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ディズニーやピクサーだけじゃない! 2023年の「すごい海外アニメ映画」7作品を本気で選んでみた

  • 2023.12.3
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ディズニーやピクサーだけじゃない、「これだけは見てほしい!」と心から思える海外アニメ映画を、2023年公開&配信作品から7つ厳選して紹介します。※画像出典:『ペルリンプスと秘密の森』 (C) Buriti Filmes, 2022
ディズニーやピクサーだけじゃない、「これだけは見てほしい!」と心から思える海外アニメ映画を、2023年公開&配信作品から7つ厳選して紹介します。※画像出典:『ペルリンプスと秘密の森』 (C) Buriti Filmes, 2022

2023年もそろそろ終わり。12月は『窓ぎわのトットちゃん』『ウィッシュ』『屋根裏のラジャー』『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』など、話題のアニメ映画が続々と劇場公開されます。

海外のアニメ映画は、やはりディズニーおよびピクサー作品が子どもから大人まで大人気。しかし、それ以外でも優れた海外アニメ映画はたくさんあります。「これだけは見てほしい!」と心から思える傑作を、2023年公開&配信作品から7つ厳選して紹介します。

1:『ペルリンプスと秘密の森』(2023年12月1日より劇場公開中)

ブラジル製のアニメ映画で、『父を探して』(2013年)が第88回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされたアレ・アブレウ監督の最新作です。描かれるのは、テクノロジーを駆使する太陽の王国と、自然との結びつきを大切にする月の王国、それぞれの国の秘密エージェントが、巨人による破壊から魔法の森を救うため、「ペルリンプス」という謎の存在を見つけようとする物語です。

(C) Buriti Filmes, 2022
(C) Buriti Filmes, 2022


意地っ張りだけど利発な2人の主人公の愛らしさを眺めているだけでも楽しめますし、「はじめはいがみあっていたけど同じく目的のために手を組む」正統派の「バディもの」にもなっています。異なる場所に住む者たちの関係性、そして自然や動物が大きくフィーチャーされていることから、あの『もののけ姫』(1997年)や、アイルランド・ルクセンブルク合作のアニメ映画『ウルフウォーカー』(2020年・Apple TV+で配信中)を連想する人もいるはずです。

(C) Buriti Filmes, 2022
(C) Buriti Filmes, 2022


何よりの魅力は、美しい色彩の映像と幻想的な音楽。スクリーンで「浸る」ことで何倍にも感動が膨らむでしょう。隠されていた「秘密」が明かされる驚きは何ものにも変え難いものですし、そこから浮かび上がるテーマ性はとても深く、現代ではより胸に迫るものでした。見る人によって解釈が異なるラストまで、ぜひ見届けてほしいです。

2:『ニモーナ』(Netflixで見放題配信中)

同名グラフィックノベルを原作とした作品で、殺人の濡れ衣を着せられた騎士が、動物に変身する能力を持つ少女と相棒となり、陰謀へ立ち向かうファンタジーアドベンチャーです。衣装や建築物は中世を思わせながらも、科学技術が発展しSNSも存在する現代社会がハイブリッドされた世界観が斬新。ダイナミックなカメラワークで展開する、バラエティ豊かなアクションをたっぷり楽しめるでしょう。

そして、LGBTQ+のメインキャラクターが登場し、悪しき慣習や偏見を覆すために奮闘する、現代に見られる(作られる)意義のある寓話(ぐうわ)にもなっています。ヒロインの勝ち気を通り越して傍若無人な活躍が痛快無比であるからこそ、彼女のつらい過去に胸を締めつけられるでしょう。悲劇を乗り越え、世界が変われることを明確に示した傑作です。

3:『長ぐつをはいたネコと9つの命』(Amazonプライムビデオで見放題配信中)

元々はシャルル・ペローによる童話で、『シュレック』シリーズから誕生した人気キャラクターを主人公にした作品です。あらすじは、無鉄砲だった賞金稼ぎが、9つあった命が残り1つになってしまったために隠居暮らしを始めるも、「願い星」を求めて再び冒険に旅立つというもの。王道の冒険活劇であり、前作に当たる2011年のアニメ映画『長ぐつをはいたネコ』を見ていなくても問題なく楽しめます。

度肝を抜かれるのはオープニングから繰り出されるダイナミックなアクション! 漫画的な派手なエフェクトと、恐るべき敵とのハラハラドキドキのバトルの融合がたまりません。特に底知れぬ怖さや執拗(しつよう)さを見せる「最強の賞金稼ぎウルフ」にゾクゾクしっぱなし。子どもももちろん楽しめますが、「限りある命」から「人生の意義」を問い直す、大人にこそ響くメッセージを受け取ってほしいです。

4:『兵馬俑の城』(Hulu、U-NEXT、DMM TV、アニメ放題で見放題配信中)

