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イラストレーター、朝野ペコが「マンダロリアン」のファンになった理由は?「背景や小道具など隅々まで楽しんでいます」

  • 2023.3.29
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ディズニープラスで人気を博す「スター・ウォーズ」最新作のオリジナルシリーズ、「マンダロリアン」シーズン3の配信が3月からスタートし、ファンを熱狂させている。孤高の賞金稼ぎ、マンダロリアン(以下、マンドー)と、“ザ・チャイルド”ことグローグーの新たな旅にはなにが待ち受けているのか、大いに気になるところだ。

【写真を見る】ゆるカワな雰囲気が素敵!朝野ペコによるグローグーやマンダロリアンのイラストたち

イマジネーションに富んだこのシリーズにはクリエイターのファンも多く、映画『花束みたいな恋をした』(21)の劇中イラストや、アニメ「呪術廻戦」コラボグッズなどで知られるイラストレーターの朝野ペコも、その一人。全国の映画館で配られているインシアターマガジン「月刊シネコンウォーカー」の3月号にて掲載したシーズン3の紹介記事では、「マンダロリアン」に登場するキャラクターのイラストを描き下ろし、その愛嬌あふれるタッチが好評を呼んだ。そんな朝野に、「マンダロリアン」に惹かれるワケを聞いてみた。

ボバ・フェットにアソーカ・タノ、クイール、ボ=カターン・クライズらのイラスト イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.
ボバ・フェットにアソーカ・タノ、クイール、ボ=カターン・クライズらのイラスト イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.

「グローグーのかわいさが爆発していました!」

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99)に始まった、いわゆる新三部作(プリクエル)からの「スター・ウォーズ」ファンで、シーズン1の配信開始時から「マンダロリアン」を楽しんでいたという朝野。「『スター・ウォーズ』はとにかく世界観がおもしろくて、背景や小道具にも惹かれるし、ビジュアルの隅々まで楽しめます。子どものころから絵を描いていたこともあり、ビジュアルは特に印象が強かったです。『マンダロリアン』も同様の印象を受けたのですが、加えて、やはりグローグーがかわいい(笑)。そこにマンドーの人間的な魅力がうまく結びついている作品だと思います」。

少しだけフォースを自身の意思で扱えるようになったグローグー [c]2023 Lucasfilm Ltd.
少しだけフォースを自身の意思で扱えるようになったグローグー [c]2023 Lucasfilm Ltd.

グローグーは言うまでもなく、ヨーダと同じ種族。50歳という設定だが、この種族が人間の10倍程度の長寿であることを踏まえれば、まだ幼児ともいえる。かわいいと思えるのは、ある意味当然。「スター・ウォーズ」の壮大なサーガを振り返った時、見た目だけで理屈抜きに惹きつけるキャラクターは、ほかにいないのではないか?「グローグーのかわいさは毎回楽しみにしています。最も印象的なシーンを問われると迷いますが、シーズン2の第2話『チャプター10 乗客』での卵をこっそり食べちゃうシーンですかね。あのシーンはかわいさが爆発していました」。

フロッグ・レディの卵に食欲をそそられるグローグー [c]2023 Lucasfilm Ltd.
フロッグ・レディの卵に食欲をそそられるグローグー [c]2023 Lucasfilm Ltd.

「マンドーとグローグーのやりとりにはクスっと笑える部分も多い」

マンドーは賞金稼ぎという荒っぽい仕事をしており、一見すると無頼にも見えるが、マンダロリアン種族の厳格な掟を守って生きている。しばしば指摘されることだが、この主人公は時代劇や西部劇に登場する、人間味のあるアウトローの面影が重なる。「マンドーはたしかに仕事人ですが、情が深くて困っている人を放っておけないようなところがありますよね。シーズン3の2話目まででは(※インタビュー時点で第2話までを鑑賞)、残念ながらいいとこナシなんですけど(笑)、そういう失敗を含めて人間味を感じます。また、これまでコックピットの場面では、グローグーに『ここに座ってろ』というシーンが頻繁にありましたが、決して声を荒げず、怒らず、父親のような優しさがある。彼らのやりとりにはクスっと笑える部分も多いし、『スター・ウォーズ』を知らない人でも、単体で楽しめるシリーズだと思います」。

コックピット内でグローグーを膝の上に乗せるマンドーの“お父さん具合”にほっこり [c]2023 Lucasfilm Ltd.
コックピット内でグローグーを膝の上に乗せるマンドーの“お父さん具合”にほっこり [c]2023 Lucasfilm Ltd.

「クイールがいろいろと教え込む場面は『スター・ウォーズ』らしい師弟関係を連想した」

「マンダロリアン」には主人公である彼らのほかにも、忘れ難いキャラクターが多数登場する。複数のエピソードに登場する者もいれば、一話だけで消えていくキャラもいる。人間であれ、エイリアンであれ、異星生物であれ、その個性は魅力的だ。「シーズン1に登場したクイールは好きでしたね。回収したドロイドを改良して、いろいろと教え込む場面は『スター・ウォーズ』らしい師弟関係を連想しましたし、その後のせつない展開の伏線にもなっていたと思います。先ほど言及したエピソード『乗客』に登場した(グローグーに卵を食べられちゃう)フロッグ・レディもよかったですね。温泉に浸かっているシーンがとてもおかしくて。あの回は一番笑えました」。

マンドーのサポートをするなど親切だったクイール [c]2023 Lucasfilm Ltd.
マンドーのサポートをするなど親切だったクイール [c]2023 Lucasfilm Ltd.

