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江ノ電沿線、歩いてみました【江の島〜腰越編①】  by THE SHONAN MAG

  • 2015.12.23
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<THE SHONAN MAGより提供> 湘南に訪れたら、藤沢駅から鎌倉駅をつなぐ江ノ島電鉄、通称「江ノ電」に乗りたいところ。 手を伸ばせば触れられそうなほど線路のすぐ両脇に建ち並ぶ住宅をするりと抜け、潮風をきって海沿いを走る江ノ電は車窓からの景色と合わせて湘南観光の醍醐味のひとつではありますが、思い切って1駅くらいゆっくりお散歩してみるのもおすすめです。 今回は湘南名所「江の島」を訪れたあと、最寄りの「江ノ島駅」へと向かわずに、そこからひとつお隣の駅「腰越」まで歩いてみましょう。

江の島にはいつもたくさんの観光客が行き交いますが、ほぼ全ての歩行者は国道134号線の下を走る地下道をくぐり抜け、江の島へ続く弁天橋を渡るコースを行きます。

帰りも、江ノ電で次の目的地へと向かう人たちはそのまま地下道を真っ直ぐ「江ノ島駅」へと急いでしまうことが多いでしょう。

しかし今回は地下道を直進せず、「東浜」と書かれた右手の出口へ思い切って曲がってみましょう。

地下道をあがると一気に視界が開け、海が遠く広がります。東浜に降り立って初めて見ることができる、この角度からの江ノ島の横顔もいいものです。サーフィンやヨット、サーフボードに立ちパドルで漕ぐSUP(スタンドアップパドルボード)などのマリンアクティビティをするたくさんの人たちを右手に眺めながら、そのままのんびり片瀬東浜の交差点へと向かいましょう。

美味しいピザとジェラートに舌鼓

片瀬東浜の交差点で134号線を横切り、そのまま海を背にしてゆるやかな坂をのぼっていくと、可愛らしいお店に出逢います。「The Market SE1(ザ・マーケット・エスイーワン)」は美味しいナポリピッツァと、その時期の旬な食材や厳選素材を使った手づくりジェラートがいただける、地元の人からも愛されているお店です。

500℃の石釜でパリッと焼き上げたナポリピッツァはモチモチ。いただいた「しらす」(960円)は、たっぷりのしらすとオリーブとモッツァレラチーズがもっちもちの生地の上でぎゅっとまとまって、1人でもぺろりと食べられます。

藤沢駅から出発し、江ノ電が路面へと顔を出すポイントがお店の目の前にあります。熱々のピッツァをほおばりながら江ノ電を眺められる、鉄道ファンでなくとも大満足の特等席です。

こちらのお店で、お散歩のお供にジェラートをテイクアウトします。

国内外で世界を相手に経験を積んだ店主さんの、確かな腕が生み出す手づくりジェラートは、あっさり軽い舌触りのイメージが強いソルベもクリーミーな滑らかさがあり、旬の素材を使ったジェラートは目にも舌にも楽しく、厳選された素材は間違いありません。

本当なら江ノ島駅から乗っていたかもしれない江ノ電を眺めながら、歩いてしか見られない景色をジェラートと一緒に楽しみましょう。

壁にひっそり埋まる江ノ電

ジェラートを片手に歩みを進めると、思わず目を疑う景色に足が止まります。江ノ電が壁にひっそりと埋まっているではありませんか。

こちらは老舗和菓子屋さんの店頭です。路面を走る江ノ電とちょうどコラボする瞬間に遭遇すると思わず「ラッキー」と得した気分になります。

静寂の時がゆっくりと流れる絶景スポット

路面に顔を出した江ノ電が腰越に向かって走り抜けるポイントに、龍口寺はあります。日蓮宗の開祖・日蓮がご入滅(死去)後に、弟子の日法聖人によって建立されたお寺です。

日本が内乱や疫病などに混乱していた鎌倉時代後期、幕府の政治や宗教のあり方を遠慮なく批判した日蓮聖人は、罪人を斬首する龍の口刑場があったこの地に捕えられました。しかし処刑直前、江の島の方から満月のような光が飛んできて斬首役人の目をくらませ、処刑は中止になったそうです。そんな言い伝えがあるのが、ここ、龍口寺。日蓮宗の霊跡本山となっています。

仁王門をくぐり、次に見えてくるのは山門です。門には龍や中国の故事の彫刻が施され、ひっそりと息づいています。

山門を抜けて広がるのが大本堂です。どっしりと美しく、遠くにみえる五重塔とともに息をのむ空間に圧倒されます。大本堂には日蓮聖人の像や、斬首とされそうになった際に座らされた敷き石などが安置されています。

境内を歩いていると、どこからか鐘の音が聞こえます。訪れた人は誰でもいつでもつくことができる「延寿の鐘」の音です。「お題目をとなえてからついてください」とあり、「南無妙法蓮華経」とゆっくりとなえてからつくと、重くて澄んだ音が境内に響き渡ります。ただただその余韻の中にじっと佇んでいたくなる、とても貴重なひとときでした。

大本堂の横から裏山に伸びる石段を登ると、五重塔が木々の間から姿を見せます。明治時代に釘を一本も使わずに建立された神奈川県で唯一の純木造の五重塔は、静寂の中で放つ力強さが際立ち、思わず言葉を失います。遠くでまたゴーンと鐘もなりました。

こちらは「七面堂」です。法華経信仰者を守護し、乱れた国を鎮める女神様である山梨県・身延七面山(みのぶしちめんさん)の守護神の分霊が祀られています。

七面堂からさらに上へとのぼっていくと、釈迦の骨を納める仏舎利塔へとたどりつきます。空がぐんと近づき、行き交う人のにぎやかな声、通り過ぎる電車の音、波・風の音、それらは全部歩いてきた背後の遠くに消え、静寂と絶景に包まれたゆっくりした時が流れていました。 江の島〜腰越への江ノ電路線お散歩はいかがでしたか?

歩くことで出逢える景色や人、そして刺激される五感。「一駅ちょっと歩いてみよう」そんなちょっとした好奇心が、湘南の想い出をきっと豊かにしてくれると思います。

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