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どこかに根付くには早すぎる。安定することに後ろ髪引かれながらも旅するような20代を

  • 2024.9.26

根付かず風の人であること。20代でしたいことはこの一言に尽きる。

◎ ◎

わたしは旅が好きだ。わたしの旅はしっかりとした目的は決めず、自分の進みたい方向に進んでいく。入ってみたい場所や気になるお店、そのときの心の向く方へ流れるように進んでいく。不思議と自分の心に素直になっていると、進んだ先で素敵な人たちや綺麗な景色、美味しいご飯に出会う確率が高い。ある時は泊まる場所でわたしが次行く予定の土地からちょうど帰ってきた人と出会い、おすすめの場所を教えてもらったこともあったし、夜ご飯で入ったお店のカウンターで仲良くなったサラリーマンに全部奢ってもらったこともある。人の意見に流されず自分のこっちだなというセンサーの向かう方向に進んだ先にたくさんの素敵なものがあることを知っているからこそ、旅はやめられない。初めての場所、新しく見るもの、その土地の人たちとの会話が大好きなのだ。

人生もそんな根無し草のような生き方がしたい。根無し草というとあまりいいイメージを与えないが、要は自分の心の感じるまま、世間の常識や周りに左右されることない強さを持ちながら生きていきたい。今の職場は3年と決めて入った。限られた期間のなかで貪欲に得られるもの全て吸収して、それを元に次の場所を行こうと思っていた。就職して1年半経ち、残りの期間は半分となった。ここから折り返しとなる。終わりを見据えるようになり、次はどこに行こうかと考え始めた。今住んでいるところとは全く別の地方で、誰も知ってる人がいない場所に住んでみたい。それはどこだろうと探す旅をしている最中だ。わたしはもっとたくさんのものに触れたい。自分の世界を広げたい。生きる場所を決め、どこかの地域に根付いて、暮らしを営むにはまだ早すぎる。

◎ ◎

とは言いつつも、つい先日友人が結婚した。仲の良い同級生の友人の中で初めての結婚報告だったので純粋に驚いた。早い。これからの人生どこで、誰と生きていくのかをもう決めることができたのかと。わたしは自分の人生すらままならならず、生きていくだけで精一杯なのに、愛する人を思いやり、ともに人生を歩んでいくと決めることができたのかと。同時に少し焦る。そろそろ自分の人生の方向性を決め、落ち着かなければいけない年齢になってきているのかもしれないと。

根付きたくないと言いつつ、これからの人生をともに歩んでくれる人がいる、安定があることが時々眩しく思えてしまう。そんな気持ちを埋めるためにマッチングアプリを始めた。だがどうせ時期が来たら新しい場所に移動してしまうしなと、無意味ささえ感じてしまうので、気休めにしかならない。自分の進む道がこれからどうなっていくのか全く見えていない。道はいくつもあるに違いないが、先は見えず真っ暗で、どうしようもない不安が付きまとう。

◎ ◎

だが、わたしは風の人でありたい。だってまだ20代だから。どこかに根付くには早すぎる。もっともっと自分の身体を使って、出会っていないたくさんのものと出会いたいのだ。

■雲和のプロフィール
人口1000人のまちで田舎暮らし。子どもの「生きる」に寄り添います。好きなことは、日光浴と食べること。

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