こちらは中国製の作品。兵馬俑(へいばよう)とは、兵士および馬をかたどった死者といっしょに埋葬した人形のこと。心を持った兵馬俑の少年と、家族を奪われた人間の少女が出会い、そして世界を揺るがす脅威を巡る戦いと冒険が描かれます。超正統派の冒険活劇の最中で繰り出されるハイスピードアクションのクオリティの高さにほれぼれとできるでしょう。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023年)にも通ずる強い女性像が魅力的ですし、ディズニーのアニメ映画『塔の上のラプンツェル』(2010年)に強く影響を受けたと思しきシーンも楽しく、中国らしい美術や独特の世界観もたっぷりと堪能できるでしょう。明かされる真相と、主人公がそこから得る学びは、現代でもとても大切なもののはずです。

5:『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』

原作はフランスで50年以上にわたり愛され続ける児童書『プチ・ニコラ』。最大の特徴は、親友同士でもある原作者2人の波乱に満ちた人生と共に、その『プチ・ニコラ』の中の物語も並行して語られる構成。親友同士の作家2人が漫画を創作し始める、日本の漫画『バクマン。』(集英社)のような物語としても楽しめるでしょう。

絵本そのままのタッチの愛らしいキャラクターが豊かに動く様は、ジブリ映画の『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999年)を思わせます。やんちゃな男の子が活躍する、ちょっとシニカルでありつつもあたたかい物語は、原作者2人のどのような体験の元で創り出されたのか……その「想像」と「創造」の力を、アニメにより紡ぎ出したことに意義を感じられるはずです。

6:『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』

過去に実写映画化もされたコミック『ミュータント・タートルズ』の新たなアニメ映画版で、今作は原題に「“Teenage” Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem」とある通り、多感な10代の少年たちの葛藤が色濃く描かれています。学校に行ったり、恋をしたりと願いつつも地下でひっそりと暮らし続ける主人公4人の姿は、「世間や誰かに受け入れられたいと願うけど、拒絶されることを恐れて一歩を踏み出せない」普遍的なティーンエージャーの悩みそのものなのです。

前述した『長ぐつをはいたネコと9つの命』にも通ずる、漫画のタッチをそのままアニメに持ち込んだような表現&ダイナミックなアクションには目がくぎ付け! 偏見にまつわる寓話はSNSのある今だとより胸に突き刺さります。カタルシス抜群のクライマックスは涙が出てくるほどの感動がありました。

漫画『進撃の巨人』(講談社)、『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)の小ネタが登場するほか、ゲーム『塊魂』に影響を受けた表現など、日本のカルチャーへのリスペクトにも大注目です。

7:『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』

ウクライナのアニメ映画が日本で初めて劇場公開された作品です。その内容は前述した『兵馬俑の城』にも似ているザ・超王道の冒険活劇&ラブストーリー! 騎士に憧れる役者の青年と、自由を求めて王宮から抜け出した王女が出会い恋に落ち、オリジナリティのあるバラエティ豊かな見せ場が続く、まさに子どもから大人まで楽しめる作品に仕上がっていました。

さらなる注目ポイントは、日本の女性が私財のほとんどを投じて日本配給権を獲得し、クラウドファンディングで約950万円を集めるなどして、映画館での上映を実現させたこと。収益の一部はウクライナに寄付されます。その行動力と社会貢献度の高さが評価され、粉川(こかわ)なつみさんは『日経ウーマン』の各界で目覚ましい活躍を遂げた女性を表彰する「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2024」の受賞者8人のうちの1人に選ばれました。作品の外にある「物語」もまた応援したくなる映画なのです。

2023年の優れた海外アニメ映画はまだまだたくさんある!

ほかにも、中国製の『雄獅少年 ライオン少年』は万人におすすめできる王道のスポ根映画でしたし、チリ製の『オオカミの家』は極めて実験的で人を選ぶ作風ながらも絶大なインパクトがありました。

はたまた、フランス・ベルギー合作の『古の王子と3つの花』はエジプトの壁画や影絵が動いているような、平面的ながら豊かなアニメを堪能できる内容でした。

さらに、スパイダーマン作品どころか、2023年全ての映画の中でもトップクラスの評価を得た『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』もありました。

前作『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)も漫画の表現をそのままアニメに持ち込んだ革新的な作品でしたが、今回はあまりの情報量の多さととんでもないアクションのつるべうちに脳の処理が追い付かないほど。2024年公開予定の3作目『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』が待ち遠しくて仕方がありません。

映画ではなくシリーズ作品ですが、Netflixオリジナルの『BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ』は、江戸時代の日本を舞台に復讐(ふくしゅう)劇が展開する、殺傷描写と性描写もある大人向けアニメでした。
美しい風景を筆頭に日本文化へのリスペクトに満ち満ちていながらも、当時の社会の理不尽さにも真摯(しんし)に向き合っているので、日本人こそが見るべき内容でしょう。

もちろん、海外のアニメ映画はここで紹介したものでもほんの一部。ぜひ、紹介した7作品から、海外アニメ映画の豊かさを知ってみてください。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。

文:ヒナタカ

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