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お金は大丈夫なの? ホームレスが「健康診断&診療」を受ける方法

  • 2016.1.13
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【ママからのご相談】

30代です。先日、4歳の娘と繁華街を買い物して歩いていたら、中年のホームレスの男性がせき込んでいるところに遭遇しました。娘は「あのおじさん、風邪ひいてるのにお外で寝ていてかわいそうだね」と言い、私はつい返す言葉を失ってしまいました。

最近は定住できる住まいを持てず、ネットカフェなどを拠点にして日雇いのアルバイトなどに出かける“若年層の事実上のホームレス”の人が増えていると聞きます。ホームレスの人たちは、健康診断さえも受けることができないのでしょうか。

●A. いくつかの支援団体で健康相談・健康診断を行っています。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

病気を患っているホームレスの診療について、実際には大都市圏を中心にいくつかの支援団体でホームレスの人たち向けの健康相談や健康診断を行っており、受診できた人たちは異口同音に「とても助かった」「ありがたかった」とおっしゃっています。

問題は、わが国においてはそういった情報を共有することについて「ボランティア団体に任せておけばいいんだ」 というような意識があるため、身近に潜んでいる“隠れホームレス”の人たちに有益な情報提供をしてあげられていないところにあります。

今回は、そういった情報についてご紹介させていただきます。みなさんの身近に“ネットカフェから出社しているらしき彼(彼女)”いらっしゃれば、ぜひ情報を教えてさしあげてください。

●ビッグイシュー基金大阪事務所は毎月1回健康相談会を実施しています

雑誌を販売することでホームレスの人々の自立を応援しているNPO法人ビッグイシュー基金の大阪事務所では、毎月1回、ビッグイシューの販売者と一般のホームレスの方たちを対象に、健康相談会を実施しています。

大阪府保険医協会や医師・歯科医師の方々の協力を得て、希望者に無料で健康診断を行っています。ほとんどのホームレスの人は健康保険証を持っていないため、健診の結果治療が必要と判断された場合には福祉事務所で『医療券』 というものを発行してもらって、無料ないし低額で治療を受けていただくことになります。

●東京では隅田川医療相談会が無料の健康相談を行っています

東京では、『隅田川医療相談会』という団体がホームレスの人への無料の健康相談、東洋医学相談、生活相談を行っています。

相談の内容や結果次第で、翌日の医療機関への同行、福祉事務所への同行もしてくれます。毎月第3日曜日の14時から隅田公園山谷堀広場において、共同炊事と同時開催で行っています。散髪のサービスもあります。場所は東武浅草駅から徒歩で12分くらいのところです。

●急病の場合は所持金がなくても無料で診察が受けられます

さて、上にご紹介したようなNPOなどが主催する健康相談会は、ボランタリーな活動でありますからどうしても月1回程度の開催です。

そこで、筆者の元・医療福祉大学職員の経験から、あまり知られてはいないけれども市民の一人ひとりが知っていても無駄ではないお話をさせていただきたいと思います。

ホームレスの方が急病に陥ってしまった場合は、救急車を呼んでください。 公衆電話からでも市外局番なしの119番でつながります。その際には自分が居る場所の目印となる建物や住所地番、病気の症状を伝えてください。

所持金がないホームレスの人の場合は、救急車を呼んだ地域の役所が管轄して、入院と同時に“生活保護”が開始されます。このことはあまり広報されていませんので、ぜひ、覚えておいて、情報を広めていただくとよろしいかと思います。生活保護が開始されますので当然、無料で診療を受けられます 。

退院したあとも役所に行って手続きをすれば生活保護は継続されますので、施設などでちゃんと療養してから仕事を探すように周囲からも奨めましょう。

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ホームレスの人たちや生活保護受給者の人たちを「怠け者」のように呼んでバッシングするような態度からは、何も生まれません。

同じ人間として、心身の健康をきちんと取り戻してから再び世の中のために働けるようになってもらうことの方がよほど重要であろうと筆者は考えますが、いかがでしょうか。

【参考リンク】

・ビッグイシュー基金とは | ビッグイシュー基金(http://www.bigissue.or.jp/about/index.html)

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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