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盛り塩をすると、フライドポテトを作ってくれる!? 生活力の高い怨霊と売れない漫画家の怖かわいい日常

  • 2024.9.27

いくら家賃が安くても、心霊現象が起こる物件で暮らすのは怖いだろう。だが、棲みついている幽霊と意思疎通がとれ、さらにお世話までしてくれるなら、一緒に暮らしたいと思う人もいるのではないだろうか。『売れない漫画家と世話焼きの怨霊さん』(三戸/竹書房)は、そんな霊憑きの物件で怨霊と一緒に暮らす青年の色んな意味で心臓がドキドキしっぱなしのホラーラブコメディだ。

主人公・左江内夜郎(さえないやろう)は、売れない漫画家。お金がなく、幽霊が出るボロアパートに住んでいた。締め切りに追われるも、ジロジロと覗き込んでくる幽霊は怖い。恐怖で原稿を落とすわけにもいかず、俺の漫画を見るくらいなら感想を教えろと突っかかる。すると、壁におどろおどろしいフォントで「最&高」と返してくれたことをきっかけに、漫画家と幽霊の愉快な日常が始まるのだ。

The怨霊の見た目をした幽霊なのに、その言動はとてもかわいらしい点も本作の魅力の1つ。ホラー映画が怖くて、首を180度回転させて画面から目を逸らすのも怖かわいい。「こわくて見れなかった」と主張する姿は、とても怨霊には見えないほど人間らしくて堪らないのだ。だが、基本的に怨霊の首の角度がヤバいので、この共同生活を「うらやましい!」と心からは感じられないのも面白い。

盛り塩を使って細切りのフライドポテトを揚げ、まな板の殺菌までこなす生活力の高い幽霊。夜郎がバイトに出かけている間に部屋をぴかぴかに掃除し、安らかにベッドで眠りについている。ひとりでに干される布団や誰もいないはずの部屋から聞こえる掃除音…道行く人やお隣さんの恐怖はものすごそうだが、夜郎にとってこの怨霊より最高の幽霊はいないのではないだろうか。

共存のために「怨霊さん」と呼び名をつけ、ふたりの同居生活は続いていく。2巻では、夏を迎え扇風機の送風で除霊されそうになる怨霊さんや、怨霊さんに助けられながらコミケで新刊を売る夜郎などのエピソードが綴られている。まるで新婚カップルのようにナチュラルにいちゃつきながら暮らす、ふたりの怖かわいい日常をたっぷり堪能してもらいたい。

文=ネゴト / 押入れの人

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