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ひろゆき、ホリエモン…今、人気を集める"話し手"に共通する話の中身以外の要素

  • 2023.1.31
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分かりやすく話すためには、どんなことを意識したらいいのか。音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」を運営する緒方憲太郎さんは「ダラダラ続く長い話や緩急のない話し方では、聞き手が途中で飽きてしまう。文章を短く区切り、スピードの緩急をつけリズム良く話すと、聞き手を飽きさせない」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、緒方憲太郎『新時代の話す力 君の声を自分らしく生きる武器にする』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

トークを録音している現場
※写真はイメージです
訓練次第で声は良くなる

「イケボ」(「イケメンボイス」の略。イケメンを連想するような魅力あふれる声の持ち主のこと)と言われる男性がいたり、通る声を持っている人がいたりします。「声が素敵でうらやましいな」と思う人もいるかもしれません。しかし、あなたの声も訓練次第で良くなります。

声とは、あなたの体の中で空気が振動した結果生まれます。人間の体は声を出すための楽器です。それにもかかわらず、話すときに声を生み出す体について意識している人はあまりいません。

近年では、オンライン会議システム「Zoom」などを活用したミーティングが増えました。パソコンに向かってうつむきがちに話すと、姿勢の関係でどうしても声の通りが悪くなります。

オンライン会議は直接会うわけではないからと、気を抜いて話す人もいます。しかし、聞き手に与える情報の中でも「声」の比率は、実際に会って話す場合よりもオンラインの方が高まっています。

パソコンを見ながら片手間で話したり、暗い声やつまらなさそうな声のまま話したりすると、聞き手もストレスを感じるはずです。

「自分の体は声を発する楽器である」という意識で、背筋を伸ばし、しっかりと息を吸ってから声を出すこと。意識的に口角を上げ、普段よりも一つ高いトーンの声を出すよう意識すれば、あなたの話にはメリハリが生まれて、聞き取りやすい声で相手にメッセージを届けることができるようになります。

この辺はボイストレーニングスクールなどで一度学んでみるのもいいと思います。

最初は慣れないかもしれませんが、試しに一度、スッと背筋を伸ばして、口角を上げて、話し始めてみませんか。

文章を短く区切り、文末をごまかさない

多くの人が聞きたくないと思うイヤな話し方が、ダラダラと続く長い話です。自分の話を短く切るように意識をしている人は、あまり多くありません。

文章で書く場合、句読点を入れずに長々とした一文を書き、読みづらいと気づいて、あとから文章を短く区切った覚えはありませんか。僕たちはみんな、国語の授業や受験、仕事で文章を採点されたり、直されたりしたことはありますが、話し方については直された経験がありません。そのため、多くの人が改善をせず、我流の話し方を続けてきているのです。

話し方の場合、文章のようにあとから短く区切ることはできません。であればなおのこと、話している段階から文章を短く区切ることを意識しないといけません。

「○○○○で、△△△△で、□□□□で」とずっと話が続いたり、「この前の企画がお客さん的に微妙みたいで、ねえ……」と文末を濁して言い切らずに相手に話を振ったりする人は、周りにいませんか。

両方とも、聞き手にストレスを与えます。

まずは話を短くし、長くなりそうならいったん区切ること。

文末をごまかさず、最後まできちんと言い切ること。

この2つを普段から気をつけていると、聞き手に安心感を与えることができるようになります。

人気のある話し手は、話のスピードが速い

話の快適さを左右する大きな要因に、話のスピードとリズムがあります。ここを工夫するだけで、聞き心地が良くなり、相手がしっかりと集中して話を聞いてくれるようになります。

Voicyをはじめ、音声配信のPodcastや動画プラットフォームのYouTubeなどで近年、顕著な変化があります。

それは、人気のある話し手はみなさん、話のスピードが速いということです。

テレビの生放送は等速で聞くことが当たり前でした。

でも、YouTubeやVoicyでは、多くの人が1.2倍速や1.5倍速でコンテンツを視聴しています。倍速再生が当たり前になったことで、今度は等速のコンテンツを遅いと感じるようになっています。

また動画の世界では、「間」を詰めてリズム良く視聴できる編集技法「ジェットカット」が普及しています。

聞き手がこうしたコンテンツに慣れてくると、ゆっくりしたトークでは集中力が持たず、手元のスマートフォンでSNSをチェックしたり、ほかの作業をしたりするなど、聞くこと以外に意識が向かってしまうようになります。

人気のある話し手は、聞き手の注意がほかに逸れないよう、意識的にトークを速めています。

もちろん、すべてのトークが速くなると聞き取りにくくなるので、大切な部分は聞き取りやすいよう、話のスピードに緩急をつけ、リズム良く話しています。

セミナーで欠伸をする男性
※写真はイメージです
ひろゆきもホリエモンも話すスピードは速い

全体的に話が速めだけれど、大切なポイントではゆっくり話して強調されるので聞き取りやすい。そんな話し手が今、人気を集めています。

例えば、日本最大級の匿名掲示板を開設し、今では英語圏最大の匿名掲示板の管理人を務める、ひろゆきこと西村博之さん。また実業家や著述家、タレントとして活動するホリエモンこと堀江貴文さん。

彼らはともに早口で、リズム良く自分の考えを伝えていきます。話している内容もエッジが立っていますが、それを伝える話し方もテンポ良く、聞き手を飽きさせない配慮がなされているのです。

