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<逃げ上手の若君>「自害する暇があったら死ぬほど生きたい」…現代人の心にも響く時行の名言炸裂で感動の声

  • 2024.9.27
アニメ「逃げ上手の若君」第十一回が放送 ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第十一回が放送 ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会

【写真】保科党の武士たちを前に、たじたじになる逃若党の男子4人(ほか、第十一回場面カット)

TVアニメ「逃げ上手の若君」(毎週土曜深夜11:30-0:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)の第十一回が9月21日に放送された。名誉のために進んで命を捧げようとする武士たちを説得し、無事に逃がそうとする時行。逃げることを肯定してきた本作の真髄とも言えるエピソードに視聴者から感動の声が上がった。(以下、ネタバレを含みます)

「逃げ上手の若君」

本作は、「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」で知られる松井優征が週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の歴史スペクタル漫画を原作としたTVアニメ。鎌倉幕府滅亡の後、北条家の生き残りである主人公の北条時行が動乱の世を駆け抜ける姿を描く冒険譚だ。

アニメーション制作は「SPY×FAMILY」や「ぼっち・ざ・ろっく!」などを手掛けるCloverWorks、監督は「ワンダーエッグ・プライオリティ」で副監督を務めた山崎雄太、シリーズ構成は「その着せ替え人形は恋をする」の冨田頼子、キャラクターデザインは「劇場版ポケットモンスター ココ」で総作画監督を務めた西谷泰史が担当。奇才の製作陣が、美麗かつ迫力のある映像で歴史の一片を紡ぐ。

時行は逃げ上手の“大将”になれるか

【写真】保科党の武士たちを前に、たじたじになる逃若党の男子4人(ほか、第十一回場面カット) ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
【写真】保科党の武士たちを前に、たじたじになる逃若党の男子4人(ほか、第十一回場面カット) ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会

4月、信濃国は麦刈りの時期を迎えていた。そんな中、朝廷より新たに任じられた信濃国司・清原信濃守(CV:勝杏里)が二毛作の裏作物には年貢を課さないという約束を反故にし、独自のルールで横暴を振るう。

足利尊氏、小笠原貞宗、瘴奸らに続き、また新たな強烈敵キャラが登場。今回は白塗りにまろ眉と、いかにも貴族な風貌が特徴の悪徳国司だ。雅な振る舞いとは裏腹に、容赦なく見せしめに農民を殺す鬼畜ぶり。その圧政に耐えかねた諏訪神党の一人・保科弥三郎(CV:稲田徹)は国司を討つため兵を挙げる。

しかし、兵力差から見ても保科に勝ち目はなく、諏訪も朝廷との対立を避けるために救援を出すことができない。そのため、逃若党の男子4人は頼重(CV:中村悠一)の頼みを受け、保科党の反乱をとめるため、北信濃・川中島へ向かうことに。だが、保科党の武士たちはたとえ命を捨ててでも誇りのために戦う覚悟だった。

これまで逃げ隠れの才能で乱世を生き延びてきた時行。けれど、頼重はまだそれだけでは軍を率いる対象としては足りないという。今回のミッションは一人でも多くの人間を逃し、逃げ上手の大将となること。

時行たちは保科党をどうにか日没まで持ちこたえさせた後、彼らを北の方角へ逃す作戦に出た。特に弧次郎(CV:日野まり)は大活躍で、武士たちに混ざって剣の腕を振るう。すべては頼重が有能な男と認める保科を生き延びさせるためだが、当の本人は全くその気がない。それどころか大事な郎党たちの命をも軽んじている保科の態度に堪忍袋の緒が切れた時行は「私はあなたの死に様に何の興味もありません」と言い放つ。その結果、保科から剣先を向けられるのだった。

アニメ「逃げ上手の若君」第十一回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第十一回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第十一回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第十一回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会

現代人の心にも響く時行の名言炸裂!

「死ぬべき時に死ねないのは生き恥」「最高の死に場所を選んだ武士は!! 後世まで人々から讃えられる」と主張する保科。そうした言葉を聞き、時行の脳裏に浮かぶのは鎌倉幕府滅亡の日の光景だ。

あの日、一族のほとんどが逃げることなく討ち死か自害し、自ら天下の舞台を降りた。しかし、その潔さは讃えられるどころか、誰にも関心すら持たれていないことを時行は知っている。だからこそ、保科たちが名誉のために喜んで死ぬのをみすみす見過ごすわけにはいかないのだ。

時行は美しく死ぬ自分に酔うばかりで、領民の都合も考えない武士たちに「身勝手に死ぬ武士の顔など美しいものか!」と訴えかけるが、保科にかけた酒を被って酔っ払ってしまう。最後まで格好がつかないところが時行らしいが、保科の昔馴染みである四宮左衛門太郎(CV:神尾晋一郎)の説得もあり、武士たちを逃すことに成功。保科は「酒も知らん9歳の童がわしよりも修羅場を体験したようなものの言い方…奇妙な子よ」と時行に心を動かされた様子だった。

帰り道、時行は弧次郎に「自害する暇があったら死ぬほど生きたい」と改めて自分の思いを語る。いじめやパワハラ、長時間労働などに限界まで耐え、自ら命を絶つ人も多い現代。本作は約700年も前を舞台にした物語だが、生存本能の怪物である時行を通して、私たちにも逃げることを肯定してくれる。第十一回は、そんな本作の真髄とも言える回だった。

「こんな無様な私の道でも君は一緒に行ってくれるか?」という時行の問いに、「もちろん! 死に様じゃない若の生き様、見届けてもらうッス」と即答する弧次郎。二人の主従関係もさらに強固なものとなった今回のエピソードに、視聴者からは「死に様ではなく生き様、名言であることだなあ」「弧次郎の、信頼する郎党の命を軽んじられてキレた時行は主人の鏡!」「修羅場をくぐるごとに成長していく若様が頼もしくあり、改めて9歳と言われると辛くなる。重い運命だなあ……」「時行×弧次郎、この二人の成長を見れて嬉しい」という声が上がった。

◆文/苫とり子

アニメ「逃げ上手の若君」第十一回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第十一回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
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