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サザエさん症候群はアラサー女子にも牙を向く。

  • 2016.3.11
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サザエさん症候群はアラサー女子にも牙を向く。

仕事に美容に恋愛に、女の人生ってけっこー大変! 私はこのままでいいのかな? 幸せになれるかな? そんなモヤっとした悩みを浄化し、毎日がもっと楽しくなる痛快エッセイを、毎週土曜日お届けします。彼氏もおらず予定もない女子は、日曜の夕方「サザエさん」を見ながら不安になり、結婚熱を高めはじめる。寂しさ。不安。焦り。このモヤモヤは本当に結婚したら消えるのだろうか? この勢いで無難な結婚をしていいものか? バツイチ女子が自己検証から導き出した答えとは――。
【恋愛はしたいけれど1mmも傷つかずに生きたい】vol.30

「日曜夕方ってさ、どうしたらいいかわからなくなる」

そう話す友人A子は、深刻そうな顔でこぼす。

翌日の月曜がリアルに感じられる日曜夕方。アニメ「サザエさん」で現実に引きもどされるだけでなく、一人で一日過ごしきってしまった後悔が、どっと焦りとなって襲うのだ。そうして結婚したい気持ちは最高潮になるけれど、失敗は絶対したくない!

だから今も昔も、ケッコンという決断には敏感だし、慎重だ。

昔はなるべく条件のいい「三高男子(高身長・高学歴・高収入)をと言われていたらしいけど、最近はもっぱら3平男子(平均的な年収・平凡な外見・平穏な性格)がもてはやされる時代らしい。ただし、そんな絶好の三平男子を前にしても、やっぱり悩むのが女心ってもんで、かくいう友人A子も、結婚を考えイイ感じの平たい男に目をつけていた。

「やっぱり惹かれないんだよね…」

幸せなはずのA子の顔は、浮かない。

「でも、大手企業勤めで、安定した感じなんでしょ?」

「そうなの、そうなんだけど、改めて付き合うとか結婚を考えると、全然ときめかないんだよね」

贅沢な悩みではあるけれど、わかるぅぅぅ! みんな三平男子がいいとは言いつつも、いざ目の前に「どうぞ!」と出されると、とてつもなく退屈なモノに見えるって言っている。惚れっぽい自分としては、一発ヤったら気持ちも変わるとは思うものの、正しく失敗なく進もうとするオンナ達に、そんな危険な提案は御法度である。

「しかも彼って、もう結婚するための貯金のことも、考えてるんだよ」

あらまあ! 現実的!

「マンション買いたいとか言ってたし」

おやまあ! 計画的!

「いいじゃん、いいじゃん。とりあえず付き合ってから考えてみたら?」

と、ひとまずヤイヤイはやし立てはしたけれど、安定平凡な条件チョイスは実は反対。だって安定平凡といえば、自分のニガ〜い結婚と離婚の経験を、思い出さずにはいられないからだ。

弱って独身から逃げた、私の結婚話

結婚前の私は、一声でいうと弱って焦っていた。当時はダメ男を渡り歩き、「セックスするのはいいんだけど、付き合う気はない」とキレイさっぱりセフレ認定されたり、恥ずかしい病をわずらったりと、ボッコボコに傷つき泣かされ、さらに好きだったはずの仕事が多忙を極め、激やせして毛がごっそり抜けたりと、マジでヤバイ状態が続いていた。

そんなとき頭を支配していたことは、たった1つ。

「ああ、早く結婚したい」

結婚して、もっと安定した仕事につきたい。

結婚して、もっと穏やかな毎日をすごしたい。

結婚して、もっとあたたかい家庭を築きたい。

「私、自分のためだけに稼いで、お金を使う生活に飽きた!」

なんて、夜遊びと仕事が大好きだったくせに、しゃあしゃあと恋愛ゲームに飽きたフリをする。見たことも触れたこともない安定平凡なあたたかい生活を「私の理想」と決めつけ、そこに強く憧れるようになっていった。

そうして出会ったのが、当時の旦那サマである。それはそれは素晴らしく安定した男性で、イイ男であった。付き合って少しして、向こうも結婚する気はないわけじゃあないとわかったら、するよね、当然。具体的な試算。

