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"伊周vs道長”トップに立つべきは? ロバート秋山の顔に注目すべきワケ。NHK大河ドラマ『光る君へ』第19話考察レビュー

  • 2024.5.17
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『光る君へ』第19話より ©NHK

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。まひろは内裏で定子との対面が叶う一方で、右大臣となった道長に対立する伊周たちが、とある事件を引き起こす…。今回は、第19話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

『光る君へ』第19話より ©NHK
光る君へ第19話より ©NHK

道兼(玉置玲央)の死後、一条天皇(塩野瑛久)は道長(柄本佑)を右大臣に任命した。これによって公卿の頂点に立った道長の主導のもとで陣定が行われ、疫病に苦しむ民から申し出のあった租税の免除について議論が交わされる。

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多くの者が免除に賛成を表明する中、反対の意を唱えるのが、道長に先を越されてしまった伊周(三浦翔平)だ。しかし、意見は覆らず、これにヘソを曲げた伊周と弟の隆家(竜星涼)は内裏に参内しなくなった。

一方、まひろ(吉高由里子)は、ききょう(ファーストサマーウイカ)のはからいで内裏の登華殿を訪ねることに。定子(高畑充希)との初対面に緊張する中、思いがけず一条天皇が現れる。

恐れ多くも、「我が国にも宋の国のように身分の差を超えて政に加われる制度があれば」と政について意見を述べるまひろに一条天皇はいたく感心。「あの者が男であったら登用してみたいと思った」と道長に語り、驚かせる。そんな中、道長はまひろの父・為時(岸谷五朗)から届いた申文を見つけ、従五位下に推挙した。

その頃、伊周はいつものように妾である光子(竹内夢)のもとへ忍び込もうとする。光子は斉信(金田哲)の妹で、伊周は彼女を寵愛していた。

だが、そんな光子の邸宅の前に、立派な牛車が止まっているのを見た伊周は裏切られたと勘違い。隆家は相手の男を懲らしめてやろうと、光子の邸宅から出てきた男に矢を放つ。幸運にも外れたが、隆家が矢を向けたのは花山法皇(本郷奏多)だった。

心を新たにするため、まひろ(吉高由里子)との思い出の場所である廃邸を訪れた道長。すると、そこにはまひろの姿が。二人はしばし見つめ合った後、言葉も交わさずに別れる。

『光る君へ』第19話より ©NHK
光る君へ第19話より ©NHK

「光る君へ」第2章の始まりとも言える第19回。目を見張るのは、公卿のトップの座についた道長の政治的手腕だ。特に見事だったのが、反発する伊周と隆家の懐柔である。

源明子(瀧内公美)の兄・俊賢(本田大輔)を参議に任じた道長。既にご存知の通り、彼らの父である源高明は道長の父・兼家(段田安則)によって失脚させられた。そのため、自分は源再興のために道長に近づいているだけで、決して忠義立てしているわけではないと伊周と隆家に擦り寄る俊賢。

さらには、「帝は右大臣に対抗する力がなければ内裏も陣定も偏りなく働かぬとのお考え」と2人をおだて、参内を促す。最初は早くも裏切りかと思ったが、全ては計算のうち。そもそも道長が俊賢を参議に抜擢したのは、彼がいざとなったら源高明の息子であるという誇りを捨てることができる彼の処世術を評価したからだ。

道長は人の本質を見抜き、上手く使う力に長けている。そのトップとしての器を兼家は早くから見抜いていたのではないだろうか。「自分さえ良ければいい」という考えには賛同しかねるが、やはり偉大なリーダーであったことは認めざるを得ない。

だが、道長はそんな父と別の道を歩む。彼が為すのは、「家のための政」ではなく「民のための政」。租税の免除に苦言を呈した伊周にも「いまだ疫病に苦しむ民を救うは、上に立つ者の使命と存ずる」と毅然とした態度で言い放った。

あの気難しい性格の実資(秋山竜次)でさえも、これには感心した様子。実資の反応は良いリーダーかどうかを測る、ある種のバロメーターだ。

優秀なリーダーには優秀な部下たちがついてくる。秋の徐目では俊賢が参議になったほか、実資が権中納言に、行成(渡辺大知)が蔵人頭となった。さらには為時を従五位下に推挙した道長。忖度はせず、身分も立場も関係なく本当に優秀な人を登用する。今は会えずとも、道長とまひろは同じ未来を向いている。

『光る君へ』第18話より ©NHK
光る君へ第18話より ©NHK

伊周を次の関白に任じようとしていた一条天皇も道長のことは認めているようだ。元々、一条天皇は情け深く民を思う心を持っているので、道長とは気が合うのだろう。伊周を関白にしなかったからといって、定子(高畑充希)との夫婦仲にこれといった影響はない。

むしろ、一条天皇の定子に対する寵愛は増すばかり。まひろが登華殿を訪ねてきている時でさえ、「会いたくなってしまった…」と寝所に連れていってしまうのだから。来客も時間も全く気にする様子のない一条天皇の、儚げな見た目に反した情熱的な愛情表現に少しばかり笑ってしまった。

そんなラブラブな2人に水を差すのが、伊周と隆家である。俊賢の言葉に簡単に乗せられてしまうところを見ると、彼らに人を見抜く力はなさそうだ。それなのにプライドだけは一丁前に高い。

ただ光子に他の男がいるかもしれないというだけで目に涙を浮かべる伊周も、そんな兄のために相手の男を懲らしめてやろうとする隆家も本当は純粋なのかもしれない。生まれた時から将来が約束されていたボンボンの息子であるがゆえに、歪んでしまったんだろうなと思うと同情すべき点もあるが……。

彼らは取り返しのつかない大事件を起こしてしまう。ここで久しぶりに花山法皇が登場。少しおさらいすると、彼は斉信の妹・忯子(井上咲楽)を寵愛していたが彼女は若くして亡くなってしまった。そんな中、道兼に唆されて出家。以降は姿を見せていなかったが、この間に花山法皇は忯子の妹である四の姫・儼子のもとへ足繁く通っていたのである。それを伊周は三の姫・光子のもとに通っていると勘違いし、隆家が矢を放つに至った。

この出来事が俗に言う「長徳の変」へと繋がっていく。兄たちが不祥事を起こし、定子が何の影響も受けないということは恐らくないだろう。彼女はただ純粋に一条天皇を愛しているだけなのに、あまりにも不憫。次週は心苦しい展開となるかもしれない。

(文・苫とり子)

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