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NHK『どうする家康』の杉野遥亮に注目。“勝手気まま”が許された才能が光る

  • 2023.2.14
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2023年の大河ドラマは、松本潤が主演で江戸幕府を開いた徳川家康の生涯が描かれる。ちょっとコミカルなタイトルがくすっとくる『どうする家康』(NHK総合)で再注目なのが、榊原康政を演じる杉野遥亮だ。

女子SPA! NHK『どうする家康』サイトより

いやぁ〜、杉野君、最近ほんとうにいい仕事をしているなと思う。家康を支える重臣である榊原康政を演じる杉野遥亮にはこの1年をかけてさらなる注目が集まるのではないか。

「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、杉野が他作品で演じるキャラクターに類似点を見つけながら、大河俳優としての期待を込めたい。

勝手気ままが許された才能

ひょろっと背が高く、顔はちいさい。そして色白。絵に描いたように頼りない外見のイメージとは裏腹に、その瞳に濁りはなく、奥の奥まで澄み切っている。小顔で高身長と、超が付くくらいハイスペックなイケメン俳優、杉野遥亮は、“勝手気まま”が許された特別な才能の持ち主である。

松本潤扮する徳川家康が天下の将軍になる苦難の歴史を描く大河ドラマ『どうする家康』で杉野は、そんな才能に相応しい榊原康政を演じている。桶狭間の戦い後、何とか首領地である三河国まで逃げおおせた家康(当時は松平元康)が大樹寺で切腹しようとする場面。康政は、家康と介錯を買って出た本多忠勝(山田裕貴)との熱き対話の一部始終を近くの部屋の障子にぷすっと指で穴を開けて見つめる。

思いとどまる家康に対して康政は、極楽浄土についての解釈を飄々とした表情で訂正する。この身軽さ、杉野君はなかなかの芝居を見せてくれる。障子を破るぷすっと感に表現されるように、杉野遥亮は康政のキャラクター性を掴みながら、同時に俳優として勝手気ままに演技を楽しんでいるようにさえ見える。

信頼に厚いぷっくらとした唇

女子SPA! 杉野遥亮 PHOTOBOOK 『 8 』(ワニブックス)

初登場場面からして杉野君は視聴者に強く印象付けている。家康が身体を休める大樹寺の庭に木があり、康政はその上で寝そべる。これもまた勝手気ままな才能ならでは。顔に論語を被せてうたた寝でもしているのだろうか。この寺での修行の身でありながら、なんとまあ自由なスタイルである。

彼の面倒を見る住職の登譽上人(里見浩太朗)からもやる気があるんだかないんだかよくわからない調子を叱られることもある。そこへやってきた未来の将軍、家康にまさか感化されることになるとは想像しなかったろう。同じ一門でありながら家康の首を付け狙う松平昌久(角田晃広)を蹴散らす家康の勇姿を、まじまじと見つめる康政のその瞳。そしてその唇。

勝手気ままでやる気がないようだが、彼は決して人生に対して軽薄で厭世的な考えを持っているわけではない。榊原康政といえば、文武に秀で、その後「徳川四天王」として家康に仕えることになる大人物。容姿端麗さを兼ね備えた智将の若き日を杉野遥亮の信頼に厚いぷっくらとした唇が物語る。

『罠の戦争』から繋がる“ネギっ子遺伝子”

康政と同じようなタイプのキャラクターを杉野はちょうど別のドラマでも演じている。もちろんまったく似ているというわけではないのだけれど、草彅剛主演『罠の戦争』(関西テレビ、フジテレビ系)で杉野が演じる蛯沢眞人は、康政と似た遺伝子を持ったキャラクターとして映る気がする。

それがどんな遺伝子かというと、雑草根性を持った“ネギっ子遺伝子”。陳情した兄が過労死したことから大臣(本田博太郎)を恨み、同じ気持ちを持つ鷲津亨(草彅剛)と復讐劇を繰り広げる眞人は、大学院で植物学を専攻し、とにかく植物に詳しい。

大臣に近付くため鷲津の下で秘書見習いになってからも、日常的に植物に関する雑学を要所要所で語り出す。確かな知識に裏打ちされたこのあたりの発言もどこか康政に近しい。

上司の虻川(田口浩正)によるパワハラが暴かれる第2話に大臣の地元で農作業を手伝う場面がある。スーツ姿で農作業に励む眞人が収穫するのがネギだった。ネギに関する雑学を所構わず披露するが、ネギを収穫するためには泥臭い仕事もいとわない。彼が作業する姿を見た農家の人も思わず微笑む。ここで確認すべきは、康政が生まれた三河国は現在の愛知県であること。愛知県の伝統野菜として有名なのが越津ネギである。

見た目はしゅっとしていながらも泥臭さを持つ眞人と康政をネギによって繋げてしまう杉野遥亮、彼はネギっ子俳優でもある。

大河俳優として

勝手気ままな才能を持った俳優であり、ネギっ子俳優でもある杉野遥亮に筆者は心底惚れ込んでいる。一見頼りないかに見えて、いやいやどっこい、ここぞという場面であの厚い両の唇をきつく結んで凛々しく対象を見つめる眼差し。

通年でじっくり時間を掛けて歴史上の人物の生涯を描き出す大河ドラマだからこそ、主役の周りにいるサブキャラクターたちの存在が重要になる。2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、小栗旬演じる北条義時の幼なじみ役として山本耕史が最終話まで素晴らしい仕事をしていた。同じように今年は松本潤のかたわらに杉野遥亮が控える。

そりゃ、家康の古くからの腹心である石川数正を演じる松重豊に比べたら武将としての猛々(たけだけ)しさはないかもしれない。でも杉野遥亮には猛々しさの代わりに勝手気ままを許された自由さがあり、さらに役柄として三河国に生まれたひとりの武将としての静かなる闘志と根性が備わっている。

家康の行く末とともに注目されたし榊原康政の生涯。杉野遥亮は、松潤の脇でどんな大河俳優としての顔を全うしてくれるのか。筆者は楽しみでしょうがない。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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