまいました。

(C)NHK
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翔也と結の交際の過程もそうです。想いが通じ合っていることが分かっているにもかかわらず、甲子園を目指している翔也側の都合で、3年次にやっと交際に至りました。

しかし、2年の期間はなぜか早送り。時間を費やしたという事実や健気に応援する結の姿には、ふたりの強い絆を感じたものの、何も展開がないのであればそこまで結果を引き延ばす必要があったのだろうかとさえ感じました。書道、震災、家族のごたごたなどの情報量も多く、どこかゴチャゴチャしている感もありました。

ですが、のんびりすぎる展開が表すのは、テンポの悪さを犠牲にしてまでも物語を丁寧に描く選択をしたということです。

スポーツ選手の交際ゴシップでピンときた

(C)NHK
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過去の多くの名作で、序盤のダルい展開が答え合わせのように後の展開でハマっていき、なぜテンポが悪かったのか理由が明らかになることがよくあります。

『おむすび』もそのパターンであるはずだと我慢して静観していたところ、最近一部で噂されたある有名スポーツ選手の交際ゴシップにファンたちからの批判がSNSで溢れていることを目にし、『おむすび』の序盤が意味するものが分かってきたような気がしてきました。

野球選手と派手な女性の交際は批判されがち

(C)NHK
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古くは女子アナウンサー、昨今ではモデルやインフルエンサーと、有名野球選手との交際や結婚が報じられるたびに、その妬みからか一部ファンが「騙されている」「目を覚ませ」と、批判をされることが多々ありました。

ふたりがどんな形で愛を育んできたか、そして選んだ女性がどんな人生を歩んできたかは深く考えず、肩書と見た目だけでチャラチャラしている恋愛だと判断され、釣り合わない、見た目だけで選んでいると断定されてしまうことはよくあります。

世界的スター・大谷翔平選手が結婚した際も「女子アナじゃなくてよかった~」というような反応が数多くあったのも記憶に新しいですよね。今まで多くの野球選手がアナウンサーと結婚し、幸せになっているにも関わらず、です。

報道の見出しは 「野球選手がギャルと結婚」に違いない

(C)NHK
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もし、翔也がこのままプロ野球選手に進み、有名になり結と結婚すれば、報道は 「プロ野球選手がギャルと結婚」という見出しになることは必至です。高校時代からの恋人、栄養士という形容があっても、表向きには関係や人間性の軽薄さを与えかねません。

しかし、結の素直で頑張り屋な人間性や、翔也との関係が軽薄ではないことは、ここまで朝ドラを見てきた視聴者なら分かるはずです。もし、結婚という展開になった際は、心から祝福できるでしょう。

なぜなら、それは序盤の丁寧な描写があったから。展開がゆっくりと言われど、結の聡明な性格、心の傷、ギャルへの覚悟や、何年も股にかけた翔也との交際に至る経緯などをじっくり見守ってきた結果、結をパブリックイメージ通りのギャルとして視聴者はもう括れなくなっているのです。

(C)NHK
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糸島編は、「なにかと薄っぺらい、考えなし、見た目だけ」「ただ、底抜けに明るい」「悩みなんて何もない」という風に誤解されやすいギャルが、実はそうではないのだと強い説得力を持たせるために、描かねばならなかった繊細な展開だったのかと、腑に落ちました。

当初から『おむすび』の裏テーマは「人を見た目や肩書で判断することへの問題提起」かとほんのり思ってはいましたが、その説にさらに説得力が増しました。でなければ、平成を描くためのアイコンとして主人公をギャルにした、という理由以上にギャルである必要性がないのです。

佐々木希にみちょぱ…ギャルは一途なはず!

12月9日から放送される第11週は、前週の予告で翔也の結へのプロポーズのようなセリフがありました。このまま結婚へ進むかどうかは気になるところですが、栄養専門学校を卒業し、ここからが正念場の結にとってはあっさり結婚とはいかないはず。

今までの数多の朝ドラがそうであったようにヒロインの相手役はひとりとは限らないため、もしかしたら翔也との別れという展開もあるかもしれません。

ただ、大倉士門さんと7年の交際の末結婚したみちょぱさんや、夫が浮気をしても関係を続けている元ギャルの佐々木希さんのように、ギャルは恋愛においても真直ぐ一途であると言われています。

これを証明するが如く、個人的には結は翔也との関係をずっと貫いて欲しいと思います。

(小政りょう/ライター)

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