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子どもが水をたくさん飲む。飲みすぎ?大丈夫??こどもと女性の歯科クリニック院長、岡井先生に伺いました!

  • 2023.3.30
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「最近、うちの子が水分をたくさん摂るようになって心配です・・・!」そんな質問に、こどもと女性の歯科クリニック院長、岡井 有子先生が歯科医ならではの視点からお答えいただきました。



乳幼児の水分摂取量、適切なのはどのくらい?

人の体内に占める水の量は、赤ちゃんで70-80%です。年齢とともに減少し、成人では60%はよく知られている数字です。
幼児の水分摂取量の目安は、体重1キロあたりだいたい約100mL。食べる量にもよりますが、40%ほどを食事で摂取できると考えると、残りの60%を水分で補給することになるため、体重10kgのお子さんは毎日600mLの水分補給が必要だということになります。15kgのお子さんだと900mLほどです。もっと多いのです。「こんなに飲んでいない。」と驚かれるかもしれません。

水中毒が心配!でも、何に気を付けたらいいの?

お子さんの水分摂取量が多いと水中毒が心配ですよね。大量の水を一度に飲んだりした場合に起こります。
大量に水を飲むと、体の中のナトリウム濃度が極端に低下し、低ナトリウム血症になってしまいます。もしそうなった場合には、体内の電解質のバランスが崩れるので、意識障害や嘔吐・けいれんなどの症状が出始めます。そんなことになったら大変ですが、そうならないために急激な細胞内水分の変化の起こらない水分の摂取方法や量のコントロールが必要となります。
必要水分量は、体重を目安に決めましょう。目安は、体重1kgあたり100 mLです。必要量以上の量を一気に飲んだりしないように心がけていれば大丈夫です。

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水分を摂る量が少ないとき、何か気を付けることはある?

水分量が少ない場合には、脱水の心配があります。熱があるときに水分を摂取しなかった場合などに起こってきます。ですが、食事が適切に摂れていて、時々水分を補充できている場合には問題ないでしょう。

歯科医として知っておいてほしいこと

今回のような場合において皆さんのご心配は、水中毒だと思いますが、歯科医として、心配なことは虫歯です。
実は、頻回に水を飲むことは良いことのように思っておられると思いますが、虫歯の観点からみたら決して良いことではありません。では、なぜ頻回に水分を摂ることがいけないのか?それは唾液の量が少なくなるからです。
頻回に水を飲む方は、唾液の量が少ないため、口の中が洗い流されず、虫歯になりやすい口になります。
唾液には大切な役割があります。

1)自浄作用(口腔内をきれいに洗浄する作用)
2)殺菌・抗菌作用(外から入ってくる細菌から体を守る作用)
3)緩衝作用(食事により酸性に傾いた唾液を中性に戻す作用)
4)消化作用(アミラーゼ)
5)潤滑作用(ねばねば成分ムチンの粘膜保護作用)
6)味覚を感じる(食事の成分が唾液に溶け出ることにより味を感じやすくなる)
7)再石灰化作用(脱灰してなくなった歯のカルシウムやリンを補う作用)

これらの大切な作用が、唾液の出が悪いことで失われます。
そうならないために、気を付けていただきたいことがあります。
それは、食事中にお水やお茶を飲まないことです。ジュースはもちろんですが、食事中の水やお茶も噛まない習慣へとつながり、食塊を流し込むようになります。
流し込みや丸呑みの習慣がついてしまうと、唾液の出が悪くなります。唾液が少なくなるとお口の中がねばねばになり、汚れも残りやすく、虫歯になりやすくなります。頻回に水を飲むことも、唾液の減少につながります。お味噌汁やスープで水分をとるように心がけていただけると早く慣れると思います。

食事中の水分に気を付けていただいたら、次はマッサージを行いましょう。唾液線マッサージは、口のマッサージです。大唾液腺(だいだえきせん/耳下腺、顎下腺、舌下腺からなり、ここでつくられた唾液は管を通じて口腔内に導かれる)でなく、小唾液腺(しょうだえきせん/唾液を分泌する腺で唇、舌、頬の粘膜、上顎の粘膜に分布し、口内に直接唾液を分泌する)を刺激するように行いましょう。

口のマッサージは口内へ指を入れ、(1)~(3)の手順で歯ぐきにそって頬の裏側を奥から手前に伸ばすようなイメージでおこないます。爪などで口内を傷付けないよう、適度な力で行ってください。

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下顎の前歯部分(3)は、下唇と歯ぐきの間に指を入れ、唇の裏側を上から下へ伸ばすようにマッサージします。こちらもあまり力を入れ過ぎないように、同じ箇所を数回伸ばしてみてください。頬の粘膜から続けて行うとマッサージがしやすいです。
(1)~(3)の手順で右側をおこなったら、左側も同じように行います。
同じ個所を数回マッサージするとよいでしょう。夜の歯磨き時にトータル毎日5分程度行うと効果的です。
お口の中が常に最適な状態で保たれるようになるといいですね。

[執筆者]

ママ広場


岡井有子先生
こどもと女性の歯科クリニック院長

[プロフィール]
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経たのち、大阪歯科大学に入学。
同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を専攻。一般歯科医院勤務を経て、2017年7月に『こどもと女性の歯科クリニック』を開院。
「顎顔面口腔育成療法」により子どもたちの健康な発育をサポートし、ママへの抱っこや離乳食の講座なども開催している。

[略歴]
京都市内産婦人科勤務
大阪歯科大学 卒業
大阪歯科大学大学院歯学研究科(小児歯科学専攻)修了
大阪歯科大学大学院歯学研究科 非常勤講師

[所属学会]
日本小児歯科学会
日本小児耳鼻咽喉科学会

[所属研究会]
顎顔面口腔育成研究会
赤ちゃん歯科ネットワーク
母子フィジカルサポート研究会

こどもと女性の歯科クリニック
https://cw-cl.jp/

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