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会社を辞めて、こうなった。【第30話】 ガリ勉生活引き続き。このままだと私、 ショーンKならぬ、アーヤD!?

  • 2016.3.22
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会社を辞めて、こうなった。【第30話】 ガリ勉生活引き続き。このままだと私、 ショーンKならぬ、アーヤD!?

長年勤めた出版社を辞めて、なんの保証もないまま単身アメリカに乗り込んだ女性が悩みながら一歩一歩前進して、異国の地で繰り広げる新鮮な毎日を赤裸々にレポートします。【第30話】ガリ勉生活引き続き。このままだと私、 ショーンKならぬ、アーヤD!?

3か月間も更新できなかったわけですが、そのあいだに何をしていたかというと、ずっと勉強していました。より正確に言えば、勉強しかしていませんでした…。

大変ご無沙汰しております…。

1月半ばからスタートした春学期。今学期から同じプログラムに参加してきた同級生もオックスフォード大学院を中断し、ケンブリッジ大のリサーチャーとして働く女性を始め優秀な面々が。引き続き同じ研究室で学ぶプロブラムの同級生はといえばハーバード大の法学院を卒業した弁護士の男性…。大前提としての学力レベルが違いすぎて呆然としてしまいますが、過去の経歴を比べたところで何の解決にもならないというもの。「人と自分を比べない、比べない」と自分に言い聞かせながら、目の前にやってくるお題に集中してひとつずつ着実にこなしていくことにしました。

さてバークレーで学ぶ2学期目となる今学期は、4つクラスを取っています。ひとことで言うと、面白い!! 心理学ってめちゃくちゃ面白いです。英語という深い霞のもと、はっきりとは何を学んでいるのか常にわからない私が面白いというぐらいですからこれをクリアに理解できたら、ハイパー面白いんじゃないかなぁ。あぁ、早くそうなりたい!

そしてバークレーの先生は、やっぱり質が高いです!! とにかく教え方がうまいですね。特徴としてはいい感じに力が抜けています、みんな。ときにジョークを交え(授業中セックスを例に出したりとギリギリのネタを使うこともしばしば。案外みんなアンアンのこと、好きなんじゃないかな! )、どうしようもなくややこしい内容を簡単な表現で説明するんです。これって完全に教材を理解できていないと出来ない技ですよね。難しいことを難しく説明することは比較的誰にでも出来ますしね。

“ほんまでっか!? ”な教科書。

日本で心理学を学んだことが皆無なので比較はできませんが、教科書だって教科書然とはしていません。“私って一体誰!?”という永遠のテーマ。つまり自己概念についてですが、それは自分が自分のことをどう解釈するのかという結果であるいっぽうで社会によって形作られたものでもあります、とミュージシャン・エミネムの生い立ちを参考に説明してみたりと (心理学と全く関係のないエミネムの歴史に3ページも裂く! しかもうち1ページはエミネムの裁ち落とし写真オンリー、笑)、エンターテインメント性抜群! どうにかして生徒たちを勉強の世界へと引きこもうとする著者や編集者の苦労がにじみ出ていますね(が、しかし一冊2万円ぐらいするのはいただけない)。そんな教科書のなかには“ほんまでっか!? ”な情報もてんこ盛り。特に心理学者アーサー・アーロンの吊り橋実験にはやられました。どういう内容かと言うと、グラグラ揺れる吊り橋では安定した橋に比べて、恐怖を感じる。そこでバクバクする胸の鼓動や浅い呼吸といった生理現象を恋愛感情と勘違いしてしまうことで、恋に落ちやすいということを大真面目に検証した実験です。古典的なテクですが、これを実際に実験して論文を書くってことがなんというかすごい。1974年発表ですよ! 色褪せませんよねぇ。40年の月日を経て200人の生徒が大真面目に「フム」と言いながらその実験について学ぶ姿は、ちょっとシュールです。そして授業の締めくくりには、先生が「デートは、吊り橋でしろ!」と叫ぶのです。何割かの男子生徒たちは女子をホラー映画やジェットコースターに誘ってみたりするんだろうなぁ(元アンアン編集者としては、その比率が知りたいですね)。今までアンアンで取材してきたことを大真面目な面下げて学んでいる感じがして、本当に面白いです。

教材の一部。装丁のクオリティの高さにも脱帽します。これを教科書として学んでいる大学生って羨ましすぎます。

「ア−ヤD」のわけ。

さて今学期履修しているのは、大学生とともに受けるSocial Psychology (社会心理学)、Personality Psychology (人格心理学)、Human Happiness (幸福学)の3つのクラス、そしてプログラム生のための大学院受験準備コース。それに加えて研究室でのお手伝いをしています。繰り返しになりますが、このどえらいハードな4学期完了のコース(2年間)を終えても学位は取れません。あくまでも博士号を目指し大学院へ受験するための準備プログラムです。そこで無事に卒業したところで、大学院に入学出来ないかぎり肩書き詐欺騒動の「ショーンK」さんならぬ、「ア−ヤD」さんと言われてしまうのかなぁと苦笑い。だから、今やっていることはある意味膨大な時間とお金をかけた、大博打。ふと我に返れば、「死ぬほど勉強しているけれど、実はものすごい大遊びをやっているのかもしれない…」とすら感じます。今までの人生でここまで勉強したり、追い込まれたこともなかったので、どこか現実感が無くドラマを観ているような気分にさえなります。今この場所に自分が居ること自体が不思議ですしね。ま、結果はどうあれ、納得いくところまで頑張りますね。今に集中! 自分に集中!

