1. トップ
  2. ダイエット
  3. ダイエットの強い味方! 褐色脂肪を増やす方法

ダイエットの強い味方! 褐色脂肪を増やす方法

  • 2023.1.30
  • 2941 views

体重を減らして脂肪を燃やしたいときは、いろいろと考えるべきことがあるけれど、意外と忘れられがちなのは脂肪が持つ役割とメリット。これまでの研究により、数ある脂肪の中でも褐色脂肪は有益となることが期待されている。

体に蓄積しやすいのは、心疾患や2型糖尿病のリスクを高める白色脂肪。でも、褐色脂肪を増やせば白色脂肪が減り、カロリーの消費量が増えるという研究結果が出始めた。

でき過ぎた話のように聞こえるけれど、一体どういうことだろう? 褐色脂肪の正体と増やし方、そしてカロリーの消費量が増える仕組みを理解するべく、米国栄養士会のスポークスパーソンと『Prevention』医学審査委員会のメンバーを務める公認管理栄養士のメリッサ・プレストに話を聞いた。

褐色脂肪とは

プレストいわく、褐色脂肪は、体温の調節を助けて体が冷えないようにしてくれる。「赤ちゃんは、たくさんの褐色脂肪を持って生まれます。赤ちゃんのうちは寒くても体を震わせること(シバリング)ができないので、褐色脂肪に体温を維持してもらうんですね。でも、成長するとシバリングなどで体温が調節できるようになるため、褐色脂肪が減少します」

タイプ別:脂肪の役割

いまこそ脂肪に対する認識を変えるとき。脂肪にはいくつかの種類があって、それぞれが私たちの健康を維持する上で重要な役割を果たしている。

白色脂肪

体の内側と外側にある脂肪の中でもっとも一般的なのは、白色脂肪および白色脂肪組織。プレストいわく白色脂肪は黄色っぽい色をしていて、エネルギーを蓄えるだけでなく、臓器のクッション材としても働く。

過剰な白色脂肪は肥満の要因となり、肥満はより深刻な問題を引き起こす。「腹部の白色脂肪が多すぎると、慢性疾患のリスクが高くなります」とプレスト。

褐色脂肪

褐色脂肪および褐色脂肪組織は、白色脂肪よりも小さなスペースにエネルギーを蓄えられる。プレストによると、褐色脂肪の主な役割は体温調節。体内の褐色脂肪が「ミトコンドリアに『エネルギーを産生しなさい』というシグナルを送ると、体が温まります」

褐色脂肪が燃えると、体をブルブル震わせなくても体熱が発生する。これは熱産生と呼ばれるプロセス。褐色脂肪は熱産生の過程でカロリーも燃やすため、「このプロセスには理論上カロリーが必要ということになります」

ベージュ脂肪

ベージュ脂肪は白色脂肪と褐色脂肪の結合体。米クリーブランドクリニックによると、ベージュ脂肪細胞は白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変えることでカロリーを燃やし、体温を調節する。

褐色脂肪を増やす方法

1.体を寒さにさらす

「体が寒さにさらされると、それが引き金となり、体内でより多くの褐色脂肪が作られるかもしれません」とプレスト。

科学専門誌『Journal of Clinical Investigation』によると、ある研究で褐色脂肪の量が平均以下の若い男性12名が6週間にわたり約17℃の部屋で1日2時間座ったところ、暖かい場所にいたときよりもカロリーの消費量が1日108kcal増加した。6週間後には寒い場所でのカロリー消費量が1日289kcalも増えるようになったことから、研究チームは体が寒さにさらされると、白色脂肪を褐色脂肪に変える遺伝子の活動量が増加するという仮説を立てた。

2.運動する

プレストによれば、運動量を増やすと、白色脂肪を褐色脂肪に変えるイリシンというタンパク質が増える可能性がある。「体が引き締まっている人は、座りがちな人よりも褐色脂肪が多い傾向にあります」

生物医学専門誌『Disease Models and Mechanisms』に掲載された動物実験の結果も、運動によって白色脂肪を褐色脂肪に変換する働きのあるイリシンの分泌が誘発されることを示している。2013年の米国糖尿病学会年次会議では、エクササイズによって男性の脂肪が褐色化し、その効果はエアロバイクを用いた12週間のトレーニングを終えたあとも低下しなかったという実験結果が発表された。

3.メラトニン産生を促進する

ホルモンのメラトニンは睡眠・起床サイクルを調節するだけじゃない。科学専門誌『Journal of Pineal Research』掲載に掲載されたラット実験の結果は、褐色脂肪に似たカロリー燃焼作用を持つベージュ脂肪を増やす作用があることを示している。専門家いわく、メラトニンの産生を自然な形で増やしたいなら、日中は日光を浴び、夜間はテレビやパソコンの画面が発する光を避け、メラトニンが豊富な食品(アーモンド、トマト、さくらんぼ、カルダモン、コリアンダーなど)を摂取するといい。

4.食べすぎと食べなさすぎを避ける

脳内の空腹調節ニューロンは、私たちに満腹であることを知らせてくれる。でも、米イェール大学医学部のマウス実験によって、このニューロンには白色脂肪を褐色脂肪に変わりやすくする働きもあることが分かった。科学専門誌『Cell』に掲載された同論文によれば、カロリーの摂取量が少なすぎると白色脂肪の褐色化が進まない一方で、おなかがちょうど満たされる程度に食べると空腹調節ニューロンが活発になり、白色脂肪の褐色化が進むという。そして、食べすぎは言うまでもなく有害無益。食べすぎは白色脂肪を増やすだけでなく、褐色脂肪のカロリー燃焼能力も弱めてしまう。

5.薬を使う

褐色脂肪を増やす魔法の薬は市場に出ていないけれど、他の疾患の治療のために作られた既存の薬で褐色脂肪を増やす実験も進んでいる。

プレストによると、インスリン抵抗性の改善に使われるチアゾリジンジオンも、その実験の対象となっている薬の1つ。

結論

「褐色脂肪を作ったり増やしたりする実験のほとんどは、マウスを対象に行われています」とプレスト。「よってヒトを対象とした実験が進まない限り、確かなことは言えません」。結局のところ褐色脂肪は、まだまだ謎に包まれたまま。

白色脂肪を褐色脂肪に変える薬が世に出ることもしばらくはなさそうなので、当面は医師に相談した上で、先述のより自然な方法で褐色脂肪を増やしていこう。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Meghan Rabbitt And Madeleine Haase Translation: Ai Igamoto

元記事で読む
の記事をもっとみる