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ジョージア(旧グルジア)で撮影が行われた、冷酷な大統領のおじいちゃんと5歳の孫のロードムービー『独裁者と小さな孫』

  • 2015.12.11
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コーカサス山脈の南麓、黒海の東岸、ヨーロッパとアジアの間辺りに位置する国、ジョージア。かつてはグルジアと呼ばれていましたが、日本では2015年4月からジョージアと呼ぶようになりました。 明日公開の『独裁者と小さな孫』は、架空の国を舞台にしていますが、ジョージアで撮影が行われました。本作のモフセン・マフマルバフ監督は、いまだになくならない独裁政権国の圧政を背景に、平和への願いを込めた寓話的なロードムービーを作り上げました。珍しいジョージア語の映画です。

贅沢三昧の暮らしをする大統領一家

とある独裁政権が支配する国。その国の大統領(ミシャ・ゴミアシュウィリ)とその家族は、圧政によって国民から搾取した税金で贅沢な暮しをしていました。大統領の5歳の孫息子(ダチ・オルウェラシュウィリ)は、何でも思い通りになると思い、いつも祖父に甘えていました。宮殿に暮らす遊び相手の女の子マリアが大好きな孫息子。

クーデターを起こす国民たち

冷酷で無慈悲な大統領は、多くの罪なき国民を政権維持のために処刑してきました。その結果、ついにクーデターが勃発。大統領の妻や娘たちは、いち早く国外へ避難しますが、孫は大好きなマリアと離れたくない、玩具を手放したくないとわがままを言って、大統領と一緒に国に残ります。

街では民衆が暴徒化し、大統領への報復を呼び掛ける怒声と銃声が至るところで轟きます。兵士たちも旗を翻し、独裁政権は完全に崩壊します。

大統領と孫の逃亡が始まる

全国民から追われ、首に賞金がかけられる大統領。彼は小さな孫を抱えて、逃亡を余儀なくされます。

旅芸人のふりをする大統領と孫息子

炭鉱婦の子どもからギターを奪って、旅芸人のように振る舞うことにした大統領。憐れな死体からは赤いスカーフをとり、孫を女の子に見せかけ、自分も変装して素性を隠します。

旅の間、孫は、なぜ自分たちは追われているのか、なぜ大統領はみんなから嫌われているのかなど、次々と祖父に質問します。純粋な孫と一緒に逃亡するうちに、大統領は自分自身を見つめ直し、国民に許されたいと思うようになっていきます。

2人は安全な地へ逃れるべく、船に乗るために海を目指します。逃亡の旅の途中で、大統領と小さな孫が目の当たりにする驚きの光景とは? そして、旅の果てに起きることとは…? 国際社会から見捨てられた人々を描いた『カンダハール』など、数多くの傑作を生み出し、国際映画祭で50以上もの賞を獲得している、イラン生まれの巨匠モフセン・マフマルバフ監督。彼は1983年に映画監督としてデビューして以来、20本以上もの長編映画をイラン、アフガニスタン、パキスタン、イスラエル、トルコなど数カ国で製作しています。

ところが、イラン政府により作品の上映を禁じられ、長年にわたり身の安全を脅かされているマフマルバフ監督。2005年に検閲の圧力に抗議して自国を離れて以来、亡命生活を続け、ロンドンとパリを拠点に活動しています。

架空の国が舞台で、あえて役名も付けない『独裁者と小さな孫』を通して、監督は「本作は果てなき暴力の連鎖を断ち切ることへの希望について語る現代の寓話であり、自由と民主主義を求める革命の末に、暴力に歯止めがかかる可能性を模索した作品です」というメッセージを寄せています。

監督が平和への願いを込めた本作のラストは衝撃的ですが、感動的でもあり、見て良かったと心から思える傑作映画です。ぜひ劇場に足を運んでご覧くださいね。

『独裁者と小さな孫』

12月12日(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町 他全国公開

配給:シンカ

出演:ミシャ・ゴミアシュウィリ、ダチ・オルウェラシュウィリ

監督:モフセン・マフマルバフ

脚本:モフセン・マフマルバフ、マルズィエ・メシュキニ

2014年/ジョージア=フランス=イギリス=ドイツ/ジョージア語/カラー/ビスタ/デジタル/119分

配給:シンカ 提供:シンカ 朝日新聞社 宣伝:オデュッセイア・ブラウニー 後援:ジョージア大使館

公式サイト:http://dokusaisha.jp/

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