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―あのコの恋愛事情― 股は開いても心は開けない誰かに送る 編

  • 2015.11.21
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皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。手を握り合ったまま過ごす約2時間。
手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
親しいのに友人関係ではない。もしかしたら来月は会わないかもしれない。近くて遠い関係だからこそ、プライドも恥もなく自分の真っ黒な本心さえも吐き出せてしまうのかもしれない。そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。
※許可を頂いたものだけ掲載しています。※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。

■持ってる棒の数と質の問題

「最近セックスがつまんないんだけどどうしよう?終わってるよね?」さらっとアヤコさん(仮名)がすごいことを言った。
「どうつまんないんですか?」と思わず突っ込む。「彼氏にしても一晩の相手にしても、なんか盛り上がんない。結局、少し順番が変わるだけでやることは一緒なんだもんなぁ、なんて思っちゃったりして」
あぁ、なんかわかる気がする。若い頃だったり、まぁ若くなくてもいいけど「うっかりやっちゃった」失敗を経験したことがある人にはわかる気がする。
結局、持ってる棒の数より質の問題なのだということを。

■男と女のすれ違い

よく、男性のセックス感と女性のセックス感の大きな違いが話題になるけれど、そこの差といったら湯豆腐とインドカレーくらいの差がある気がする。
最近は「女性閲覧用AVサイト」なるものも多数存在しているけれど、そこで観ることができるAVとラブホテルで流れるAVの差のなんと大きいことか!
考えてみれば、持続時間とか大きさとか硬さとか濡れ具合いとか喘ぎ声を意識する男性用AVと「心の濡れ具合い」を重要視する女性用AVに大きな差があるのは当然のことで、行きずりの関係を軽く持ってしまう女性を「ヤリマン」の一言で片づけてしまう男性相手では、そりゃーセックスもつまらなくなってしまうだろうとなんとなく納得してしまう。

■ヤリマンでもいいけど

まぁ、呼び名は「ヤリマン」でもいいけれど、女性がセックスしたい時に乾いているのは股ではない。極たまに性欲の滝つぼが決壊してしまう夜があることも否定はしないけれど、その場合の相手は「安心な相手」を選ぶことが多いような気がする。
乾いた股を棒で潤したいからヤリマンスイッチが入るわけじゃない。乾いた気持ちを潤す感覚が味わいたい夜なのだ。
最近話題の「セックスレス」の寂しさは、性欲の問題だけではない。女性として扱われない渇きが、心の底から虚しいのだ。自分の中の、文字通りの「そこの隙間」に何かを埋め込みたくなる夜なのだと言ってもいい。そんな時に、棒の大きさだの固さだのなんてどうでもいい。大きければ埋まる虚しさというわけじゃないんだから。
簡単に、誰にでも伝わりやすい言葉で表すと「寂しいから」になるのかもしれないけれど、寂しいとは違う空虚感。そう、自分の中にある隙間をしみじみ感じる夜だったりするのだから。

■数より質に着目する時期

「このつまらなさ、どうしたらいいかねぇ?」とため息をつくアヤコさんに「やっぱり、数より質でしょう!」と答えた。
「質っていうのは、大きさとか硬さとかじゃないですよ?如何に心を通じ合えるセックスができるか、ていうことを重要視した“質”です」「というと?」とアヤコさんはニヤッと笑う。
「色んな棒を試したならわかるじゃないですか?結局、自分をさらけ出して抱き合える夜が一番潤うってこと。技でもなく持続力でもなく、肌を合わせた時に感じる愛情とか安心感が深いからこそ質のいいセックスになるんだっていうこと。大人になったら、お祭りで買ったネックレスじゃ満足できなくて、いつのまにか宝飾店で買うのと一緒で、やっぱり量より質ですよ。」
「お祭りって(笑)でも、そうだねぇ。そろそろ切り替えの時期なのかねぇ。」

■おわりに

「股は開いても心は開けないセックスは終わりの時期なんじゃないでかね?いくつかの棒を持っていてもいいけれど、質を厳選して心を開ける棒だけにする時期なのかもしれません。」
「なんかわかる気がするわー!厳選しようかな!棒(笑)」さすがに店内でリアルな名前を口にできないから「棒」と言い換えたのだけれど、アヤコさんは気に入ってくれたようで一安心だった。「次回は棒を厳選してみて報告するわ!」笑顔で帰って行った。
セックスって、あんなに全てをさらけ出す作業なのに、心をさらけ出すのは一番困難な時間だったりする。あんなに全てをさらけ出すのに、心はさらけ出せないセックスなんてなんだかもったいない。
「もっとこうして、こんなのはどう?ここは嫌、こんなことしたい」セックス以外のことだったら言えるのに、ことセックスのことになると男女共に口ごもってしまう。「そういう性癖ならしょうがないか」という気持ちの元。
心の潤いがないセックスは、結局渇きを倍増させたりする。抱き合って眠った温かい夜も、そこに気持ちの続きがないと朝にはやっぱり寒かったりする。
セックスの内容についてパートナーに意見をするのは難しくて、そこで大きなすれ違いが生まれてセックスレスになってしまう場合もあるから言葉は選ばなければいけないけれど、お互いに「もっと相手を気持ちよくさせたいな」ていう気持ちが根本にあれば、相手を傷つけることも少なくなる気がして。
自分が気持ちいい、じゃなくて「相手」ね。こっちが相手の気持ち良さを追求しているのに、相手はこっちの気持ち良さを追求してくれないなら、それまた棒の変え時かもしれないけれど。
「なんかセックスつまんないな」と感じる時期は、棒を変えるより棒と話し合うことが最優先課題だ。ところで、なんとなく最後まで「棒」で通したけれど、男性の編集さんが読んだら怒られそうだなと思っている。世の男性の皆さんすみません。
女性の皆さん、うっかりパートナーの前で「棒」て言ってしまわないようにお気を付けくださいね。(川上あいこ/ライター)
(ハウコレ編集部)

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