恋愛にあって良い不安と悪い不安ー対処が必要なケースとは？

人間はストレスを感じるようにできている。敵や野生動物の攻撃が日常茶飯事の原始時代では、常に気を張っておく必要があったから。

現代でも、恋愛で不安やストレスを感じることは少なくない。でも、このストレス反応が役に立つのは、私たちが大きな危険にさらされている場合だけ。そう、不安には私たちのためになるものと、ならないものがある。今回は、恋愛における不安の種類と要因、そして無益な不安を感じた際の対処法をイギリス版ウィメンズヘルスから紹介しよう。

恋愛における不安とは

おとぎ話の世界では恋に不安が伴わない。でも、現実の世界では良好な関係にも不安が伴う。元カノの存在やパートナーの浮気が心配なのに平気なフリをしてみたり、自分のニーズを押し殺してまでよい顔をしようとしたりする人は少なくない。あなたが如実に不安を感じているせいでパートナーがスキンシップやコミットメントを避けたり、心を閉じて考え込んだり、イライラしたり、黙り込んだりすることもある。その状況で相手の気持ちを読もうとしたり、最悪の未来を想像したりすると、あなたの不安は増すばかり。

恋愛における不安要因

マッチングアプリで痛い目に遭ったあと、過去の恋愛で裏切られたあと、自分に自信がないときは、みんな臆病になりやすい。付き合ったばかりの不安定な時期は怖いし、コミュニケーション不足、SNSで自分と他人を比較する行為、幼少期のトラウマも不安の要因になる。

転職、同棲、加齢、不妊治療、出産といった大きなライフイベントに不安が伴うこともある。愛着スタイル（人の性質を愛着の観点から分析してカテゴリー分けしたもの）の不一致も一般的なストレス要因。通常、愛着スタイルは幼少期の養育者の行動によって決まる。

愛着スタイルが“安定型”の人は比較的ラクに人と親しくなる一方で、“不安型”の人は人間関係で不安を感じやすく、自分に対するパートナーの気持ちを心配したり、セックスを怖がったり、見捨てられることを恐れたりする。また、ゲイリー・チャップマンが言うところのラブランゲージ（愛を伝える方法）が2人の間で異なり、それが不安の要因になることも。ラブランゲージには肯定的な言葉、奉仕する行為、2人だけで過ごす時間、プレゼント、スキンシップの5つがある。仮に、あなたがスキンシップを通して愛を感じる人で、パートナーが言葉を通して愛を伝える人の場合は、誤解が生じるかもしれない。

すべての不安が悪いとは限らない

大まかに分けて不安には、ヘルシーな不安とアンヘルシーな不安の2種類がある。恋愛を含め、人間関係には時折の不安が付き物。パートナーが他の人に惹かれているような気がしたり、親になったら急に関係が変わって不安になったり、お互い素直になれなくてモヤモヤしたりするのは、あなたに限ったことじゃない。

ヘルシーな不安は、小さな異常を知らせてくれる警報機のような働きもする。例えば、パートナーがスマホを隠したり、あなたに隠れて元カノと会ったりといった怪しい行為をしたあとは、なんとなくパートナーを信頼してはいけないような気がする。

これは、あなたとパートナーが真摯に話し合い、お互いを安心させるような言動を通して信頼を深めるチャンスにもなるし、あなたが有毒な関係を終わらせるきっかけになる。いずれにせよ、この場合は不安があなたを安全な場所に導いてくれたことになる。

逆にアンヘルシーな不安は、脅威の大きさに見合わない。また、この不安は認知のひずみ（幻想）によって作られているので、ストレスや精神的な苦しみのもとになる。本当は仕事が忙しいだけなのに、返信が遅いからというだけでパートナーの浮気を疑ったり、いつもより静かだから別れることを考えていると決めつけたりしてしまうのは、あなたが自分の無益な不安で自分の首を絞めているケース。

アンヘルシーな不安が続き、あなたが常に理性を欠いたり精神的に追い詰められたりした結果、集中力、睡眠、食事、体の健康に悪影響が出ているときは、障害のカテゴリーに入ってくる。

恋愛で大きな不安を感じたときは

いまの不安が気のせいなのか、本当の脅威によるものなのか。その答えを探る上では、認知行動療法のテクニックが役に立つ。次のステップで、バランスのいい物の見方を取り戻そう。

・まずは、ストレスのもとになっている思考を特定する。

・次に、その思考の中にある認知のひずみを特定する。

・例えば、「パートナーが最近セックスをしたがらない。私に魅力を感じなくなったんだ」という思考には、小さなことから最悪の事態を想定し、白黒つけたがるひずみが見られる。このようなひずみは不安を増幅させてしまう。

・このようなひずみを特定すると、ストレスが軽減する。

・そして「この思考が真実であることを示す確固たる証拠は？」と自分自身に問いかける。

・そして、自分が法廷弁護士になったつもりで「この証拠に反論の余地はありません！」と言い切れるかを考える。そうすることで、物事が客観的に見られるようになってくる。

・次に、その思考を別の角度から見てみる。彼が仕事で一杯いっぱいになっている可能性はないだろうか？

・最後に、親友に同じことを相談されたら何と言うかを考えてみる。「あなたのせいじゃないと思う。彼に話してみたら？」と言わないだろうか？ このステップは、より理性的な視点で自分の置かれている状況を見る上で大切。

それでも不安が消えないときは、あなたの不安が真実に基づいているのかも。その場合は、カウンセラーまたは相談できる相手と話をしながら状況を整理しよう。

健全な関係は、自分の気持ちとニーズを伝えてこそ築けるもの。決して楽ではないけれど、自分自身をさらけ出すのは人と人をつなぐ大事な行為。スーザン・デイヴィッド博士がTEDトークで述べたように「不快なことは有意義な人生を送るために支払うべき対価」と思って。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Melanie Pritchard Translation: Ai Igamoto