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FP fumico 妊娠・出産には、思っているよりお金が掛かる? 制度を知って備えよう

  • 2023.5.26
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出産や子育てにはお金が掛かりそう――。そんな漠然とした不安を抱える方も多いのではないでしょうか。少子化が進む中、子育てを支える制度は急ピッチで拡充されています。「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、20~40代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさんが、インスタでもお馴染みの手書きのノートとともに解説します。

朝日新聞telling,(テリング)

「出産は保険適用外」少子化で変わる?

出産は病気の治療ではないから公的な医療保険の適用とならない、と聞いてどのように感じられますか?
この“常識”が、想定外の少子化の進行を受けて、変わるかもしれません。
日本では国の想定を超えるスピードで少子化が進んでおり、2022年に国内の出生数は799,728人(速報値)と、過去最少となりました。
少子化にはさまざまな原因がありますが、経済的な面については、知識を身に付け早めの準備をすることで対策を打てる部分もあります。必要以上に不安を感じなくて済むよう、子育てを支える制度について知っておきましょう。

朝日新聞telling,(テリング)

妊婦健診には数万円の心づもりを

妊娠中は、母体と胎児の健康状態を確認するため定期的に健康診断を受ける必要がありますが、これも出産同様、“治療”ではないため保険の適用外で、病院や検査内容により費用は異なります。自治体に妊娠を届け出ると、「母子健康手帳」と合わせて妊婦健診に利用できる受診券が交付されますので、これを病院に提出することで自治体の助成を受けられます。

そうはいっても自己負担が0になるわけではなく、予期せぬトラブルで通院回数が増えることもありますし、現金での支払いしかできない医療機関も多い。妊婦健診だけでも、数万円の出費があると心づもりしておくといいでしょう。

不妊治療についても“治療”と名前が付いているにもかかわらず、これまで人工授精や体外受精などは保険の適用外でした。このため治療費は1回で数十万円を超えるケースも。国や自治体による助成制度もありましたが十分とはいえず、経済的な理由から不妊治療を諦める方も多い状況でした。それが22年4月以降、保険適用が拡大され、自己負担が大きく軽減されました(ただし、体外受精・顕微授精については年齢や回数の要件があります)。
仕事との両立が難しかったり、肉体的・精神的な負担が大きかったりはするものの、子どもを持ちたいと考える人にとっては選択肢が広がったといえます。

朝日新聞telling,(テリング)

出産準備は想定外の連続!?

22年4月以降の出産については、「出産・子育て応援ギフト」の制度も。自治体が妊産婦の相談に応じたり、出産や育児用品の購入に充てられるよう妊娠届け出時と出生届け出時に各5万円、計10万円分のクーポンを配布したりします。育児用品は、全部を新品でそろえるのか、フリマアプリ等を活用して最低限のものだけを用意するのかによっても必要なお金が大きく変わってきます。
ベビーカーやチャイルドシートなどの値段が高く、おむつや粉ミルクも頻繁に買う必要があるなど、私自身も実際に準備をしてみて初めて、思っていたよりお金が掛かることに驚きました。
最初は何から揃えればいいのかも分からず、また「買っておいたのに結局使わなかった」「いらないと思っていたのに実際には必要だった」というような想定外もつきもの。住環境などによっても必要なものが異なるので、事前に確認し、価格も調べておけば安心です。最近ではレンタルできるものも増えていますから、短期間しか使わないものなどは検討してみてもいいかと思います。

国の制度に加えて、最近では、子育て世代を呼び込もうと独自の助成制度を打ち出す自治体も増えており、なかには第2子に20万円、第3子なら100万円を交付するところも。ご自身がお住まいの自治体にそういった制度がないか調べてみるのもオススメです。

朝日新聞telling,(テリング)

児童手当は今後どうなる?

育児休業給付金については、一定の条件を満たせば、育休開始から6カ月間は賃金の7割弱が国から支給されます。ただ、現在は雇用保険の加入者が対象のため、自営業者やフリーランスの方は受け取ることができません。公務員は雇用保険には加入していませんが、共済組合から同様の手当金が受け取れます。
働き方によって、制度の手厚さや受け取れるお金が変わってくることには注意が必要です。

少子化対策のたたき台では、児童手当の所得制限撤廃以外にも、多子加算や支給年齢の延長、出産費用への保険適用の検討、誰でも保育所を使える制度の創設などさまざまな支援策が並んでいますが、これらをすべて実現しようとすると巨額の費用が掛かります。
財源については6月までに結論を出すとされており、社会全体でどのように分かち合うのか、気になるところです。

子育てに関する制度が急ピッチで拡充されているように感じますが、裏を返せば、核家族化や女性の社会進出が進む中、出産や子育てへの支援が足りていなかったために、少子化がここまで進んでしまったともいえるのではないかと思います。
妊娠・出産時だけでなく、子どもを育てる上でお金はずっと掛かり、特に高等教育における経済的な負担が大きくなっています。
経済的な支援だけをすれば少子化が解決するわけでもありません。働き方や社会全体の意識の改革などを同時並行で進めることが、「子どもを産み育てたい人が、産み育てやすくなる」社会への第一歩なのではないでしょうか。

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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、6月30日に公開の予定です。

■fumicoのプロフィール
CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。

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