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「ぽっこりお腹」の自分を受け入れる。更年期の変化とポジティブに付き合う方法

  • 2024.9.29

更年期に直面する「ぽっこりお腹」

アメリカの人気ドラマ「AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章」のエピソードに、クリスティン・デイヴィス演じるシャーロット・ヨークがギャラリー復帰初日の服を買いに行くひとこまがある。彼女は試着室の中で、以前の体型とはかなり変わっていることに驚愕し、家に帰ってから鏡の前で「お腹のお肉を落とさなきゃ」とダイエットを決意する。

これはシャーロットに限った話ではない。更年期を迎える40代から50代にかけて、多くの女性は下腹部がぽっこり出てくるのを経験する。英語でも、更年期を意味する「menopause」の時期のお腹を指す「meno belly」という言葉があるほどだ。

更年期と脂肪の密な関係

更年期は必ずしも体重増加を引き起こすわけではない。しかし、脂肪分布や体組成(脂肪や筋肉など、体を構成する組成分)を変化させるのは確かだ。「エストロゲンの減少と卵胞刺激ホルモン(FSH)の増加により、体脂肪が増えて下腹部周辺に脂肪が溜まり、ウエスト周りが大きくなります」と、産婦人科医でHerMD Health創設者であるソミ・ジャヴァイド医学博士は言う。

「年齢にかかわらず、更年期はお腹周りの脂肪増加と、体重から体脂肪を除いた筋肉、骨、内臓などの重さである除脂肪体重の減少に影響を及ぼすことが数多くの研究で明らかになっています」と、Femistry共同設立者でありGlobal Consortium for Reproductive Longevity & Equality(生殖長寿と平等のためのグローバル・コンソーシアム)のディレクターであるジェニファー・ギャリソン博士は付け加える。

「若いときはエストロゲンによってお尻周りに脂肪がつきますが、閉経期にエストロゲンが減少すると、体重は変わらなくとも脂肪がお腹周りに再配分されます。さらに年齢とともに筋肉量が減少すると脂肪がつきやすくなります」

この脂肪が蓄積する場所によって、私たちの健康にどのような影響を与えるかが見えてくる。「下腹部に脂肪がつくと、糖尿病、心血管疾患、高血圧、脳卒中、呼吸器疾患などのリスクが高まります」とジャヴァイド。さらに下肢の関節に余分な圧力がかかるため、可動性の低下や関節炎の問題が出てくることも。

まずは睡眠と食生活の見直しを

下腹部に脂肪がつきやすい、また落としにくい理由について、ジャヴァイドはこう説明する。「“内臓脂肪”と考えられるお腹の脂肪は落としにくいとされています。ただそこにあるだけの脂肪組織とは違い、健康に影響を与えるホルモンを分泌するからです」。そもそも脂肪細胞にはアルファ型とベータ型の2種類があり、ベータ型は脂肪燃焼プロセスによく反応する一方、下腹部などの気になる場所にはアルファ型が多いため減らすことが難しい、と彼女は付け加える。

それでも私たちができることに睡眠の改善がある。睡眠不足は食欲を調節するホルモンに影響を与えるため、結果的に下腹部に影響が現れる、とギャリソン。「睡眠不足は、食欲を増進させるグレリンの増加と、満腹感を得るレプチンの減少につながります」と説明するのはジャヴァイドだ。さらに睡眠不足のもう一つの副作用に、インスリン感受性の低下がある。「インスリン感受性が良くないと、血糖値を下げるためにインスリンが多く分泌され、血流から糖を排出するときに脂肪として蓄えられます」

これを防ぐには食生活を見直すのが効果的だ。具体的に、炭水化物を減らす、タンパク質を増やす、トランス脂肪酸を避ける、アルコールを控えるなどが挙げられる。ジャバイドはまた、インスリンのレベルを下げて脂肪の蓄積を減らす間欠的断食や、いつものコーヒーを、代謝を高める抗酸化物質エピガロカテキンガレート(EGCG)を豊富に含む緑茶に変えることも患者に勧めている。さらにギャリソンによれば、ホルモン補充療法(HRT)は全員に効果があるわけではないが、心臓、脳、骨、筋肉を保護する効果があり、体重増加を抑制するというポジティブなデータ結果が出ている。

定期的な運動や姿勢にも気をつける

ぽっこりお腹にだけでなく、健康的な加齢にも不可欠なのが定期的な運動だ。ニューヨークのACE公認パーソナル・トレーナーでスポーツ栄養専門家であるテイラー・J・ラングストンは、なんでもいいので継続できる運動に加え、レジスタンストレーニングや体重負荷運動を含んだ筋力トレーニングをぜひ取り入れるべき、と言う。「これらの運動は骨密度、バランス、ホルモンバランスを改善します」

また、体幹に特化したプランクだけでなく、バックスクワットやデッドリフト、ベンチプレスのような大きな複合運動でも、機能的かつダイナミックに体幹を鍛えることができる、と彼女は説明する。「筋力トレーニングによる体型変化を目指すには、一貫性と、時間をかけてより重いものを持ち上げる漸進的過負荷に注目しましょう」

姿勢もまた、中臀筋と重要な関係がある。「姿勢と背骨のアライメントは、お腹の形と強さに間違いなく影響します」とラングストン。子宮によってお腹が自然にぽっこり出ている場合もあるが、座っている時間が長ければ長いほど出っ張ってしまう。「長く座っていると、股関節屈筋が硬くなったり短くなったりして、頭と首が前に出て体幹が弱くなります。そして腰椎の過伸展によってお腹が前に出る“スウェイバック”の姿勢になるんです」。これに対処するエクササイズとしては、大腿四頭筋、股関節屈筋、腰部、胸部のストレッチと、大臀筋、ハムストリングス、体幹の強化などがある。

しかし、健康的な食事や運動に気をつけるのはもちろん重要である一方、それと同時に変化を受け入れることも忘れてはいけない。重力と時間が私たちの顔や髪や体に与える影響は避けられず、20代の頃に着ていたドレスはもはや似合わないかもしれないし、たとえ似合っても全く違った印象になるだろう。だが、これらの変化が起こるのはいたってごく普通のこと。少しお腹が出てきたとしてもそれを受け入れ、前に進むことも大切だ。

Text: Fiorella Valdesolo Translation: Moe Ideishi

From VOGUE.COM

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