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新宿の繁華街で人体発火の圧倒的リアリティ!藤井道人監督のドラマ「インフォーマ」撮影現場に潜入

  • 2023.1.27
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映画やテレビドラマに撮影可能なロケ地の情報を提供し、案内、調整も行う組織「東京ロケーションボックス」は、映像作品を通して東京の魅力を国内外に発信しながら、ロケ撮影で地域活性化を図ることを目的としている。今回は、カンテレが手掛ける新たなドラマ枠「EDGE」の最新ドラマ「インフォーマ」にフィーチャー。関西地区にて毎週木曜深夜24時25分より放送中で、Netflixでの全世界配信も決定している同作は、地上波テレビの枠を超えた刺激的な作品となりそうとの“情報”をキャッチし、MOVIE WALKER PRESSでは本作の撮影現場に潜入!

【写真を見る】リアルな人体発火を目撃!夜の新宿で衝撃の光景が…

藤井道人監督が手掛けるクライムサスペンス

日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』(19)や『ヤクザと家族 The Family』(21)といった骨太なドラマから、せつないラブストーリーで大ヒットとなった『余命10年』(22)まで、幅広い作品を手掛ける藤井道人監督。「インフォーマ」がそんなジャンルレスに名作を生みだし続ける監督の2023年の最新作となる。

カリスマ的情報屋“インフォーマ”と週刊誌の記者が謎の連続殺人事件を追う
カリスマ的情報屋“インフォーマ”と週刊誌の記者が謎の連続殺人事件を追う

桐谷健太が主演を務め、伝説の情報屋、“インフォーマ”こと木原慶次郎を演じる。木原とバディを組む“ポンコツ週刊誌記者”三島寛治に扮するのはGENERATIONSの佐野玲於。SNSが普及し、誰もが発信者になりえる現代において、人知れず情報やメディアを操作するインフォーマ。謎の連続殺人事件を通して、現代社会の裏側や真実を圧倒的リアリティをもって描くクライムサスペンスだ。

ウワサに違わぬ深夜の新宿での撮影に潜入

 プレイスポットや飲み屋が密集する新宿の繁華街で撮影準備が着々と進む 撮影/宮川朋久
プレイスポットや飲み屋が密集する新宿の繁華街で撮影準備が着々と進む 撮影/宮川朋久

2022年7月下旬の暑い夜、深夜に「インフォーマ」の撮影があると聞いて、現場に駆け付けた。撮影スタッフ、演者合わせて100名以上が結集し、それぞれが平静を装いながらもどこか緊張感を帯びていた。それもそのはずいまから撮影するのは、とある雑居ビルから出てきた一人の男が、体中炎に包まれながら新宿の街をのたうち回った末絶命するというシーン。スタジオのセットではない本物の街中、しかも火を使った撮影ということで、一つ間違えば命にかかわるシーンであり、また、引火による火事も起きかねない非常に危険な撮影だ。

深夜と言えどもそこは眠らない街、新宿。終電を逃し酩酊した人々が、あちこちで怪気炎を上げている。街中での撮影は一般の人たちを完全にシャットアウトすることはできないので、撮影をサポートする東京ロケーションボックスのスタッフが、丁寧かつ迅速に通りゆく人々に声をかけて誘導。「すみません、少々お待ちください」「はい、どうぞお通りください」と撮影の状況を確認しながら交通の往来をコントロール。一晩中何十回もの声掛けは一見地味ながら、現場の安全と滞りなく撮影進めるためのとても骨の折れる仕事だ。それぞれの役割を丁寧に積み重ねてドラマは作られていく。

耐火剤を塗られ、さらには後ろ手で縛られ、顔にはガスマスクを着用するスタントマン。緊張感が高まる 撮影/宮川朋久
耐火剤を塗られ、さらには後ろ手で縛られ、顔にはガスマスクを着用するスタントマン。緊張感が高まる 撮影/宮川朋久

撮影の準備が整い、いよいよ人体発火をされるスタントマンがスタッフ十数名に囲まれて現場に登場。衣装のスーツの下に着こんだ防火服がスーツをはちきれんばかりに押し出している。リラックスさせるためかスタッフが冗談を言っているらしく、時折笑顔を見せるスタントマンだが、すぐに真顔になるところを見ると否が応にも緊張感が伝わってくる。

リアルな人体発火の撮影現場を目撃!

スタントマンのスーツに大量の耐火剤が塗り込まれ、完全にスタンバイ。「はい本番!」の掛け声と共にいっきに緊張感が増す。数十名ものスタッフが息をのみ、そのシーンを見守る。深夜の新宿、奇跡的に無音となった瞬間、「うわわぁぁぁっつ!!」とスタントマンの名演と共に発火!

【写真を見る】リアルな人体発火を目撃!夜の新宿で衝撃の光景が… 撮影/宮川朋久
【写真を見る】リアルな人体発火を目撃!夜の新宿で衝撃の光景が… 撮影/宮川朋久

目の前を火だるまとなった人が走り去っていく。と同時にカメラマン、音響、照明など十数名のスタッフも並走、突然の異様な光景に驚愕する演技をするエキストラたち、とその場にいた全員が連動しながらこの一瞬に集中力を注ぎ込み、完璧にやり遂げた。

「カット!」の声と共に消火器を一斉に吹き付けられるスタントマン。白い煙の中から起き上がった彼の表情は安堵と達成感に満ち溢れていた。と思ったのもつかの間、なんと別アングルからのカットをいくつか撮るため、このあとも何度か発火するという。新宿の夜はまだまだ終わらないのだ。

数十m走ったのち、倒れこむ緊張のスタントシーン。エキストラたちが驚きの表情を浮かべる 撮影/宮川朋久
数十m走ったのち、倒れこむ緊張のスタントシーン。エキストラたちが驚きの表情を浮かべる 撮影/宮川朋久

リアリティを追求、藤井監督作品の魅力にたっぷり浸かる

人体発火のシーンを無事撮り終え、撮影現場にて製作の関西テレビコンテンツビジネス局の豊福プロデューサーに話を聞いた。「まずは人体発火のシーンの撮影が無事に終わってよかったと思いました。監督ともお話したのですが、地上波ではなかなかできないことにチャレンジしている作品です。今回のシーンでも、いまの時代、安全面からすると実際には火をつけないでCGで火をつけることが多いです。しかし、もちろん安全第一なんですけれども、リアリティを追求していくと、実際に人が動いた時に炎がどう動くのかなど、やはりリアルに勝るものはないところがあります」。

人体発火の導線を念入りに確認する藤井監督 撮影/宮川朋久
人体発火の導線を念入りに確認する藤井監督 撮影/宮川朋久

加えて、プロデューサーの目線で、藤井監督の作品の魅力について語ってくれた。「登場人物の息使いが聞こえるというか、セリフじゃないところの空気までもがものすごく臨場感があってリアルだと思います。いわゆるドラマの物語的なフィクションではない、ドキュメンタリーに近いリアリティを持っているところは本当にすごいなと思います」。

ロケ地に停まっていたパトカーは劇中車両。本物との見分けが難しい! 撮影/宮川朋久
ロケ地に停まっていたパトカーは劇中車両。本物との見分けが難しい! 撮影/宮川朋久

最新技術に頼らず、本当のリアリティを追求した撮影は、まさに本作が投げかける問い、「あなたに見えているものは本当に真実だろうか?」を地でいく撮影だった。本物にこだわり、そのうえでエンタテインメントも決して忘れない藤井監督の最新作に期待せずにはいられない!

取材・文/佐藤英樹

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