そんな今学期なのですが、なんと300ページ以上の論文、教科書、本などを毎週読んでいます。毎朝6時30分に起きてひたすら意味不明な英文とにらめっこし、学校へ行って授業が終わったら一目散に帰宅をして、脳みそがオーバーヒートするまで勉強。その後燃え尽きたように就寝し、また翌朝がやってくるという日々です。今学期は先学期と違って、4クラスのうち2クラスのテストがマークシート方式だけではなく英文で解答する必要があり、「もはや、Aの快挙もここまでか…」と絶望的な気持ちになりました。けれども今学期から決めたことがあります。それは「英語が出来ないことを言い訳にしない」ということ。別に誰に頼まれたわけでもなく、ただ自分が勉強したいから勉強しているだけなのです。そこで悩んでいる暇もないと、教科書の英文をまるごと暗記することにしました。

年齢と学習結果は関係ない。

コーヒーを飲むと眠れなくなってしまうため、嗜好品はノンカフェインのお茶にチェンジ。そこで、学校近くのASHA TEA HOUSEは私の憩いの場に。ほうじ茶ラテにボバ(タピオカゼリー)を入れて。free wifiです♪ hello@ashateahouse.com ご存知つい8か月ほど前は絵本を読んで英語を勉強していたわけですから、正直論文の内容なんてサッパリわかりません。でもわからないなりにも不思議なもので、毎日対峙していると1か月ごとにフッと読みやすくなったり、先生の説明がよりクリアにわかってくる瞬間があります。おそらく繰り返し使われている単語や言い回しが脳の中にストックされていくので、内容を類推するための手がかりが増えていくためでしょう。そこでこれだけはみなさんに断言します! 歳をとったら記憶力が落ちるとか、若いほうが勉強に向いているとかいう話はあまり真に受けなくてもいいです。年齢よりも“どれだけ崖っぷちに立たされているか”“どれだけ真剣に学びたいか”ということが学習の鍵を握るのだと思います。だから本気でやりたい人は大丈夫。いくつになってもスタートはできます。(とは言ってもわたしの英語はまだめちゃくちゃですけど。なので、引き続き頑張ります!)

とはいえ前向きな話ばかりではなく、もちろん悩みもあります。まず今学期の授業スケジュールと研究室のミーティング日程が重なってしまったので、全くミーティングに参加出来なくなってしまいました。何が話されているかよくわからない場で毎週1時間存在を消し続けるのは大変苦痛だったので内心“ラッキー!”と思ったのですが、これは大変良くないことです。大学院生たちがどんな研究をしているのかという情報がつかめなくなりますし、先生との距離感もさらに増してしまうためです。

実は先学期、英語が出来ないこと、そして心理学の知識がないことを研究室にアピールしすぎた結果、失敗してしまったように思います。教科書にもよく書かれている点でもあり経験上からも次第にわかってきたのですが、日本人はアメリカ人に比べて自己批判が強いんです。だからもうちょっと自分の出来る点も伝えておくべきでした。

結果、いまだにいまいちケトナー先生とどうコミュニケーションを図ったらよいのかがよくわかりません。そこでとりあえず先生のオフィスを訪ねる前に、まずは自分の足場を固めることから始めようと先生の授業である“Human Happiness”をしっかり理解し、テストでハイスコアをとることに集中することにしました。結果、テストで高い点数を取れたのですが未だ先生と話が出来るレベルではありません(そして先生と全く話さぬまま、現在3か月間が経過…)。というのも先生の研究姿勢やその深い知識について知れば知るほどそのすごさを痛感し、自分のアホさ加減が浮き彫りになってきたためです。何もわかっていなかった先学期、「このプログラムを終了したら、先生を取材します!」って言い放っていた自分が恥ずかしい…。穴があったら入りたい! この恥ずかしさを克服するにはより深い知識を身につけるしかありません。えぇーん、もっともっと勉強するぞーー!!

先生を訪ねてみると。

学校内のテラスで鬼の形相で勉強していたら、隣に座ったものすごいイケメンがチョコをくれました。 そこにはシェイクスピアのソネット48が…えっと、何か私、大切なものを置き忘れていますか!? とはいえ、いかんいかんと先週、意を決してオフィスアワーに先生を訪ねてもみたのですよ。結果、曜日を間違えてしまい、会えずじまい。無意識の抵抗ですね、アハ。おそらくまだ時期じゃなかったということでしょう。そこで改めて今はいったん先生からどう思われるかということは手放し、まず授業で学んだことを出来るだけ自分のものとして吸収することに集中することにします。来学期からは今学期学んだことをもとに自分の意見を述べたり、意見交換したいと思っています。

See You!

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「土居彩の会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。」まとめPROFILE 土居彩

編集者、ライター。14年間勤務したマガジンハウスを退職し、’14年12月よりサンフランシスコに移住。趣味は、ヨガとジョギング。ラム酒をこよなく愛する。目標は幸福心理学を学んで、英語と日本語の両方で原稿が書けるようになること。

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