1. トップ
  2. たった1話のゲスト出演で“絶大な存在感”…! 次々と話題作に抜擢される“実力派女優”の確かな演技力

たった1話のゲスト出演で“絶大な存在感”…! 次々と話題作に抜擢される“実力派女優”の確かな演技力

  • 2025.2.12
undefined
『プライベートバンカー』第2話より(C)テレビ朝日

『プライベートバンカー』(テレビ朝日系)第2話で、大きな爪痕を残した恒松祐里。2024年『わたしの宝物』(フジテレビ系)でも話題を集めた恒松は、『相続探偵』(日本テレビ系)第6話でもゲスト出演することが発表されている。涼やかでクールな顔つきの彼女が、心を乱され、表情を歪める時の威力は絶大で、たった数話、数カットであっても強い印象を残してくれる俳優だ。

思わず応援したくなってしまう悪女

undefined
『プライベートバンカー』第2話より(C)テレビ朝日

『ブライベートバンカー』第2話で恒松が演じた霧島幸絵は、天宮寺家の長男・努(安井順平)の不倫相手の一人。努に、個別のヨガレッスンをおこなっているインストラクターだ。何者かから突き落とされ、階段から落ちて意識不明になっていた努。容疑者として幸絵が疑われていた。主人公・庵野(唐沢寿明)が、ヨガ教室に潜入し、調査を進めると、努にたくさんの愛人がいたことが明らかに。一番、お手当をもらっていた女性はマンションを買い与えられていたという。

庵野がマンションで待ち伏せすると、そこに幸絵の姿が。庵野が「いいマンションをもらいましたね?」と、声をかけると幸絵が豹変。幸絵は自身が一番、優遇され、愛されている愛人だという自負があったのだ。しかし、庵野はそれは「愛」ではなく、「節税」だと指摘する。幸絵は、努が経営する資産管理会社の社員として雇用されており、幸絵への出費はすべて経費として計上されていた。努は身銭を切らず、むしろ節税という形で得をする方法で、幸絵への愛と称してさまざまなものを与えていたのだ。それを聞いた幸絵は受け入れず、戸惑いの表情を浮かべながら庵野の前を去る。

幸絵は、努の妻・果澄(MEGUMI)に呼び出され、努を突き落とした犯人であると認めろと、金を与えられ脅される。不倫がばれ、ヨガ教室もクビになり、八方塞がりになった幸絵は、意識不明になっている努の元に。病室に現れた庵野に、努が亡くなったところで幸絵は何の得もしないこと、努にただただ都合よく使われていたことを告げられる。

undefined
『プライベートバンカー』第2話より(C)テレビ朝日

庵野は幸絵に、果澄から金を受け取って手を引けと言われるが、幸絵は首を縦に降らない。強い怒りと絶望に満ちた表情で、「骨は最後までしゃぶりつくしてやる」と前を向くのだ。正直、努の金に頼って生きてきた幸絵のことは擁護できない。とはいえ、努が甘い言葉で誘惑し、幸絵を搾取していたのも事実。また、努は幸絵の名義を利用して、会社を設立し個人資産をその会社に流していた。

幸絵は、努にさまざまな形で利用されていた。努に幸絵への愛など、まったくなかったのだ。努への仕返しに向けて、庵野は幸絵の背中を押す。幸絵は、努の病室に乗り込み、幸絵が保有する会社の株を買い取るようにふっかける。

幸絵の表情には、意思の固さと清々しさが感じられる。こういったクールさも恒松が持つ魅力の一つ。たった1話分のゲストであったが、恒松が持つ表情の威力、感情がよく表れた台詞回しの存在感は絶大だった。『プレイベートバンカー』が持つ独特の痛烈さを一身に引き受けた役柄となった。

どんな作品でも残す爪痕 

恒松は、2021年Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』シーズン2のヒロイン役で注目を集め、2021年前期NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』では、主人公の幼馴染役を演じ、広く知られた。

以降、コンスタントにドラマ出演を果たしており、主人公の妹や友人の役柄、1話のみのゲストでも魅力的な演技を見せつけてきた。『リバーサルオーケストラ』では、主人公の妹役を演じ、初音が所属することとなるオーケストラのSNS担当として活躍。時に恋心に揺れたり、主人公の背中を強く押したりなど、いじらしくて愛らしい妹を好演。

2024年秋クールの『わたしの宝物』では、托卵をしてしまう主人公・美羽(松本若菜)の後輩である小森真琴を演じ、視聴者に強い印象を残した。美羽の子供が、美羽の夫・宏樹(田中圭)との間にできた子供ではないのではないかと疑った真琴は、それを宏樹に告げ口。そして、冬月稜(深澤辰哉)が本当の父親ではないかと疑い、どうにか美羽と稜を会わせようと画策する。

視聴者からすると、「もう余計なことをするな」と言いたくなる人物だった。しかし、自身がシングルマザーで少なからず美羽に対して恨めしいと思っていること、誰かを傷つけると理解しつつも、正義感に抗えず余計な行動をしてしまう葛藤が、恒松の表情の歪みによく表れており、真琴の行動にはどこか納得させられてしまう。さすがと言いたくなる演技力だった。

登場人物の葛藤を自身の出来る限りの表現力で示しているからこそ、その存在感は絶大で、恒松はバイプレイヤーとして最高の俳優と言えるだろう。『相続探偵』のゲストに続いて、3月配信開始のディズニープラスの実写ドラマ『ガンニバル』シーズン2への出演も発表されている。どんな爪痕を残すのか楽しみだ。

テレビ朝日系『プライベートバンカー』毎週木曜よる9:00~



ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。X(旧Twitter):@k_ar0202