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約80種を展示する、世界一のクラゲ聖地。山形〈鶴岡市立加茂水族館〉へ

  • 2024.9.29
山形〈鶴岡市立加茂水族館〉ミズクラゲ

ゆらゆら漂う姿に没入したい。飼育力もクラゲ愛も世界一

水の流れに抗(あらが)いもせず、ふわふわ浮かぶ姿から目が離せない。「クラゲがウチのアイドル」という水族館も増える中、誰もが認める世界一のクラゲ聖地は、約80種を展示する〈鶴岡市立加茂水族館〉。日本海を望む庄内浜にあり、海外からもファンや研究者が訪れる。

館内の〈クラネタリウム〉では、一筆書き状の通路に沿って国内外のクラゲを眺められる。優美なユウレイクラゲや可愛いキャノンボールジェリーにうっとりした後は、飼育員による学びの空間へ。手書きの解説板で「クラゲの体はゼラチン質。心臓も脳も耳もなく神経に従って生きている」ことを知り、「名前の由来、“暗気”説」「『古事記』『枕草子』にも登場」という豆知識を得る。

1日3回のミニ講座では、「ミズクラゲは無性生殖で増えるポリプ世代と、有性生殖で増えるクラゲ世代、2つの世代を繰り返しながら繁殖する」という不思議な生態を学び、年間600万円のエサ代をクラゲバッジのガチャなどで賄う発想に感服!

山形〈クラゲ栽培センター〉内観
飼育員渾身の手書き解説がわかりやすい。赤ちゃんクラゲも観察できる〈クラゲ栽培センター〉。
山形〈鶴岡市立加茂水族館〉バックヤードツアーの様子
1日数回のバックヤードツアーでは飼育の様子や展示の裏側を公開。クラゲは水質変化に敏感なので、生息地の環境に合わせ水温や塩分、エサの量を細かく管理。ポリプを他水族館と交換して繁殖させる試みも。

クラゲ飼育の発展のため設備も知識もすべて公開

大水槽のミズクラゲを眺めた後は、日々の飼育を見学できるバックヤードツアーにも参加したい。例えば100種以上のクラゲは、温度調節した新鮮な海水を掛け流しにして飼育されている。使われているのは、1999年に現館長の奥泉和也さんが考案したクラゲ専用水槽の進化版だ。

当時、顕微鏡を買う資金さえなかったが、クラゲの命綱である水流に特化した水槽がどうしても必要、と自力で開発。設計図の特許を取らず無償公開し、国内外の水族館や研究機関と共存共栄することを決意した。

ちなみに、クラゲ飼育員さんいわく「クラゲは、カンブリア紀から、ほぼ進化していない」そう。

「つまり彼らには、5億年もの時を生き抜くのに十分な捕食技能や生存能力が備わっている。その研究は生態系や海洋環境の問題を解くことにもつながります。ただ体の90%が水のため昔は、採集が難しかったようで、いまだに飼育法も生態も未知の部分が多い。なのでウチで繁殖させたクラゲを大学や研究機関に提供し、役立ててもらっています。医療やロボット工学へも応用されているんですよ」

クラゲ展示を始めて27年目。一途なクラゲ愛は、館だけでなく世界中のクラゲに注がれている。

山形〈鶴岡市立加茂水族館〉ミズクラゲ
直径5mの巨大水槽を数千匹のミズクラゲが浮遊する。成長すると15~30cmほどになるミズクラゲの英名はムーンジェリー。宇宙船の窓から銀河を眺めているような気分になる。
山形〈鶴岡市立加茂水族館〉ウミガメ
庄内沖で漁師網にかかったウミガメを保護・飼育している。アオウミガメにコバンザメがくっついて過ごす様子も!
山形〈鶴岡市立加茂水族館〉ゴマフアザラシ
ゴマフアザラシやカリフォルニアアシカの繁殖も行っている。建物中庭のステージでは、鰭脚(ひれあし)類の特徴を解説するプログラムが人気。
トクビレ
口ヒゲのある魚トクビレなど、庄内地方の海水・淡水魚を展示。

Information

山形〈鶴岡市立加茂水族館〉外観

鶴岡市立加茂水族館

1930年開館。2014年リニューアル。クラゲの姿を一晩中配信するYouTubeや、大水槽の前で行うイベント『音楽の夕べ』も。

住所:山形県鶴岡市今泉字大久保657-1
TEL:0235-33-3036
営:9時~17時
休:無休
入場料:一般1,000円、バックヤードツアー500円
HP:https://kamo-kurage.jp/

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