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不思議なものを見ることができる「おまじない」とは!? 妖怪たちとの交流と心温まる絆を描いた『狐の窓』

  • 2024.9.29

「狐の窓」というおまじないを知っているだろうか? 特別な指の組み方をし、その穴(窓)から覗くと、目には見えない不思議なものを見ることができると言われている。実際に覗いてみて、目の前の人が、もし妖怪だったら…。

『狐の窓~ゆるっと怪異~』(夜風さらら/KADOKAWA)は、「狐の窓」を使って、主人公ナギが色々な妖怪と出会う物語。個性豊かな妖怪たちとの出会いを見ていると、現実世界にもこんなことが起こっているかも…と淡いロマンが心に残る。

作中の妖怪たちは人間の姿で人間界に紛れ込んでおり、狐の窓から覗くことで本来の姿を見ることができる。彼らの多くは、人間界の方が面白いという理由で留まり、まるで人間以上に人間界を楽しんでいるかのようだ。

また、妖怪たちは人間界にいる妖怪を見つけることはできない。仲間を探すことはできないのだ。各々自分の好きなことをしながら生きているといった様子。その中でナギが妖怪たちの正体を暴き、彼らと交流することでまた、彼らも仲間を増やしていく。そこに人間と妖怪を超えたドラマがある。

妖怪たちの間にナギという架け橋がなければ、彼らは協力することもなかっただろう。現実世界では、人と人との関わりがだんだん薄くなっている印象がある。しかし、妖怪と人間という種族を超えて、力を合わせて問題を解決するという姿を見て、なんだか嬉しくなってしまう。

妖怪のいる世界も現実世界も実は紙一重なのではないだろうか。ある一種のピースがはまってしまったことにより、私たちの世界に妖怪が紛れていてもおかしくない。いや、もしかしたらもう紛れているのかもしれない。

「もし妖怪が現実世界にいるとしたら?」と読み進めるたびにワクワクし、妖怪たちとの温かい触れ合いに癒される1冊だ。

文=ネゴト / 森ソタカ

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