ブロガーとして有名なイケハヤさんやはあちゅうさんも、Voicy上では、少し早口で、リズム良く話しています(イケハヤさんの番組は「#イケハヤラジオ」、はあちゅうさんの番組は「はあちゅうの半径5メートルラジオ」)。

多くの人に読まれる魅力的な文章を書く人たちが、音声配信では聞き手を魅了しようと、話すスピードを上げているという事実は、とても象徴的ではないでしょうか。

今後は動画や音声コンテンツに慣れる人がさらに増えていきます。「倍速慣れ」する人が増えるほど、リアルタイムでのトークにも速さを求めるようになります。

普段から話すときにも1.2倍速くらいのイメージでスピードを速めてみて、緩急をつけながら心地良いリズムが作れたら、きっとそれだけで、聞き手にとっては魅力的な話し手に感じるはずです。

聞き手を頭の中に絵で描く

「相手の気持ちになって考える」という言葉をよく聞きます。相手の気持ちを察しようとすれば、相手がどうしてほしいのかが分かるはずです。

同じように、トークでも聞き手をイメージして話していると、相手はどう話してほしいかが分かってきます。

Voicyの中でも、人気パーソナリティの伊藤羊一さんや、ワーママはること尾石晴さんなど、話のうまい人は聞き手をイメージして話しているそうです(伊藤羊一さんの番組は「明日からの元気の源になる話」、尾石晴さんの番組は「学びの引き出しはるラジオ」)。

具体的には、聞き手の姿を頭の中に絵で描くようなイメージです。

聞き手の姿を頭に浮かべながら言葉を発し、一言ひと言積み重ねていくことで、自分の頭の中に描いた聞き手が明確に浮かび上がってきます。頭の中に描いた聞き手に語りかけるように、話していくわけです。

そうすると、話の途中で聞き手がトークについて行けず、離脱してしまうことがなくなります。

聞き手の姿が曖昧だと、聞き手が離脱する

そもそも、こういった事態に陥るのは、聞き手の能力が足りないわけではなく、話し手が自分の頭の中に描いた聞き手の姿が曖昧あいまいでぼんやりしているからです。鮮明に聞き手の表情が思い浮かべられていれば、その表情が曇らないよう、難しい内容を伝える場合には、より丁寧に説明しようとするはずです。

常に聞き手の姿を頭の中に描きながら話していると、つい伝え忘れてしまうような要素に気づくこともできます。

日時や場所、話の中の登場人物の説明など、つい聞き手に伝え忘れるクセがあるなら、ぜひ頭の中に聞き手のイメージを鮮明に描いてみましょう。

自分の話を繰り返し聞く人は圧倒的に話がうまくなる

Voicyのサービスを運営する中で、僕は普段から、リスナーがどんどん増える人や、どんどん話がうまくなる人に共通点がないかと観察してきました。その中で、とても感銘を受けた事実があります。

緒方憲太郎『新時代の話す力 君の声を自分らしく生きる武器にする』(ダイヤモンド社)
緒方憲太郎『新時代の話す力 君の声を自分らしく生きる武器にする』(ダイヤモンド社)

話がうまくなり、リスナー数を増やすパーソナリティは、自分の放送を何度も聞き直しているのです。

「一番のリスナーは自分自身」。人気パーソナリティの中には、こう口にする人が少なくありません。

自分の話を繰り返し聞いている人は、圧倒的に話がうまくなる。繰り返し聞いて、話し方の悪いクセを改善するだけでなく、「ここは分かりにくいな」という点も、次回から丁寧に説明するなど、改善点に気づいて修正していく。だから、成長が早いのです。

一方で、普通の人は自分の話を聞き直したりすることはありません。会議でも、自分の話を聞き直すのは面倒ですし、少し恥ずかしかったりします。

鏡を見るのと同じ気楽さで聞き直す

少し考えてみてください。

普段、みなさんは朝起きてから出かけるまでの間に、少なくとも一度は自分の姿を鏡で確認しますよね。自分の顔を鏡で確認することなく、体形や服装、髪型の状態も分からないまま、より良くすることはできません。

見た目には気を配っている人でも、同じように「話」に配慮している人は少ないようです。自分の顔を鏡で確認するように、自分の話し方も本来ならば、聞き直して確認してみるべきなのです。

例えば会議のシーンで、あるいは部下との個人面談で、自分がどのようにメッセージを伝えているのか録音して、聞き直してみてはいかがでしょうか。

鏡で自分の顔を見るのと同じような気楽さで、自分の音声も聞き直す。

そう考えると、ハードルは少し下がりませんか。実践してみれば、今までとはまったく違った世界が待っています。

緒方 憲太郎(おがた・けんたろう)
Voicy代表取締役CEO
ビジネスデザイナー、公認会計士。大阪大学基礎工学部卒業後、同大学経済学部も卒業。2006年に新日本監査法人に入社し、その後Ernst & YoungNew York、トーマツベンチャーサポートを経て起業。2015年医療ゲノム検査事業のテーラーメッド株式会社を創業、2018年業界最大手上場企業に事業売却。2016年音声プラットフォームVoicyを開発運営する株式会社Voicyを創業。同時にスタートアップ支援の株式会社Delight Design創業。新しい価値をビジネスで設計するビジネスデザイナーとして10社以上のベンチャー企業の顧問や役員にも就任し、事業戦略、資本政策、サービス設計、PRブランディング、オープンイノベーション設計、その他社長のメンターやネットワーク構築を行う。著書に『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』(日本経済新聞出版)

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