病気を抱えながら働く妻に「もっと稼いでこい」人の痛みを理解できない【自分勝手な夫】の話

長い人生、本当に何が起こるかわかりません。健康だけが取り柄だった筆者がある日ガンであることがわかり、生活は一変。思うように体も動かない中、一番身近で見ているはずの夫から信じられない一言が……。驚きの体験談をご紹介しましょう。

療養中

私の夫は、とても無神経なことを平気で言うところがあります。
人が傷つくとか嫌な思いをするということを考えず、自分の思ったままを口にするので、喧嘩になることも。
特に自分の思うようにならないときや、疲れているとき、眠いときには口が悪くなります。

私は4年前にガンの手術をしていて、現在も治療中。
術後の疼痛や薬の副作用に見舞われて体調がすぐれない日も多く、仕事も在宅ワークに切り替えていました。

新車

夫の収入だけでは心もとないので、私も働かざるを得ない状態……でも退院後も働く私を見て、夫は「仕事できんじゃん！」と私の収入をあてにするようになりました。

先日、来年に控えた車検の話をしていたとき、夫が急に超高級なワンボックスカーが欲しいと言い出しました。
話を聞くと、その車はおよそ800万円もすることがわかり、毎年の税金は5万円以上！
この人は何を血迷っているのかと思い「そんな車、うちで買えるわけないでしょ？ 車にばっかりお金かけたってしょうがないじゃない」というと、恐ろしいことに夫はとんでもないことを言い出したのです。

収入

「お前が今の仕事で月50万くらい稼いで来れば買えるんじゃない？ もっと仕事しろよ」

夫は当たり前のようにこう言いました。
確かに計算上はそうかもしれません。
でも。
自分でさえ月50万円もの収入はないのに、こんな状態の私に何を期待しているんでしょう？

思い返せば、私の病気がわかり、検査・入院・手術と怒涛のスケジュールが決まったときも、「大丈夫じゃね？」と意味の分からないことを言っていました。
感染症の拡大時だったため、入院中の面会は禁止されていましたが、連絡をくれていたのは子ども達だけでした。
……何かを期待することが間違いだったんだなぁと思い知らされたものの、難しかったパズルが完成するときのように、すべての事柄に納得がいったのも事実でした。

覚悟

悪気はなかったのかもしれませんが、薬の副作用や手術の後遺症で苦しんでいる様子を間近で見ているのに、「もっと稼いで来い」と言った夫の神経は本当にわかりません。

でも、今回のことで私は自立する覚悟が決まったような気がしています。
それにしても、男を見る目がないなぁとつくづく実感している今日この頃です。

【体験者：50代・筆者、回答時期：2024年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター：RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。