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ブシュロン本店のインスタレーションも!マチアス・キスの八面六臂の活動に注目しよう。

  • 2015.12.9
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ヴァンドーム広場26番地のブシュロン本店にて、気になるインスタレーションが1月2日まで開催中だ。「ラディアントルーム」と名付けられたブティックの上階の一室内は、その名に違わずまさに光が放たれている。インスタレーションを手がけたのはマチアス・キス。ここのところ、パリでその名をよく耳にするデザイナーである。ラディアントルームは、ブシュロンの人気の指輪「キャトル ラディアント」のために生まれた部屋。光を追求するジュエラーとアーティストの出会いが、ここにある。さほど大きくない部屋の床は白いカーペット、低めの天井一面に白い光が広がっていて、四方の壁は部屋の扉をのぞき、すべて鏡張り。その中央に「キャトル ラディアント」のピンクゴールドのリングがケースに入って展示されている。鏡が無限に続く部屋の中にいると、その指輪の光を中心に、その周囲を無重力空間にいるように漂っているような錯覚に陥る不思議な空間!

ブシュロンのラディアントルームの見学は、店員が階上に案内するという方式である。2016年1月2日まで。

左がラディアントルームに展示されているピンクゴールドの「キャトル ラディアント」。「キャトル」の中でもオーバーサイズの彫刻が特徴で、リングはよりパワフルな光を放つ。ホワイトゴールド(中)、イエローゴールド(右)もある。価格は6,000ユーロから。

Radiant Room/ Boucheron
26, place Vendôme
75001 Paris
営)10:30~19:00(月〜土)


フランスのメゾンの中で、彼の才能にいち早く目をとめたのはエルメスではないだろうか。一般公開ではないが、靴のプレゼンテーションの会場構成がこの3シーズン、彼に任されている。1回めは植物の濃い緑が印象的なトロピカルな気分がどこかミステリアスで、3回目は会場にブルーのグラデーションを描いた空が美しかった。2回目の2015年秋冬コレクションでは、靴の展示用に直角以外の角度をつけて鏡を配置。鏡の上に置かれた靴は倍増され、また 斜めに木を配したクラシックな床が各鏡に映り込むことによって、見る者の平衡感覚に面白い作用がもたらされた。19世紀の建物のレリーフのあるクラシックな壁には、鏡に映った光が波模様の光がゆらめき......。

エルメスの2015-16秋冬シューズコレクションの発表会場。

2016年春夏シューズコレクションの発表会場。photos:Vincent Lappartient

マチアス・キスがよく用いる鏡。それが壁も天井も埋め尽くす部屋を想像できるだろうか? 彼がインスタレーションを手がけたKiss Roomで、それは体験できる。これはパリの3区にある1室だけのホテルで、2013年11月13日から2016年11月13日までの1000日だけの期間限定だ。ベッドとルイナールのシャンパンを納めたミニバーから成る部屋は10平米とコンパクトだが、鏡によって無限の空間と化している。利用は1泊1人か2人で。

1000枚の鏡からなるKiss Room。1泊750ユーロで予約はインターネットにて。www.lakissroom.com photo:David Zagdoun

これは彼の仕事に触れるには少々特殊なケースかもしれない。彼が内装を手がけたレストランがあるので、行ってみよう。キャロー・デュ・タンプル地区にオープンした。ビオ&ノー・グルテンのレストランSeasonsだ。味が良いだけでなく、営業は朝食から晩まで、そして日曜も! という知っておいて損のない店である。装飾芸術とコンテンポラリー・アートがミックスされたようなインテリアは、とても個性的。これまでのパリでは見かけなかったタイプといっていいだろう。

Seasonsの店内とマチアス・キス。

Seasons
1, rue Dupuis 75003 Paris
Tel.01 42 71 52 97
営)8:30~翌1:00(日~16:00)
www.season-paris.com


彼は内装も手がけるデコレーターでもあれば、アーティストとしてギャラリーで個展も開く。10代の時から種々の職人技を学び、国の保存建造物の修復を15年間手がけ、その間にさまざまな素材に触れる機会を得ている。現在の幅広い分野での活動は、この時の経験がベースとなっているのだろう。職人の技とコンテンポラリーな実験を用いて、住まいの過去と未来のコードについて考察を続けている彼。それは例えば、パリ3区のGalerie Armel Soyerで発表したカーペット、鏡、ソファをみてみるとわかりやすいだろう。次は何をみせてくれるのかと、今後の仕事が気になるマチアス・キスである。

左:鏡Mercure @photo Emmanuel Bossuet、中:カーペットMagyar、右:ソファ Igloo@photo Gilles Pernet courtesy Galerie Armel Soyer (19-21 rue Chapon,75003 Paris)

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