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紺野あさ美さんも提供 “命のバトン”「さい帯血」骨髄移植より多いのに…数に課題も

  • 2024.9.29

赤ちゃんとお母さんをつなぐへその緒を流れる、「さい帯血」。
病気で苦しむ人を救う力があります。

しかし、その数は目標に達していません。
さい帯血がつなぐ、命のバトンに注目です。

元モーニング娘。でタレントの、紺野あさ美(こんの・あさみ)さん(37)。
見つめているのは、産まれたばかりの愛娘です。

4児の母となった紺野さんは、出産のたびにあるドナーになっています。
「さい帯血」です。

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「実際自分が子育てを始めたり、妊娠出産という機会があったりすると、いろんな病気や事故が他人事に思えなくなってきた」

赤ちゃんの誕生から、病気で闘う人たちの治療へとつながる命のバトン。
しかし、いま、その数が足りていません。

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札幌市内の病院で行われた、帝王切開による出産の様子です。
へその緒に針を刺し、胎盤から流れてくる「さい帯血」を集めます。

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「さい帯血」には、「造血幹細胞」がたくさん入っています。

赤血球や白血球、血小板の元となり、白血病などの患者のからだに移植することで正常な細胞をつくる効果が確認されています。

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白血病などの治療には「骨髄移植」が知られています。

しかし、骨髄移植は全身麻酔や数日の入院が必要になりドナーのからだに負担がかかるのが大きな課題。採取する血液量も、600ミリリットルから1リットル必要です。

一方、さい帯血は出産の際に採取し、量も150ミリリットルと少ないのが特徴です。

北海道ブロック血液センターの成田玲子細胞治療認定管理師によると「赤ちゃんやお母さんに一切痛みはない」のだそう。

「本来、出産後には捨てられてしまうものだから、そこを活用して誰か患者さんの命を救うことができるのは最大の利点」と力をこめます。

ドナーが増えることの意味

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4児の母となったタレントの紺野あさ美さんも、出産のたびにさい帯血を提供してきました。

「赤ちゃんを守ってくれた胎盤が、さらに誰かの役に立つかもしれないと思うとすごくうれしいと思うから、提供した側もこういう温かい気持ちになるよということは伝えたい」

札幌市豊平区にある、福住産科婦人科クリニック。

保坂昌芳医師は「白血病になった人が身近で3人くらいいたので協力できたら」と話し、妊娠28週を迎えたお母さんに対し、「さい帯血」移植について助産師から説明しているといいます。

2023年、460人ほどが出産し、その半数がドナーになりました。

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さい帯血は、赤ちゃんが生まれてすぐに臍の緒に針をさして採取します。
お母さんにも赤ちゃんにも、痛みはありません。

さい帯血を提供することを決めたお母さんに必要なのは、同意書の記入とさい帯血の検査の際に使う追加の採血1本、産後8か月ごろに記入する体調チェックの健康調査表だけです。

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「胎盤がはがれちゃうとさい帯血はもうとれない。それまでの間は5分10分くらい。さい帯血提供の母数が増えれば血液がとれる確率も高くなるのでドナーが増えたらいい」

採取できても、全部が移植できるわけじゃない

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公式な「さい帯血バンク」は、現在日本にわずか6か所。

北海道内で採取されたさい帯血は、血液を処理し保管する「さい帯血バンク」の1つ「北海道ブロック血液センター」(札幌市)一箇所に集められます。

さい帯血を採取できる施設もすべての産科施設ではありません。
「さい帯血バンク」と提携している札幌市と石狩市、旭川市にある14か所のみです。

札幌の施設では1日2回の回収、旭川の施設からはJRでバンクまで輸送されます。

採取したさい帯血は、36時間以内に処理をし凍らせる必要があります。
安全な形で患者に届けるため、すべてのさい帯血が採用されるわけではありません。

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重さは、110グラム以上あることが条件です。
4割のさい帯血はこの重量をクリアできずに、廃棄されています。
提供したお母さんに輸血歴があったり、双子以上の出産だった場合も採用できません。

次に、さい帯血に含まれる細胞数が十分か、くりかえし確認します。
この工程をクリアするまでに、採取したさい帯血の2割程度まで絞られます。

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そうして、無菌室で細胞の膜を守る保護液を入れるなどし、液体窒素の中で保管されます。保管期間は10年間。

このセンターからは、年間120程度の「さい帯血」が全国各地の患者に届けられ、そのうちの1割は北海道内の患者の元へと運ばれます。

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国内で行われている造血幹細胞移植は、近年骨髄よりさい帯血による数が上回っています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療体制に影響が出ていた際、骨髄移植のために必要なドナーの入院などもストップしたといいます。

それに比べて、出産の際に採取できるさい帯血は、安定した供給が期待できます。

しかし、いま保管されている「さい帯血」の数は、最低目標の1万件に届いていません。

さい帯血で今元気に暮らす人も

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北海道オホーツク地方の訓子府町で酪農を営む、安岡祐一(やすおか・ゆういち)さん。

安岡さんは、27歳のとき、血液のがんの1つ「悪性リンパ腫」と診断されました。

「最後の薬を使ってもガン細胞はなかなか消えなかった。余命1、2か月っていう診断を受けた」

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家に戻って、牛の仕事をするのが入院中の目標だったという安岡さん。
骨髄移植のドナーを探しましたが型が合わずに、提案されたのが「さい帯血移植」だったといいます。

移植を受け、5か月後には、無事に退院。
車いすバスケットボールのチームで、スポーツも再開できました。

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「難しい状態からでも、さい帯血の力を借りていま普通に生活できているので、提供してくれる人が増えて、助かる人がもっと増えてくれれば」

お母さんと赤ちゃんの命をつないだ「さい帯血」が、次は病気で苦しむ人たちの命を救う。

その環境が十分に整うまでには、まだ課題も残されています。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年8月28日)の情報に基づきます。

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