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ヴァンドーム広場のショーメ、愛にまつわるジュエリー展を開催中。

  • 2016.3.2
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6月に延期はされたものの、今年のヴァンドーム広場の話題はなんといってもオテル・リッツの改装オープン。それにあわせて、この宝石商広場ではさまざまな動きが起きている。6番地にあるトリノで創業されたジュエラーのRepossiは、昨年LVMHグループに加わったのだが、目下サントノーレ通り390番地で仮営業中......というのも、本店をレム・コールハースによるコンセプトでリニューアル工事中だからだ。4番地のブチェラッティは、近くのラペ通り1番地へと引っ越し。さらに驚くことに、創業1827年のモーブッサンも、1946年から構えた20番地のブティックを後にし、ラペ通りへと引っ越した。そして、その後にヴァンクリーフ&アーペルが22番地の既存のブティックに加えて、もう1店舗を広場に構えることになったのだ。その新店舗の2階ではこれまで一般公開していなかった、貴重なアーカイブ・ピースを展示している。ヴァンドーム広場に軒を構える昔からの宝石商とクチュール・メゾンのジュエリーとの大きな違いは、何と言ってもこのアーカイブ・ピース。かつての王侯貴族たちの注文から生まれた、卓越した技術と類稀なる美しい石が作り上げるジュエリーは、各宝石商にとって貴重な財産である。それだけに一般人がそれらを簡単に見ることができなかったのだが......。

『心の小径』展で展示されているショーメのアーカイブ・ピース。左:1890年に制作されたピンクトパーズとダイヤモンドのティアラ。右:ペアの翼は1915年に制作されたもの。それを2011年にエグレットに変身させた。

その点にいちはやく目をつけたのは、創業を1780年にさかのぼるショーメ。12番地に並ぶ2軒のブティックの片方を、アーカイブ・ピースをテーマに合わせて展示する美術館のようなスペースに、昨年変身させたのだ。第1回目は『庭園の小径』とタイトルし、メゾンにゆかりの皇后ジョゼフィーヌが愛した自然をテーマにしたジュエリーを展示した。そして、目下第2回目の『心の小径』展では、ショーメが236年の歴史の中で手がけた愛情にまつわるジュエリーを展示中である。婚約、結婚に関わるジュエリーはもちろん、男性から女性へ、親から娘へといった愛の証のギフトなど種類はさまざま。情熱を表すハート、キューピッドの矢や翼のモチーフのジュエリーも。

展示から。左:ジュエリーに並ぶ石名のイニシャルが秘密のメッセージ。それはAMOURだったりジュエリーを贈られる女性の名前だったり......。ナポレオン1世は妻たちや家族のためにこうしたジュエリーをオーダーした。右:1922年に制作された、ドレスの胸元用のバロックパールとダイヤモンドのブローチ。絆を象徴するリボンと丸みを帯びたパールが幸せの絶頂を表しているようなジュエリーだ。

展示から。左:愛がもたらす幸福感。翼はその高揚を象徴するモチーフとして、よく使われた。1909年の制作当時はおそらくペアだったと思われるルビーとダイヤモンドのブローチ。中:文字盤の周囲を忘れな草が飾るロマンチックな時計。秘密の隠し場所があり、そこには男性の写真が......。時計の贈り主だろうか、それとも......。1908年の制作。右:1900年のピンクトルマリンの指輪。モチーフとなっているコウモリは、意外にも愛情のシンボルとか。

左:ピンクに始まり強い赤で終わる会場構成。アーカイブの写真を壁にハート型に配置し、ショーケースではショーメの歴史を彩るセレブリティ・カップルの写真を展示している。右:18世紀から20世紀の初頭まで続いた習慣で、婚約をした女性は未来の夫から、あるいは家族から複数のジュエリーで満たされたバスケットを受け取った。写真はその一例。

今ではメゾンのアイコンのような存在となっている、クロスをモチーフにしたリアン・ドゥ・ショーメ。この会場では1900年に製作されたサファイアとダイヤモンドが織りなすクロスのジュエリーを展示している。また、展覧会の限定販売ジュエリーとして、リアンをさらに現代的にデザインした指輪とブレスレットのエスカパド・ドゥ・ショーメなどの販売も。なお展覧会の原題『Une Éducation Sentimentale』は、ギュスターヴ・フローベールの名作「L'Éducation Sentimentale(邦題『感情教育』)にヒントを得ている。

会場で販売されている限定コレクションから。どことなく40年代調のブレスレットエスカパド・ドゥ・ショーメ(左)、指輪エスカパド・ドゥ・ショーメ(中)、クラシックな趣きのあるアンティークのような時計リアン・ドゥ・ショーメ(右)。


『心の小径』展
会期:開催中~2016年9月24日まで無料開催 10:30~19:00
Chaumet
12, place Vendôme
75001 Paris
休)日

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