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法律のジャッジは? 子どもの「しつけ」と「虐待」の線引き

  • 2016.2.16
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【ママからのご相談】

この前、公園で息子と遊んでいたら、お友達親子がいたので一緒に遊んできました。そこで子ども同士がじゃれ合っているうちに、うちの子がつまずいて転んでしまいました。

ケガはなかったので、大丈夫だったのですが、知り合いママが自分の子どもの所に走っていって、子どもの頬にバチーンとビンタをかましました。

こちらがあっけにとられている間、結構キツイ叱り方をしていて、「正直やりすぎなのでは?」と感じてしまいました。

子どもに対するしつけと虐待ってどう線引きすればいいのでしょうか?

●A. 虐待は法律でも定義されていますが、線引きが難しいところもあります。

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美です。

子育ての方法は本当に人それぞれですが、しつけと虐待の線引きはとても難しいもの。

殴るのは言語道断としても、お尻ぺんぺんもだめなの? と言われると、悩む方も多いようです。

●親に限らず、いかなる人であっても虐待は禁止

児童虐待は、従前から児童福祉法で対応していました。

しかし、児童の人権を著しく侵害し、子どもの成長や人格形成に重大な影響を与えることから、児童虐待の防止等に関する法律が制定され、虐待の定義等も明らかにされました。

親に限らず保護すべき子どもの虐待は、いかなる人であっても禁止されています 。

児童虐待は、大きくわけて次の4つに分類されています。

・身体的虐待 ……殴る・蹴る・激しく揺さぶるなど、身体に外傷を与えたり与える可能性のある行為

・性的虐待 ……子どもに性的行為をする・性的行為を見せる・ポルノ被写体にするなどわいせつ行為をしたりさせる行為

・ネグレクト ……食事を与えない・長時間の放置・病気になっても病院に連れていかないなど保護者としての監護を怠ること

・心理的虐待 ………暴言・言葉での脅し・無視・差別的な扱い・子どもの前でDVなど心理的外傷を与える言動

●しつけと虐待の線引きは客観的に判断を

これに対し、しつけは法律で定義はされていませんが、子どもの発達段階に応じて、欲求や理解度に配慮しながら、社会の一員として生きていくために必要な生活習慣や能力、他人への思いやりや社会のルール・マナーを身に着けさせる行為です。

ではその線引きはどこでしょうか? これは、親目線で見るから余計に難しく感じるのです。

厚労省によれば、『虐待とは、家庭内の大人から子どもへの不適切な“力の行使”』であって、

『何をしたら褒められ、何をしたら罰せられるのか、子どもにも理解し予測できる“しつけ”』

『大人の気分や、理解しがたい理由で罰せられる“虐待”』

と両者の違いを説明しています。

子ども目線で、そして客観的に判断 するのが大切です。

子どもをたたくことに関しては、少なくとも他の人が客観的に見て「子どもがケガをするよ!」と思うようなたたき方をしていたり、生命や身体が脅かされるものなら虐待でしょう。

●見つけた場合は関係各所へ相談を

虐待と思しき行為があると、家族、近隣住民、学校、医療機関、警察等から児童相談所等に通告や相談がされることがあります。

児童相談所等による安全確認や面接、立入調査等がされ、在宅指導だけでなく、子どもの生命の安全を確保するため、児童相談所への一時保護、児童福祉施設等への入所、強制的な措置入所がされることもあります。

また、一時的な親権停止や親権喪失を受けることもあります。

暴行・傷害や殺人、保護責任者遺棄・遺棄致死、逮捕監禁罪等の犯罪にあたるのなら、刑事責任も問われる可能性があります。

児童相談所という単語にネガティブなイメージ を持つ方もいるかと思います。

もちろん、全てが適切に対応されているとは限りません。

しかし、無意識のうちに虐待と思われるような、虐待にあたる何かしらの問題があるかもしれません。

実際、子どもを愛していて、子育てに苦しんでいる親御さんもいらっしゃると思います。

「児相はイヤ」と単に拒絶せず、子どもが健全に育つ環境を専門家である児相の援助を受けながらひとつひとつ改善していくのも大切です。

また、「虐待かも?」と思われる事態に遭遇したときは、痛ましい事件に発展してしまう前に、関係各所に相談、通告しましょう。

●ライター/正木裕美(弁護士)

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