「大企業、年収、身長、問題なし! むしろ素晴らしい! 70点」

「結婚後は共働きでも専業主婦でも自由でいい! プラス10点」

「同居の可能性なし! プラス10点」

安定という物差しで彼をみたとき、素晴らしくパーフェクトであった。ちなみに私の母親からは、「どうして彼のような人が、アンタと結婚するの?」と言われた。まったく、娘をもっと信用しろってもんだ。なんてね。母の見立ては正しかったみたい。

最後に彼のほうが年上だったので、介護することになっても大丈夫か考えてみたけれど、そんな50年くらい先の未来がリアルに想像できるはずもなく、

「私って、シモの世話とかあんま抵抗ないし(したことはない)大丈夫っしょ」と、ノリでOK判定。プラス10点!

とにかく「これ以上傷つきたくない」と、弱りきった心身と焦りが、ビシバシと独身からの撤退命令を出してくる。今結婚したら、もれなく周りからすると1番乗りだし、会社も辞められる〜なんて薄っぺらいプライドを満たすため、私は結婚を決めた。というか、仕事も恋愛も第一線で頑張ることから、逃げたのだ。

世間が考える幸せな結婚がツライ

そうして世間的にみると、「イイ男」な殿方と運良く結婚していただき、私は安定した生活で、ぬくぬくといつもの自分に回復していった。しかし元気になるにつれ、結婚前に見えた安定という輝きが、だんだんと足かせになってくるではないか。自分でインテリアを決めて生活を彩れば、自分勝手だと思われ、「女性は男性の好みを叶えながら、幸せにしてもらうベキなのか?」と悩む。

料理もメニューを毎日考えて、仕事終わりに急いで用意するのが辛くなり、「料理くらい、女がやるベキなの?」と悩み、できない自分に自己嫌悪。さらに飲み会の回数を減らしたり、減らさなかったりしていたら、色々家庭がおざなりになっていき、「女が家と夫を守り、ささえるベキなのか?」と妻のなんたるかに行き詰まる。

おかしい。ついこの前まで、素晴らしいと思っていた理想の生活が、こんどは私の心を色んな“ベキ論”でギュウギュウ締めつける。ていうか、相手が悪いのか? いや、相手は結婚条件としては完璧に常識的でイイ男なのである。それに合わせられない、私がおかしいのである。多分。

今思えば、「価値観の違い」そのまんまな話だけど、渦中にいるときというのは、冷静に考えられないものだ。

ただ一言、「価値観の違いを押し付けないで!」が怖くて言えなくて、かなり窮屈な環境を自分で作り出し、結局お互いが爆発して、離婚してしまった。今でもそれなりに、反省している話。

結婚は弱った私を救うプレミアチケット

そんなニガい思い出があるから、本当はA子のチョイスには賛成できない派。だってA子だって、私と同じくらい仕事とお金が大好きな、賢く行動的な娘さんなのだ。

でも「傷つきたくない」という気持ちや「今しかないかも」という不安から、“確かそうな正解”を選ぼうとする気持ちもわかるし、やっぱり日曜日を一人で過ごすと、寂しくなるものだ。

結婚という選択は、仕事に弱っている自分、年齢に焦っている自分を救ってくれるプレミアチケット。そこでしくじると、本当におしまい…と感じて、女は保守的になるのです。いや、結婚したら愛なんて消えると前情報があるから、消えても「この人でよかった」と思える男性を求めるのかもしれない。

「結婚相手は安定的な男性とするベキ」

「30歳ならそろそろ結婚すベキ」

「仕事より、家族を大事にできる女になるベキ」

とにもかくにも、どのベキ論も正しく見えるけど、学んだことは1つ。

「弱っているときに、結婚す“ベキ”ではない」ってこと。

ああ女って、どっちにしてもベキ論に縛られてるなあ。

おおしま りえ/雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター

10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、アップダウンの激しい人生経験を生かし、現在恋愛コラムを年間100本以上執筆中。そろそろ幸せな結婚がしたいと願うアラサーのリターン独女。

HP:http://oshimarie.com