「マンドーはヘルメットを脱がないのに感情が読み取れる」

「マンダロリアン」のイラストを描いた際の話も訊いてみた。「作業自体は1週間ほどで、コスチュームなどの細かい部分を確認するのには気を遣いました。今回初めて、『マンダロリアン』をイラストレーターの目線で観ることになったので、細かい確認作業はどうしても必要になってきます。マンダロリアンのアーマーは途中で変わったりしますし、正確さという点でも『間違ったらファンの方にツッコまれる!』という意識はありましたね。一方で、確認しながら実際に描いてみて、ここまで世界観が作り込まれているのはすごいなあと、改めて実感しました」。

アーマーの細部までこだわったマンドーのイラスト イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.
アーマーの細部までこだわったマンドーのイラスト イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.

先に述べたように、朝野の描いたイラストは好評で迎えられた。グローグーはもちろん、ヘルメット姿のマンドーも柔らかみと温かさを感じさせる。「マンドーはヘルメットを脱がないのに、ドラマを観ていると感情が読み取れるじゃないですか?不思議だなと思いながら描いていましたが、たぶんそれは姿勢や頭の傾け方とか、そういったものににじみ出てくるんでしょうね。グローグーに関しては、劇中での頭身が最高にかわいいので、そこは変えませんでした。ただ、ちょっとだけ白目を多くしたんですよね。グローグーはそもそも黒目が大きいんですけど、表情をわかりやすくしたかったんです」。

表情をわかりやすくするため、少しだけ白目を大きくしたというグローグーのイラスト イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.
表情をわかりやすくするため、少しだけ白目を大きくしたというグローグーのイラスト イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.
生きたままカエルのような生物を丸飲みにするグローグー イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.
生きたままカエルのような生物を丸飲みにするグローグー イラスト/朝野ペコ [c]2022 Disney and its related entities [c]2023 & TM Lucasfi lm Ltd.

「世代的にもパペットはグッとくるものがある」

さて、外伝的なシリーズ「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」を挟み、約2年半ぶりの復活となった「マンダロリアン」シリーズ。ファン待望と言えるこのシーズン3に、朝野はなにを感じたのだろう?

「グローグーのかわいさ推しは見て取れますが、マンドーとの関係は、これまでの父子のような間柄から、さらに発展しているような気がします。グローグーは常にマンドーに守られている状態ではなく、一人で動き回るシーンも増えましたから、相棒のような関係に寄っていくのかもしれません。これがどう変化していくのか、楽しみですね」。

グローグーもだんだんと自分の意思を示すようになってきた [c]2023 Lucasfilm Ltd.
グローグーもだんだんと自分の意思を示すようになってきた [c]2023 Lucasfilm Ltd.

改めて「マンダロリアン」について注目したいのは、CGに加えてアニマトロニクスやパペットといった伝統的な特撮技術を投入されていること。とりわけ、パペットは「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(80)でヨーダに命を吹き込んだ技術でもある。

「世代的にも、パペットはグッとくるものがあります。子どものころに観た『E.T.』や『グレムリン』『チャイルド・プレイ』のような作品はパペットを使って作られていましたが、のちに出てきたCG主体の映画を観ると、すごいと思いつつもちょっと物足りなくもあったんです。ディズニープラスには『マンダロリアン』のメイキング映像もあって(「ディズニー・ギャラリー スター・ウォーズ:マンダロリアン」)、グローグーの腕だけ、目だけを動かす人形師の方の仕事を観ることができます。このような伝統的な表現方法が見直されているのはうれしいですね。シーズン3に入ってからも、『これはパペットかな?』と思えるようなキャラが登場するので、観ていてワクワクします」。

CGだけじゃなくて、昔ながらのパペットを使用しているところも魅力 [c]2023 Lucasfilm Ltd.
CGだけじゃなくて、昔ながらのパペットを使用しているところも魅力 [c]2023 Lucasfilm Ltd.

「マンドーとグローグーの関係がマンダロリアンの教義のなかでどう変化していくのか?」

毎週水曜に新エピソードが配信されるシーズン3も折り返しの時期。今後物語がどうなるのか気になるところだ。サブキャラクターのなかには、不審な動きを見せる者が出てきているし、現時点でマンドーが手にしている、マンダロリアン種族統率の鍵となる剣=ダークセーバーがどんな作用をドラマに与えるのか?も注目しておきたいポイントだ。

マンダロリアンの教義をグローグーに教えるマンドー [c]2023 Lucasfilm Ltd.
マンダロリアンの教義をグローグーに教えるマンドー [c]2023 Lucasfilm Ltd.

「ダークセーバーを扱うマンドーがかっこよかったので、そこはやはり楽しみではありますし、世界観の広がりにも注目しています。『スター・ウォーズ』らしい、様々な惑星とそれぞれの種族や生活といったような描写を毎回楽しみにしているので、それがシーズン3でも観られるといいな、と思います。あとはマンドーとグローグーの関係が、マンダロリアンの教義のなかでどう変化していくのかは、やはり気になりますね!」。

取材・文/有馬楽

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