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ゲスな女子エロトークがもたらす次の悩み。

  • 2015.12.12
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ゲスな女子エロトークがもたらす次の悩み。

仕事に美容に恋愛に、女の人生ってけっこー大変! 私はこのままでいいのかな? 幸せになれるかな? そんなモヤっとした悩みを浄化し、毎日がもっと楽しくなる痛快エッセイを、毎週土曜日お届けします。女子会で驚くほど盛り上がるエロトーク。ぶっちゃけ度MAXの一夜はストレス解消に最適! だけど話せば話すほど、赤裸々トークは別の悩みを生み出していく。オープンなエロ事情が露になって、次に起きた問題とは…
【恋愛はしたいけれど1mmも傷つかずに生きたい】vol.19

突然ですが、私は毎日息を吸って吐くようにエロい話をしている。

歩く痴女宣言をしたが、少し前までこれが正しく平均的な女の姿だと思っていた。下品な姿は昼夜を問わず、知人か初対面かも問わないから危険である。その実力を買われ(?)先日は、朝の10時から某大物お笑い芸人の単独エロインタビューまで務めさせていただいた。朝の10時にテレビでしか見たことのない人物(しかもイケメン)に「好きな体位は?」「最近の性欲は?」と聞く自分の厚顔無恥っぷり。インタビューのオーディエンスは20名程である。さすがに「この恥じらいのないエロスも1つの特技だな」なんて心の中で自分を褒めたもんだ(決してこれは“エロス”ではないが)。

エロトークは笑いと暴露のかぶせ合い。

もはやエロいというよりアホと言ったほうが正しいが、そんな私から見てもここ数年でアラサー女性のいわゆる“エロトーク”は進化している。

たとえばある女子会に行ったとき、開始早々1人の女子が、数日前に一夜を共にしたメンズについて詳細に報告を始めた。それに応えるかのように、別の子は、最近付き合い始めた彼氏とのセックスがまだであることを告白。一同から「まずは一発!」と大声援を受けていた。

もっと濃ゆい話はてんこ盛りであったが、そこは女性読者の皆さんのご想像通り。大体どこそこの本音女子会と同じノリである。「シタ!」「シテナイ!」を皮切りに、性欲の話や失敗セックスについて語られる定番コースである。男女構わずエロトークする私だが、女同士のエロい話は暴露要素や笑いの要素、そして共感を含んでいるから、聞いても飽きない面白さ!

「はー、楽しかった!」

ほろ酔いで解散したあとであった。帰宅途中、参加者の1名が余韻に浸りつつも、ある話を告白してくれたのである。

「私…本当は彼氏とセックスレス気味なんだ…」

“赤裸々”は本音?パフォーマンス?

え???

さっきまで楽しくエロい話をしていたじゃないか! 元彼のモノのサイズが小指ほどでいかに物足りなかったとか、散々笑いながら話していたではないか!!!!

「どういうこと? 全然そういう話、してなかったじゃん」

さきほどとの温度差に驚きながら丁寧に話を聞いていく。すると彼女は、あの雰囲気の中で、真面目にエロの悩みはなんとなく言い出せなかったそうだ。「まあ他の話が強烈だったしねー」とは思うものの、女同士は年々ゲスくて赤裸々で、下品になっているなんていうけれど、それはそれはそれで違う悩みも生み出しているのかもしれないなと、その日思った。

違う悩みとは、つまり“下ネタのエンターテイメント化”による本音の悩みが言えないというジレンマである。

たとえば、女同士の恋愛トークにエロい話は定番セットメニューだ。それは今の彼がどうとかこうとかよりも、昔の男がどうとかこうとか、思い返せば笑い飛ばせる話題がメインである。その証拠に彼ナシの子は、いかに自分の日常が枯れているかの告白に変わりがち。「彼氏がいなさすぎて、体が火照りまくってヤバイの〜、独りで毎晩…」なんて男がよだれを垂らして喜びそうな話には、絶対にならない。女のエロトークには生々しさはあるのだが、いやらしさを感じる要素が少ないのだ。それもこれも思い返せば全部、どのエロい話にも場を盛り上げるというパフォーマンス要素が多いからかもしれない。しかしその結果、彼女のように本当に解決したいエロトークが切り出せないなどの問題は、実は増えているんじゃないだろうか。

赤裸々の裏で求められる“アノ話”

そんな告白を受けて、実は前々からあった素朴な疑問に結びついた。それは、アラサー女にとってのエロが当たり前になっているのに、いわゆる“王道のセクシャルハウツー情報”は、ネットをはじめとする女性向けコンテンツでまだまだテッパンの人気だということだ。

たとえば、

・彼氏とのセックスで引かれないためのテクごにょごにょ

・女子からのスムーズな彼の誘い方とかとか

・セックス後の男性の賢者タイムの正しい女の振る舞いだとか

・女子のムラムラの解消むにゃむにゃ

いわゆるセックスに対する真っ当な流れや振る舞いのことだ。オモシロさはないが誰にとっても大切で気になるトピックスである。こんな話は1年前も10年前も女の悩みとして上がっていたであろうし、解決策なんてこんだけ本音トークができるのなら、内輪同士のトーク中に済ませられそうなものだ。それなのに、なぜか女子たちはリアルなぶっちゃけトークにはぶっ込まず、ネットのコラムなどから情報収集をし、ひっそり一人で解決しようとするのだ。

コラムを書いている側の私としては「ごっつぁんでーす!」と感謝の言葉を述べたくなるが、きっと私たちは、今話している“赤裸々エロトーク”は、「場を盛り上げてざっくばらんに話せる自分」を演出するための1つの方法だと感覚的に割り切っているのかもしれない。もちろんバカ騒ぎが楽しいということもあるけれど。

そういえば、赤裸々エロトークをぶちかました後は、爽快感はあれど「あれ、で、今日は何話したんだっけ…」なんて満足感と情報量のギャップに違和感を覚えるときもある。あれって、面白いバラエティ番組を見終わったあとに少し似ているのかもしれない。

ってことは、学びある会話をするためには、いわゆる「ニュース番組的な会話」を心がけるべきということか…。

「それではみなさん、ニュースです! 先週わたくしは、女性向けAVを手に入れました。早速週末、鑑賞会を開催致しましたが…」って、言い方の問題じゃないんだな!

おおしま りえ/雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター

10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、アップダウンの激しい人生経験を生かし、現在恋愛コラムを年間100本以上執筆中。そろそろ幸せな結婚がしたいと願うアラサーのリターン独女。

HP:http://oshimarie.com

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